#3 ギルドでの出来事
「ふぁぁーあ…」
欠伸をして背伸びする。窓から射す太陽の光が心地好い。
「さて、と。顔洗うためにお湯とタオルを貰ってくるか…」
早速お湯とタオルを貰うため、ロビーに向かう。
「おう、おはよう。早いな」
「おはよう。お湯とタオル貰えるか?」
「了解。マリア、お湯とタオル持ってきてくれ」
「はーい!おお、イツキさん!おはようございます!早いですね!」
「おはよう。マリアさんも早いね」
「いやいや、仕事ですから!」
えっへん!と平らな胸を張る。何というか、微笑ましい。口には決して出さないが。
「偉いね」
「えへへ~…。あ、お湯とタオルです!」
「ありがとう」
褒められて嬉しいのか、照れながらお湯とタオルを渡してくる。と、少し気になる事があったので訊いてみよう。
「そういえば、マリアさんの父親の名前ってなんだ?」
「ああ、昨日名乗るべきだったな。俺の名前はイオル・プラネウスだ」
ほう。聞けてよかった。名前がわからないと会話もしづらいしな。“プラネウス”が苗字らしい。と、いう事は…
「マリアさんの名前も?」
「はい。マリア・プラネウスですよ」
「やっぱりか。教えてくれてありがとう。と、そろそろ部屋に戻るか」
用も済んだし部屋に戻るか。早く顔を洗いたいしな。
***
「今日は外にでも出ようかな…?」
この世界に来たのはいいが、まずやることが無い。退屈だ。街を歩き回ってみようか。
そういえば、この街に来るまでに“ギルド”の話を聞いた事を思い出した。この世界の言語は何故か読めるようになってたし、街に出ても差し支えないだろう。たぶん、神様のお蔭だろう。
ロビーに向かい、イオルさんに一言話してから行くか。
「イオルさん、街に行ってくるから鍵を預けられる?」
「おう、いいぞ。行ってこい」
「行ってらっしゃい!イツキさん!」
「行ってくる」
「外に出たのはいいけど、この街広すぎだろ!」
流石はこの世界最大の国の街だ。一つ一つの街がデカイ。畜生め!
ちなみにこの世界の名前を【エリオン】今俺がいる国名が【フィオン】というらしい。そして、この街の名前が【リオン】というらしい。話が大分逸れた。
「一度戻ろう…」
***
「ギルドの場所がわからないか。ちょっと待ってろ。地図描いてくる」
助かった。地図さえあれば辿り着くだろう。たぶん。
「ほら、これみて辿ってみろ」
「おお、ありがとう。何か礼を…」
「要らんよ。お客さんには宿泊料しか取らん」
「ありがとう」
一言礼を言い、地図を見てみる。凄くわかりやすかった。お蔭で無事ギルドにたどり着くことが出来た。
「ここか」
やっとギルドらしい建物を見つけられた。看板を見てみると剣がクロスしてる下に“ギルド”と書かれてるから間違えないだろう。
「いらっしゃーい!お?見慣れねえ顔だな」
元気なおっさんが受付をしていた。あ、おっさんは拙いか?
「こんちは。えっと、ギルドに登録したいんだが、どうすればいい?」
「おお、ちょっと待ってろ…」
そう言われ、少し待つ事30秒…。
一枚の紙を渡された。
「この紙のそれぞれの枠にお前の名前、性別、年齢、住所を書いてくれ。あ、住所は書かなくてもいいぞ」
「そうか。ありがとう」
良かった。「住所:異世界」なんて書いたって恐らく怪しまれるだけだろう。
書かなくていい理由を訊いたら、旅をしている人も多く、「住所」という概念が無いため、書かなくてもいいらしい。ただし、書いておくと、もし死んでしまったときにまあ、送られるらしい。
必要な情報を書き終え、受付のおっさんに渡した。
「おう。ありがとう。名前は…イツキ・ヤギュウだな。俺の名前はハウド・ウィンドだ」
「ハウドか。よろしくな」
「ああ、後はギルドカードを渡すだけだが、まず、このカードに血を垂らしてくれ」
「一滴でいいよな?」
「ああ。十分だ」
言われたとおり、カードに血を垂らした。血?針で出したよ。針は借りた。
「よし、これでお前の情報はこのカードに記憶された。見てみろ」
カードにはさっきまで無かった文字が書かれていた。
NAME:イツキ・ヤギュウ
AGE:16
TYPE:人間・男
RANK:F
属性:?
ランクは一番最初のFだった。まあ、当たり前だ。
ちなみにランクは、
F→E→D→C→B→A→S→SS→SSS
の順番でランク毎にカードの縁の色も変わる。
F=黒、E=紫、D=緑、C=黄、B=青、A=赤、S=金
となり、SSからは☆印が付いていく。
SSSランカーは世界で未だ三人しかいないらしい。
「ランクっていうのはどうすれば上がるんだ?」
「クエストをこなすかレベルを上げていくことで自然と上がっていくぞ」
「そうか、ありがとう。あともう一ついいか?」
「おう、どうした?」
「属性って欄が?(はてな)になってるんだが…どういうことだ?」
「あー、自然に判断できなかったって事だな。稀ではあるが、事例はあるし、問題無いと思うぞ。ここで調べてみるか?」
「ああ、頼む」
受付のおっさんに別室に案内された。応接室みたいなところか?
「まずはこの石に触れてみてくれ」
まず出されたのは赤い石。火属性の魔石だそうだ。その石に触れてみると、
「お?赤く光ったな」
「おお、反応したな。まずお前には火属性があるようだな。さて、次に行くぞ?」
次に出されたのは青い石。水属性の魔石だ。その石にも触れてみたら、
「これも光ったな」
「これも反応したな。水属性もあるようだな。よし、次だ」
次に出されたのは緑の石。風属性の魔石だ。
「これも光るんだな」
「おお、珍しいな。これも反応した。三属性持ちなんて滅多にいないぞ?」
そりゃいいな。力は沢山有ったほうがいい。
次に出されたのは黄色い石。光属性の魔石だ。
「はあ、もう言わなくてもいいか?」
「本当にお前はすごいな。これも反応したぞ?!」
四属性も持ってるみたいだ。んで、次に出されたのは紫色の石。闇属性の魔石だ。
「…」
「…。あー、これも反応ありだ」
もう何にもいえない。
「これが最後だ」
最後に出されたのは黄土色のような石。土属性の魔石だ。さあ、触れてみた結果は?
「…」
「…」
「…おい、何か言ってくれ」
「あ、あー…そうだな…。えっと、お前は全属性持ちみたいだ。過去に一人だけいたんだが、それもかなり昔の事だ。お前、そいつの生まれ変わりかなんかじゃないか?」
「いや、そんな事はないと思うんだけどな…」
「そうか…。とりあえず、属性検査は終了だ。あ、そういえば、お前何か能力持ってるのか?」
「あ、あー、ちょっと待ってくれないか?」
『おーい、神様』
『ん?どうした?』
『あ、こんにちは、と。あの、ちょっと質問いいですかね?』
『ああ、いいぞ?』
『自分の能力って他人に教えても大丈夫ですかね?』
『あー、相手が悪人とかじゃなければ大丈夫だと思う』
『そうですか。ありがとうございました』
『うむ、困った事があったらいつでも聞きなさい』
相手が悪人ではなければまあ、教えて大丈夫と。なら、大丈夫か?
「えっと、そっちの能力は?」
「ああ、俺のを先に言うべきだったな。俺の能力は状態看破だ。といっても相手が善人か悪人かを見抜く程度だが…」
なるほど、この能力欲しいな。
実験としてやってみるか?
(相手の能力を“奪う”)
お?ハウドの能力の使い方がわかったぞ!
よっしゃあ!成功だ!……何か凄い罪悪感が湧いたがここは流させていただく。
さて、成功したことだし話すか。
「あー、俺の能力は『相手の能力を奪う能力』だ」
「な…、じゃ、じゃあ、俺の能力ももう?」
「ああ、勘違いしないでな。俺の能力は“奪う”と言っても盗むとかそういう意味じゃなくて“コピーする”って考えて欲しい」
「そ、そうか…。じゃあ、もう俺の能力は?」
「ああ、奪わせてもらったぞ」
「なんてこったい!」
「HA☆HA☆HA」
「その笑顔ウザいな…」
いやー、ね?こうもいとも簡単に相手の能力が手に入るとは思えなかったんだよ。だからこんな笑い方をしたとしてもしょうがない。しょうがないったらしょうがないのだ。
「とりあえず、ありがとな。能力の事を教えてくれて」
「こちらこそありがとう。これで自分の能力がわかった。もうそろそろ出発するつもりなんだが、ギルドでやる必要がある事はもう無いよな?」
「ああ。それじゃ、じゃあな!」
「おう!」
別れの言葉を言い交わし、ギルドから出た。
***
「さて、どうすっかなー?」
ギルドから出た事により暇になってしまった。日は未だ高いところにあるから、時間はまだあるようだ。…と、そこに
「きゃあああああああ!!!」
路地裏の方から悲鳴が聞こえてきた。声の質から女の人で、しかもまだ幼い方。、ま、まさか…?いやいや、そういう人たちだって悪い人だって言うわけではない。
「退屈しなくて済みそうだな」
良い退屈しのぎになると思い、俺は悲鳴が聞こえてきた路地裏に向かっていった。
NAME:イツキ・ヤギュウ
TYPE:人間
LV:18
EXP:5215
NEXT:895
HP:820
MP:580
CRI:5%
STR:135
DEF:125
DEX:132
INT:110
AGL:145
能力:能力収奪
属性:火,水,風,光,闇,土 <全属性持ち>
スキル:能力鑑定Lv.1,連続斬Lv.1,急所突きLv.1
ルード:54.815
おはこんばんにちは。水司と言う者でございま…「何やってんだ作者?」
は?樹月君?!なんでここにいるんだ?!
「あー…、暇だったから?」
あ、はい。ソウデスカ…。
「おう、後は作者が駄文をグダグダダラダラ書いてるから活を入れようと思ってな」
え、は、いや、結構でs「問答無用」ぎゃああああああああああ!!!
~作者はログアウトしました。~
「っと、作者がダウンしちまったから代わりに俺が締めるか…」
いや、まだだ!未だ認めない!!!
「何をだよ…。てか復活早いな…作者…」
まあな!と、まあこんな人間なので誤字脱字や、こうすると良くなる等のアドバイス等がある人がいるかもしれません!その場合は問答無用でバシバシ送ってきてください!
「お前はドMか…。可哀想にな…」
やめてください。僕のHPの残りがあと僅かデスカラ…
「はぁ…しょうがないな…じゃあこの辺にするか。それじゃあ次回まで…」
『気長に待っててね!』
~更新情報~
H26.8.7. ステータスを追加
H26.8.8. ステータスを一部変更
H26.8.10. 本文の一部変更
H26.12.26. 本文の一部を訂正
H27.9.20. 本文の一部、能力を変更




