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(3)

そのことからちょうど3時間ほど経過した今。俺は自分の部屋で武器を磨いていた。

   俺は思った。これからは力を惜しんではいけないと。

   そして俺は自分の剣、自分の背丈よりも長く、鋭い赤と黒の不気味な色合い、我が 

  愛剣を握った。名は――――――

    コンコンっ。ノックがなる。俺は急いで剣を背にしまう。

  「はい?」

  「私」

   その声はミーシャだった。

  「いいぞ入って」

  そう言うと、ドアが開いたのだが、誰も現れない。そして、

  「ふっ!」

   ガシ。俺は、腕を上にあげ、細い腕を掴んだ。

  「くそー」

  「お前ふざけてるのか」

   それはミーシャだった。忍者とはすばしっこいもので目に見えない速さで、天井裏 

  に張り付いたのだ、そして俺に飛びかかってきた。

  「なんで見えるんだ」

  「目がいいからな」

  「絶対うそだな」

  「それよりなんのようだ」

   ぶすっとして、俺の前にあぐらをかく。

  「パパ様の話を聞かせてくれ」

   解放されたらすぐこれか。

  「いいか、お前は姫様にしたことをだな」

  「わかってるって、反省してるって、だから教えろ」

   絶対わかってないな。

  「ああ、わかった、でもそれは巡回しながらだ、下に降りて様子をみる、お前もこい」

  「分かった」

   父の話となるとすぐに承諾した。やはりまだまだガキだった。

   だが、俺はこの時昨日の嫌な予感がまだ取れてはいなかった。

   ミーシャを連れて下に降りると、そこには、見張りふたりの姿がある。見張りは確

   か3人が義務付けられているはず。もうひとりはどうしたものか。そう思いあたり 

  を見渡すが、いない。たしかこの時間帯は、目に見えた二人ともうひとりジルクさん

  だ。彼が任務を放棄して休憩しているなどないと思う。誇り高き竜殺しはそんなこ 

  とはしない。そう思い込んでいた。

「ミーシャ、ジルクさんがいない、あの人はを探してくれるか」

「ん?ああ、わかった、見つけたら報告する」

「ああ、頼む」

 そう言うと、目にもくらむ早さでミーシャは消えた。それを見送った俺は見張りの一人に近づく。

「お疲れ様です!」

「ああ、お疲れ」

 気の良さそうな、40歳程度に見える男性。名は確かコボルト。

「あの、ジルクさんは?見当たらなかったもので」

「あ、ああ、ジルクさん、あの人は今は、そう!先ほどリヴァイア王に報告をと」

「報告・・・・ですか」

 俺は報告するようにと一言も言われていない。それを竜殺しに頼むか?姫専属の俺に頼むならまだしも、ジャックされる危険性があり、必ずとも裏切らないと保証はない人物に。

 俺のように、特務で育ってきた人間に敵国と接触がなかった人間は裏切る可能性は0だ。そう考えると普通ならその役目は俺に任せるはず。昨日から少し様子が変じゃないか。

「報告とは、どのような?」

「あ、そ、そうだな、船内のことじゃないか、細かいところは聞いていないんだ」

「そう・・・ですか」

 コボルトさんの様子も少し気がかりなところがある。そもそも、報告をすることを普通、

ほかの仲間に教えるか?それは危険性がますってものだ。

 俺は、そこをあとにして、確認のためにほかの人にも情報を聞こうとしたとき、

「いた、船底でなにかしている」

 と、いきなり上から声が聞こえる。

「船底だと?何をしていた?」

「暗くてそこまではわからない」

 そうだ!

「おい、ミーシャお前はジルクさんに、リヴァイア王に報告があることを聞かされたか?」

「報告?そんなことは一度も」

 やはりそうだ、同じ仲間である、コボルトさんが知ってるならば、少なからず忍びである、コイツのその情報がいかないことはほぼない。

 それに船底で一人で・・・・・・・・・・・・・・・・!?

「急げ、ミーシャ!敵が来る!」

「な!?いきなりか!?説明しろ!?」

「説明はできない!言葉にしていたらキリがない、動け!まずは姫様と王子の元へ行け!

なるべく、上にだ!上だ!そのとき敵がいても構うな!」

「わ、わかった!」

 聞いたことがある、北の国には海底を移動できる船があると。もしかしたら既に敵がこの船内に!?

 俺もミーシャを行かせたあと、すぐに向かう。ミーシャのスピードは俺を凌ぐ。姫様たちを逃がしてる間に俺が敵を始末する。

 そして走っていると、先ほどまでいた見張りたちが全員消えている。やはりか!

 ミーシャなら奴らよりも早く間に合う。その間に俺が奴らに追いつかねば!

 俺は全速力で走り、一気に上へと駆け上る。

「待て!」

 走っていると、そこには、見張りの7人がいた。くそっ、ジルクがいない。

「お前ら、裏切りか!!」

「おい、お前らがやれ」

 と、コボルトが、3人ほどに命ずる。くそっだれ!俺はこの時リヴァイア王も特長も馬鹿だ。そう思った。なぜ、頬下に護衛がいるのかと。人の感情などどうとでもできる。裏切りの理由は、完全に優勢な北の国に金と家族の命でも保証されたのだろう。人の感情とはその程度で動くものだ。だからこの任務を遂行できるのは家族もいない、北の国との連絡手段もない、その俺にだけ任せればよかったのだ。姫に言われたが仕方あるまい。

「アンノーンごときが」

「抹殺」

 俺はその一言をいい、背に手を持っていく。瞬間相手3人が駆け出してくる。

「ふっ」

 一息吐くその一瞬、相手人の上半身と下半身が二つに分かれる。その光景を見た、コボ 

ルトたちは、目を見開く。俺の持つ自分のセよりも長い黒と赤の剣。名は

「悪魔殺し」

 俺がそう呟くと、赤い部分が刃に付着している血液を飲み込んだ。

「な、何だお前!」

「特務機関所属、ナイカ・ボルスミス」

「お、お前ら、行け!」

 そうコボルトが叫ぶやいなや、その叫びを聴く者はいない。聞けるはずがない。

 既にコボルトたちの心の蔵は止まっていたのだから。

「急がねば!」

 俺は剣を抜いたまま、喘息力で俺は上へ、上へと駆け上がった。

 今の戦闘時間、わずか17秒。

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