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   聞こえた。

   確かに呼ばれた。俺の名前を。今の声は。

  「ナイカ!」

   瞬間、俺の横にいきなりミーシャが現れた。

  「な、なにして!?」

  「それはこっちのセリフだ!神殺しはどうした!?」

  「あ、ああ、あそこに」

  「このやろぉおおおおおおおおおおおおおおおお!がああああああああああ!」

  「神殺しキースが・・・・・・・・お前がやったのか」

  「それよりなぜいる?船は?」

   と、言うと、カタカタと耳元になにか響いた。足音?と思いきや、

  「ナイカ様!」

  「ひ、姫様!?なぜ!?」

  「あなたをおいてなどいけません!」

  「み、ミーシャ!急げ!逃げるんだ、姫様を連れて!」

  「何言ってんだ、お前を助けに来たんだ」

  「なっ?」

   そして、丸く応じも上がってくる。

  「大丈夫か!?なっ、た、倒したのか!?神殺しを!?」

  「た、倒したわけでは、み、ミーシャ奴を殺せ」

  「なりません!」

   言うと、姫様が叫ぶ。

  「人を殺してはなりません」

  「な、何を言って」

  「ミーシャ様、ナイカ様を船へ」

  「あ、ああ」

   そう言うとミーシャが黙って俺を担ぎ上げる。

  「お、おい、ミーシャ!」

  「いうことを聞け、姫様の命令だ」

   そう言うと、俺が反論する間もなく、一瞬で船の上に姫も担いで飛んだ。

   その飛んでいる途中、俺はそのまま気を失う。その途中、船が叩きで損傷したか、耐え切れなかったのか、そのまま、海の藻屑と消えた。

   ※    ※    ※

   目が覚めると、そこはいつもの部屋ではない。俺はここで護衛についていたことを

思い出す。瞬間、極度の焦りに駆られる。

(何を寝てるんだ俺は)

 ベッドから一気に飛び起き、部屋をすぐに出る。何日寝ていたんだ俺は。もしかしたら、この間にも!と、廊下を走っていると、ミーシャの姿が目に映る。

「ミーシャ!」

「え!?もう起きたのか!?」

「俺はどれくらい寝てた!?」

「いや、ほんの5分だ、今から治療しようと」

 そうか、気を失ったのはほんの少しか、確かに包帯も何もされていない、特務で鍛えられたおかげで怪我に慣れてるとは言え、流石に体が痛い。と、そこに、

「目覚められましたか!?早く、お部屋に!治療を!」

「あ、あの、落ち着いてください!」

 俺を見るなり姫様は我を失ったように話し出した。俺は一旦姫を落ち着かせ、自分の部屋に入る。ミーシャもそのあとをついてきた。

「落ち着いてなどいられません!あなたは今!」

 確かに、大きな傷を負った。だがこんなのは日常茶飯事。神殺しと戦ってこのくらいなら安いものだ。

「大丈夫です、姫様、冷え様はお体を休めてください」

「なぜ・・・・・」

「え?」

「なぜそこまでして、命まではって私を!」

 そう言われると、返答に困る。なぜ、その答えは自分でもわからない。ただ、命令だから?いや、違う。そうだ、俺は、俺という人間はここまで任務に忠実な人間ではない。そんな俺がここまで忠実になる理由、それは、

「あなたがこの世界を担う御方だと思ったからです」

 そう言うと、姫の顔がみるみるうちにしわくちゃに崩れる。涙を流し、そして、

「それでもです!あなたがそう思ってくれているのなら!あなたは生きてください!」

「え?」

「今命令します!私がこの世界を担う姫となった暁に、あなたは私専属の護衛となりなさい!」

 その言葉を聞いて俺は一瞬何を言っているのかわからなくなってしまった。

「わ、私が姫様の・・・・」

「そうです!この戦争を乗り越え、そして私がこの世界をよきもの、良き時代を作ることに、あなたの手を貸してください!」

 姫の目は俺の目をしっかりと見て、その目は明らかに嘘をつく目ではなかった。

 これに返事をしていいものか。この旅で俺は命を落とす確率が高い。そんな中約束などしていいものか。そしてなによりアンノーンである俺が、

「身分なの関係ありません!私はあなたが!あなたが必要なのです!」

「わ、私が」

「そうです!命懸けで救ってくれたこの命がそう訴えています!」

 姫の熱を感じるほどに接近されている。妙な気持ちになる。心臓が唸るような。だが、約束というのは決して破ってはいけないもの。もし俺が死んだなら、そう思い俺は、

「姫様この答えは姫様を無事送り届けたらお答えいたします」

「なぜです!?」

「姫様、私は兵です、この命いつでも落とす場所はいくらでもございます」

「何を言って!」

「姫様、私は全力であなたを守ります、そしてこの命がアリ、そしてあなたを送り届けたときに、先ほどの申し出の答え、言わせていただきます」

 そういい、俺は頭を下げる。そして姫の返答は、

「分かりました、ならば約束してください、必ず生きると」

 その真剣な眼差しに嘘をつけようか。

 

 その真剣な心に嘘をつけようか。


 その純粋な女性に、嘘をつけようか。


 俺はっこの姫様の言葉に返事をすることができなかった。

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