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小さな兎と猛獣2匹  作者: こころ
第2章 学園祭の準備
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第5話

「まっまず初めに学園祭の説明をします……」


なんでだろう…こういう時だけみんな、静か。


外から生暖かい秋風が枯れ葉を舞い上がらせる。


私はたくさん空気を吸った後、


「学園祭は2つの祭りで文化祭と体育祭に分かれ1週間あります、その中にいろいろな行事があり文化祭は各クラスの出し物で教室・町周り・演劇、体育祭はダンスや競技があります…最後に成績発表と後夜祭があり学園祭は終了です」


一気に言うんじゃなかった。


息が持たない……。


「ねぇ…もしかして、息継ぎなしで言ったの?」


「はい…一気に言った方が良いと思いまして」


狼君の顔が不安から苦笑いへと変わる。


「コラ!話を進めなきゃ時間がない!」


「あっそうでした」


若干、怒られたのか分からないぐらいの顔で言った虎君。


「最初に文化祭の出し物を決めたいと思います、何か意見はありませんか?」


「あの!」


突然、廊下側の女の子が手を挙げ立ち上がる。


「はい、何ですか?」


「先にテーマを決めてから出し物をすれば案が出しやすいんじゃないかな?」


女の子は元気よく言った。


するとクラスのみんなも、


「それ、良いかも!」


「やりやすいしな!」


「それではその案を採用します、ではテーマはどうしますか?」


そういうとみんな、顔を見合わせ私に注目する。


「「「「「「動物!!!!」」」」」」


え~っと…木霊したように聞こえたのは私だけでしょうか?


「いいかもな…このクラス全員、動物の名前が入ってるし」


「えっそうなんですか?」


「あぁ…名字に入っていたり俺達みたいに名前だったり」


狼君が分かりやすく説明してくれる。


「それでは『動物』のテーマに沿って出し物の案を出してください」


するとみんな、黙り込んでしまった。


「阿部!」


いきなり、虎君が誰かの名字を呼んだ。


「何ですか~?」


すると真ん中の列の後ろにいた眼鏡をかけた女の子が立ち上がる。


「お前は情報通だ、各クラスの劇の内容は調べてるか?」


「そんなの調べてるに決まってるじゃない!」


「じゃぁ、その中に『シンデレラ』をしているクラスはあるか?」


2人の会話を聞くしかない私達は呆然とその光景を見ていた。


「ううん…みんな、違うクラスがやるだろうからやってないけど?」


「じゃぁ演劇は『シンデレラ』で決まりでいいか?実行委員長」


そう、この学校は出し物がかぶってはいけないのだ。


「私は構いませんが皆さんはど「「「「「「さんせ~い!!!」」」」」」


この叫びは今日で何回目?


「では『動物版シンデレラ』にしましょう」


「あとは教室と町周りの出し物か…」


狼君は頭を抱えている。


まるで獲物をどう捕まえようか考えているオオカミだ。


みんなも同様、悩ませているようだ。


「もう町周りは動物でいいんじゃねぇか?そうだな…題は『動物大集合!』とでもしておくか……」


またもや、虎君。


どこからそんな案が出てくるんだろう。


するとみんな数回頷き、賛成の意を示す。


「あとは教室の出し物ですか…」


私も何か案を出さなければ……。


「喫茶?腕相撲?お化け屋敷?」


私が案を出してもみんな、首を横に振る。


「あとは『コスプレ』ぐらいしか「「「「「「それだ~!!!」」」」」」


虎君も狼君もクラスのみんなも声を揃えて人差し指を私に向ける。


「えっ?えっ?えっ?」


「虎!内容は?」


「そうだな…俺たちがコスプレをして客と撮影なんてどうだ?」


みんなは元気よく頷いている。


「それがいいな!じゃぁ名前は?」


「『動物コスプレ撮影所』とでもつけとくか!」


「あっあの~…話の意図が全く、掴めないのですが?」


「うさちゃんが出してくれた案を採用しただけだよ?」


ニッコリと笑う狼君。


「なら…いいんですが……では次に体育祭の方を決めます」


私が喋り出すとやけに静かになったみんな。


静かになっても何も出てこないんだけどなぁ。


「が、競技がよくわかりません」


「どういうこと?」


虎君が首を傾げる。それにともなってみんなも首を傾げる。


「渡された資料にはおおまかなことしか書かれていなくて」


なんで、「など」が最後についてるの?


生徒会の人、ちゃんとしてよ。


しおりの方もこんな感じだったら嫌だなぁ。


「あとで先生には詳しい資料もらっておきます」


「じゃぁ、あるやつでやっちゃえばいいんじゃねぇの?リレーは足が速い順に決めてサッカーとかソフトは経験者とか運動神経良い奴とかでやろうぜ」


虎君の提案にみんな、頷く。


そういえば、虎君は1番楽しみにしてたな。


「では、このクラスで足が速い男女を3人ずつ選びます」


「それなら私の出番だ!」


さっき、演劇で活躍した阿部さんが勢いよく立ち上がる。


「このクラスで3位までに入っているのは……」


あれ?阿部さんの様子がおかしい。


動揺というより…今にも驚嘆の声をあげそうな顔だ。


「男子は狼と虎と樋野ひのなんだけど…」


へぇ…2人とも、足が速いんだ。


「女子は私と樹鈴キリンと…実行委員長」


みんな、目を見開き私に注目する。


自分でも驚いている。


「まぁでも、速いならいいんじゃねぇか?」


狼君の一言でみんなが唖然としながらも頷く。


大きな声で虎君が言う。


まるで獲物達にこれから食べるぞと吠えているトラのようだ。


「あとは文化祭の係だけか……」


狼君が騒ぐ教室でポツリと呟いた。


「あっ」とみんなが思い出したかのように声を揃える。


「では…演劇の係は台本係・裁縫係、教室の係は一応裁縫係、町周りは屋台係、それからチラシ係と色彩係はどうでしょうか?」


私が提案するとまたみんなが目を見開いて驚いている。


「反対するやつは手を挙げろ」


狼君がそういうと誰も手を挙げない。


「あっそれで教室の裁縫係はみんながコスプレに使えそうな服を持ってくるという感じなのですがもし、服が足りない場合を想定しての係です…皆さん、コスプレに使えそうな服を持ってきてください」


「「「「「「は~い!!!」」」」」」


元気だなぁ…また木霊したように聞こえたのは私だけなんだろうな。


そのあとも得意な係にみんな入っていく。私達、実行委員はいろいろアイディアを出すという役割。


「それでは、明日から準備が始まりますので皆さんで頑張りましょう」


「「「「「「おぉ~~!!!!!!」」」」」」


もうすぐ…先生が来るんじゃないかな?説教をしに……。


第6話に続く


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