#5 王女様が俺と一緒に旅に出ると言い出したのですが
「世話になったな」
「いやいや、こちらこそ楽しい時間を過ごせた。礼を言わせて貰うぞ。ありがとう」
「楽しかったですよ!イツキさん!」
「ああ、俺も楽しかった。それと、飯も美味かった。ごちそうさま」
「機会があればまたくればよい。いつでも歓迎するぞ」
「いいのか?国王様だろ?俺みたいな一般人を易々誘っちゃあダメだと思うんだけどな」
「いいんじゃよ。娘の危機も救ってくれたのじゃ。これくらいなんの。ああ、それと、この国に入国する時にこれを見せれば通してくれるはずじゃ」
「何から何まで本当にありがとな」
「なんのなんの。それじゃあ、娘を頼んだぞ」
「…了解した」
「よろしくお願いします!」
オルグ王に渡されたのはコインだ。金で出来ていて真ん中に王冠の紋様が施されている。
これでこの国に入りやすくなるらしい。なんか間違って金貨と一緒に出さないか心配になる。
んで、何故オルグ王の娘、ミリアを頼むと言われたかというと夕飯の時の話で…。
***
「イツキさん!この料理美味しいですね!」
「そ、そうだな…」
夕飯を食べている最中、ちょくちょくミリアが樹月に声を掛けるのだ。頬を赤らめながらも満面の笑みで。ミリアはあの時、樹月に助けられて樹月に思いを寄せていたのだ。樹月は、元気のいい人だな、と思っているのだが。
「それで、イツキ殿、この後はどうするつもりじゃ?」
「宿に帰って明日の予定を立てるつもりだ」
「そうか…「あの!」ん?どうした、ミリア」
「あの、私、イツキさんと旅をご一緒させていただけませんか?」
「「はあ?!」」
***
と、いう訳だ。どうしてこうなった。
そして今、俺らは暫く街の中を歩き回っていた
「はぁ。とりあえず、宿に戻るか…」
「はい!」
はぁ…。すっげー、疲れた。なんていうか、ただ歩き回ってるだけで視線がこっちに集中するんだ。決して俺が自意識過剰なわけではない。理由は明白、隣に王女様がいるからだ。
道中、王女に(おそらくわからなかったのであろう)ナンパする輩がいた。正直、吹き出しそうになったが、質が悪く、手も出してきたのでその場でボコっといた。いやー、爽快☆
と、まあ、特に話す話題も無く、俺らは非常に気まずい状況下に置かれていた。
あ、オルグ王の能力は聞いたところ、『ありとあらゆるものを回避する能力』らしい。ある意味凄かった。奇襲とか掛けられても全部回避出来るんだもんな…。あれ?じゃあ殺されるとかっていうのはありえないんじゃないか?
…奪っとけばよかった。
まあ、どう思ったって後の祭り。もう過ぎた事は諦めよう。
ミリアの能力は?と思ったが、聞こうにもなんか聞きづらかった。まあ、後で聞けばいいだろう。
「相手のステータスを見る能力とかないかな…」
「?何か仰りました?」
「いや、なんでもない」
「そうですか」
ん?確かハウドから奪った能力が『相手を見抜く能力』だったよな…?てことはミリアのステータスも“見抜ける”んじゃないか?
ものは試し。やってみるか。
(ミリアのステータスを“見抜く”)
能力:模写創造
「…へ?」
思わず間抜けな声が漏れてしまうほどに、ミリアの能力はチートだった。他人の事を言えた義理ではないが、これはかなり、いや、最強クラスとでも言っていいほどの強力な能力だった。
能力の説明が出てあり、それを読むと、
[自身で見たものを、MPを消費し、創造する能力。しかし、使えるのはその場限りであり、創造したものを、また後で創造することはできない。また、生物を想像することもできない。その物の耐久度、威力は、MPにより変化する。]
なるほどな。つまり、俺が仮にウォーターボールを使ったとする。それをミリアが見ていた場合、ミリア自身のMPを消費して、同じウォーターボール、または俺以上のウォーターボールを使えるという事だ。だが、使えるのは見た時限りで、また、後でウォーターボールを使おうとしても使えない。また、俺の、又は誰かのウォーターボールを見る必要が出る。
かなりチートな能力だが、その分欠点も大きかった。
この事をミリア自身は知っているのだろうか?もし、知らないのであれば伝えた方がいいのだろうか…?
***
「やっと着いた…」
「おう、イツキじゃねぇか。お疲れ」
「ああ、ただいま」
「と、お隣の美人さんはどちらさんだい?」
「ああ、彼女はお―――ミリアだ。悪いが彼女も泊まらせてくれないか?」
「おう。同じ部屋でいいか?」
「ああ。えっと、いくらだっけか?」
「1泊3食付で銅貨5枚だが、どうする?お前と同じ分にしとくか?」
「ああ、それで頼む。えっと、後六日だから銅貨30枚か。ほいよ。あ、後タオルとお湯くれ」
「了解。…ほいよ。じゃあ、おやすみな」
「おう、おやすみ」
会話長かったな…。疲れた。
「あの、良かったのですか?お金を払わせてしまって…」
「ん?ああ、気にするな。俺が払いたかったから払っただけだ」
「あ、ありがとうございます…」
「おう。それじゃあ、部屋に行こうか」
「はい!」
はあ。なんか、ミリアハイテンションだな…。元気なのはいいが空回りしないよな?
さて、ミリアには能力について教えるべきなのかね…?まあ、部屋に行ってからゆっくり考えるとしますか。
おはこんばんにちわ。絶賛スランプ中の水司です。
文字数を確認してみると大体2.100文字数。こんな少ない文字数になってしまい、本当に申し訳ありませんでした。
早くこのスランプを抜け出して、より良い作品を皆様に読んでいただきたいとおもっております。なので、皆様、どうか温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
さて、今回ですが、ミリアの能力を明かさせていただきました。はい、チートでした。ですが、欠点も大きいですね。それに比べ、主人公の能力は…。
と、まあ、こんな感じですが、今回はこの辺で失礼させていただきます。
それではこの辺で!ノシ
「…今回は雑談無しか。次回を楽しみにしていてくれよな!」
~更新情報~
H27.9.20. 能力名の変更




