4・怪盗リディアの最後の晩餐
ホラー×アクション
こんなフリーホラーゲーム
があったらやりたいな
と思って考えた作品です
あっ!このお話は続きません
俺はリディア、職業は怪盗だ。
それも、多くの国に名の知れた怪盗で『盗んだ物は2度も見つからない、そして、絶対に捕まえられない怪盗』という噂もある。
怪盗と言っても俺の場合は、頼まれ怪盗でな。つまり依頼を受けて他所の家から宝石や高価な物を奪う、中には義賊だとか言って私利私欲のために盗みをする怪盗もいるがな。
「ここか」
満月が綺麗な夜。今、俺はとある貴婦人からの依頼でサンリーフ湖付近にあるオディウル古城に来ている。依頼というのはこのオディウル古城の地下にある 赤い宝石を奪ってきて欲しいとのこと。本当はこの依頼は断るつもりだったが、成功した暁には、依頼主から多額の金を貰うという約束で承諾した。
俺にも色々と事情があって金に困っているんだ。怪盗を始めたのも金がないからという理由だから。
「気味が悪い」
オディウル古城に近づくに連れ、辺りは濃い霧に包まれておまけに悪臭もする。まぁ、それもそうだよな。俺の独自のネットワークから手に入れた情報によると、このオディウル古城はその昔、人体実験をしていた場所だそうだ。いや、今のはざっくり過ぎたな。
もっと細かく話すと、オディウル古城の主、アルファディ・オディウルは有名な医者だった、彼の手にかかればどんな病も治る、当時の人からは神と崇められていた男。だか、しかしある時、彼の娘、シャナが不治の病にかかってしまった。当然、父親の彼は何とかして娘を助けようとするが、結果は残念な事に彼の手では治せなかった。
大事に可愛がっていた娘が亡くなってしまった悲しみは何日も続く。当時の噂によると彼の妻は娘のシャナが幼い頃に出て行ってしまった。だから余計に娘に掛ける愛情が狂気染みていたそうだ。そしてある日、彼は唐突に思いつく、亡くなってしまったのなら、『呼び戻すだけだ』とな。
その話を聞いて俺はリディアの考え方が馬鹿らしいと思った。亡くなっちまった物や人は、もう2度と戻らない。どれだけ願っても帰りはしないのに。
ここからが重要だ。彼は娘を生き返らせるために、錬金術の道へと走った。そして瞬く間に世界に名を馳せ大賢者と呼ばれるようになったらしい。この時、齢は推定40歳。
そして、彼はついに医療と錬金術を合わせて死者を蘇らせる禁忌を完成させた。完成させたのはいいが、もし失敗をしたら2度娘には会えなくなるので、最初に彼は街にいた浮浪者で実験をした。わざわざ、浮浪者を××してから実験をしたらしい。
実験の結果は、失敗。それでも彼はまだ繰り返した。何度も何度も、死者を蘇らせる禁忌を改良して。やがて、いつしかそれは、死者の蘇生からキメラを作ることへと変わった。例えば、犬と人やライオンと蛇。この時の年齢は推定60歳
そこで話は途絶えてた。この事から彼はこの歳で流行り病か何かで亡くなっと言われている。まぁ、この話は100年以上前の話なんだが。
この話を信じるか信じないかと言えば、俺は信じない、そもそも幽霊とかキメラとかで怯えていたら仕事にならないし、何より元から信じていない。
という事で、仕事道具のリュックを背負いオディウル古城の依頼をこなすことにしよう。
* * *
灯りが付いたランプを片手に古びた城の中にはいる。昔は広くて豪邸だったと見受けられた。廊下にはには高級そうなツボや銅像、壁には、びっしりと、幼少女の自画像。多分これは、娘のシャナだな壁を埋め尽くすほどの自画像があるから反対に気味が悪い。
幸いにも、依頼主の貴婦人からここの地図を渡されたいるので、地下に行くことは容易かった。
そして赤い宝石がある地下室に辿り着いた。ここまで来るのに時間はおそよ30分もかからなかった。こんな簡単な場所なのに、なぜ依頼主の貴婦人は、来ようとはしなかったのだろう。多分、気味が悪いとかそういう理由で来れなかったのか。
そんなことはさておき、物がたくさん置かれた地下室をよーく探すと、赤く光る何かを発見、見つけた、これが依頼主に頼まれていた赤い宝石だ、今回の依頼は簡単だったな。それにしてもこんな簡単な依頼で高額な金出すのも変な話だな。
「カロロロ……」
不気味な声に驚き後ろを振り返ると、入り口から灯りが見えた。俺はすぐに自分のランプの灯りを消して物陰に隠れる。すると出てきたのは、人の形をした人ならざる者。つまり、化け物だった。
なんだあれは、体は人だが上半身裸で胸と腹に人の顔が埋め込まれている。正直言っておぞましい光景、俺がそんなことを思っているとも知らず、化け物は部屋に入って来た。そして、鼻をひくつかせると、腕が変な音と共に伸びて、さらに脇からも手が生えてきたではないか。
「カロ…ロロロ?」
化け物が鳴いた瞬間、辺りに灯りが付いた。
「カーロッ!」
すると、化け物は手を振り上げて、俺がいる場所に振り落とした。
ガッシャーン
半身を逸らすだけで防げた。がなんという威力。これが、人体実験の奴らか?いやその話は100年以上前のことだろ。
「カーロ……ロロロロロロ」
ゴキゴキ、腕が元に戻り化け物は部屋から出て行った。おいおいこんなのは聞いてなかったぞ、ここで俺は友人から聞いた言葉を思い出した『行きはよいよい帰りは怖い』
「ははっ」
まさにそうだな。これから俺は、あの化け物を避けつつ、この城から出ないといけないのか。はぁ、こんな仕事引き受けるんじゃなかったな。
こうして俺は、なんとかしてこの城から脱出するのことにしたのだった。
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