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エピローグ

 翌日、俺は警察に二年前のひき逃げは殺人だと伝えた。証拠を提示した上でな。

 その結果、紫暗の父親の液晶黄河は殺人罪で再逮捕された。

 誘拐事件のことは伝えてないから、樂と冷流は逮捕されていない。菜紅が『ひき逃げの件は伝えてもいいけど、誘拐事件の件は伝えたらだめ。逮捕されたら、冷流さんと樂さんに逢えなくなるし、それはいやだ。もし伝えたら、恐妖と口きいてやらないから』と言ってきたからだ。

 この事件は俺たちの記憶には残るが、世間の記録には残らない。この事件は闇に葬られる。誰かが調べようとしない限りは。

 この事件を機に冷流と再会できたわけだし、菜紅と樂には感謝しなければならないな。菜紅には悪いが、誘拐されてくれて良かった。樂が菜紅を誘拐してくれて良かった。この誘拐事件が起きてくれたことに感謝する。

 そういうわけで冷流を思う存分に愛でるとしよう。この俺に愛でられるんだから、嬉しすぎて失神するかもな。その時は看病してやらなくもない。


 ☆☆

  

 俺は紫暗に日記のことについて説明するために紫暗を廊下に呼び出した。

 俺は事件の概要を語った。

 その間、紫暗は相槌を挟まずに聞いてくれた。そして俺は語り終えた。

「そんなことがあったのかい。父がひき逃げしたことは知っていたけど、まさか殺人だったとはね。日記を読んだ時は驚いたよ」

 紫暗は申し訳なさそうな表情をした。父親が咲の生命を奪ったことにたいして、申し訳なく思っているんだろう。悪いのは父親であって紫暗じゃないんだがな。

「そんな表情すんなよ。お前は悪くないんだ。悪いのはお前の父親だ。そうだろ?」

 俺は手を伸ばし、紫暗の頭を撫でた。紫暗は驚いたが、それもつかの間すぐに微笑んだ。

「それもそうだね。ありがとう、恐妖くん」

「礼を言われるほどのことはしていない」

 俺は撫でていた手を下ろした。

「じゃあな、紫暗」

「じゃあね、恐妖くん」

 俺は紫暗に手を振って別れた。


 ☆☆


 その日の放課後、俺は地下へ行った。

 真っ白な部屋の隣の扉を開けて、部屋へ入る。

「恐妖。待っていた」

 冷流が畳に座っている。冷流とこの部屋で待ち合わせをしていた。昨日の夜にこの部屋の存在を教えてもらっていた。

 俺は冷流の側へと近づき、そっと抱きしめた。温かな感触だった。

 頭を撫でる。柔らかい髪だ。さらさらしている。

 俺は何十分と冷流を愛で続けた。

「……うぅ」

 やがて、冷流は可愛いらしい声を上げて失神した。本当に失神するとはな。可愛い奴だ。

 俺は冷流を畳に寝かせ、起きるまで看病を続けた。

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