表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな兎と猛獣2匹  作者: こころ
第2章 学園祭の準備
16/20

第16話

インフルエンザ最終日に更新しました!学校に行きたいこころです!!だってだって・・・寂しいんだもん!!学校、いきた~い!!それでは、本編へどうぞ!

「あっあの…えっと~…」


「動かないで」


「はっはい!」


う~んう~ん…どうしてこうなったんだろう。


確か、衣装合わせをしてたんだよね。


「馬子にも衣装ってこのことだね!」


って言うと、みんな獲物を見つけたような目になっちゃった。


どこかおかしいのかな?


あっでも、いじめじゃないよ。メイクをさせられてるんだ。


「メイクなんて初めてです」


な~んてことを言ったらみんな、肉食動物みたいな目になっちゃった。


どこかおかしいのかな?


そんな考え事をしていると、どうやらメイクが終わったようです。


鏡がないから、自分の顔が見えない。だけど、


「うん、完璧だわ」


「そうですね!本番もこれでいきましょう」


メイクをしてくれた西明寺さんと羊飼さんがこう言ってるんだから間違いない。


それに、椅子に座るだけで髪もセットしてくれた。ありがたい。


が、しかしだ。メイクをしたかっただけではないらしい。


「あの…私はこれからどうすれば?」


「ちょっと、見せたい人がいるの」


「呼んできますから、待っててくださいね」


と言った2人は理科室を後にした。


さぁ皆さん、理科室って見覚えがありませんか?


そう!あの恋バナをした場所なのです。


理科室は1年4組からも近いので専用の作業場になりました。


かなりトラウマな場所ですが、いろいろ助かっているので何も言えません。


しかし、その恋バナで羊飼さんのある一言が今でも気になっています。


「ぶっちゃけ、狼と付き合ってんの!?」


口調が荒々しいのは置いといて。


私が狼君と付き合っている?


どこをどう見れば、そう見えるんだろう。


まず、狼君は私のお母さんなのだ。


さらに付け足すと、イケメンなのだ。


一言で言おう……ありえない。


しかし、人間というのはそういうありえないことを聞くといつもとは違う行動に出てしまうらしい。


狼君には悪いが、あの言葉を思い出すと何だか顔が見れなくなる。


あと、逃げたくなる。


そう、避けてしまうのだ。


「どうしたものか」


「ホント、ホント」


……………………。


「いつからいましたか?」


「ついさっきだよ。それにしても、今日のうさちゃんは冷静だね」


「びっくりし過ぎて頭がついていってないだけです」


「そっか」


キラキラのオーラを出しつつ、素敵な笑顔で私を見る狼君。


しかし、騙されてはいけない。


何てったってオオカミなんだから。


大体この笑顔のときは、超がつくほど不機嫌でここ何日かずっとこの調子である。


確か、恋バナをした次の日だったかな。


今日だって面白半分で絡んだ虎君が、教室の隅で魂が飛んでいた。


では、次の犠牲者は誰か。


「うさちゃん?黙ってないで喋って?」


無論、私に決まっている。


話題なんてあるわけない。


「きょっ今日は…いいっ良い天気ですね」


「うさちゃん、今日は雨だよ」


見ると、土砂降りだった。


天気作戦、失敗。


「じゅっ準備はすっ進んでますか?」


「まぁまぁかな?」


「そっそうですか…」


話が進まない…どうしよう……。


目線を泳がせていると、気付いてしまった。


今、狼君が着ているのは「シンデレラ」の王子の服!


「その衣装、似合ってますよ」


「そう?うさちゃんも似合ってるよ?そのドレス」


話題が出来た!いいぞ、その調子だ!


「私は七五三にしか見えないと思うんですけど」


「そうかもね。でも…」


それは一瞬だった。


腰に腕を回され、抱き寄せられる。


行った先は狼君の膝の上。


反射的に俯くが、もう片方の手であごを掴まれ無理矢理顔を上げさせられた。


ガタッ!と座っていた椅子が落ちる…音がする。


「今はとっても綺麗だよ?素直に受け入れなきゃ」


と言って笑顔を深くした。


あっ…怒ってる。


それになんだか色気があるような……。


「こんなに綺麗にしてもらったら食べたくなくなるなぁ」


そう言って舌なめずりをする狼君。


「たったたったたたっ食べてもおおおおっおおっ美味しくないです」


というか、人間食べちゃダメェェ!


「ふふっ冗談だよ」


冗談に聞こえなかったんですが。


「そそそっそれでは、はなっ離していっいいいただいても」


「だ~っめ」


色気がまだ出てるんですが~。


「聞きたいことあるから、このままがいい」


わがままオオカミになっちゃったよ。


こういうときはお願いするしかありません!


「にっ逃げませんから…おっお願いします」


狼君の膝の上に乗っても頭一つ分足りない私の座高。


自然とのぞき込む体勢になる。


すると、目を見開いたかと思えば顔を手で隠した狼君。


しかし、真っ赤な顔が丸見えである。


熱でもあるのかな?


「分かった…分かったから、他の奴にさっきの見せんなよ」


まだ、ほんのり赤い頬で私を机に座らせる。


どんな顔だったんだろう。すごく気になる。


「ふぅ~」と深呼吸を1つし、真剣な目で私を見る。


「うさちゃん、絶対嘘つかないでちゃんと答えてね」


「わっ分かりました」


「じゃぁ、単刀直入に聞くけど、何で避けんの?」


ちっ…気付かれていたか。


いや、普通あんなに避けてたら気付くよね。


「えっ…えっと~わたっ私にも…いろいろっ……事情が…ありまして」


狼君、めっちゃ怖い!言う度に笑顔を深くしてる。


「いろいろって?具体的にいってよ」


今すぐにでも、襲ってきそうなオオカミが目の前にいます。


獲物にロックオンされたウサギはどうすればいいでしょうか。


ここは正直に話す?


いやいや、正直に話したら恋バナをしてたことがばれる!


そうなれば、根掘り葉掘り聞かれる!だって、お母さんだもん。


じゃぁ、嘘をつく?


おいおい、この嘘がつけない私に嘘をつけと?


狼君だったらすぐ、見破るからもっと怖くなる。


どうすればいいの~!


「うさちゃん、黙ってないで早く答えてよ」


「だっ……だって!気になっちゃったんだもん!」


もういいや!正直に話そう!泣きそうだけど!!


「どういうこと?」


「だって、狼君と付き合ってるのかって聞かれて付き合ってるわけないって思ったのに、あんなガツガツ聞かれちゃったらちょっとは気になるじゃん!!狼君はね、私のお母さんでイケメンでみんなのリーダーだよ!?こんな小人みたいな私と釣り合うと思ってんの!思わないでしょ!!私だってね、学園祭のこととか聞きたかったし正直、話したかったよ!でもね、顔見れないから、逃げたくなるからここ数日は避けてたの!!!」


「ゼェハァゼェハァ……」と息をする。呼吸、してなかったかも。


対する狼君は唖然としていてまったく動かない。


ようやく、動いたと思ったら


「はぁ…俺がどんだけ悩んだと思ってるんだ……」


と頭を抱えてしまった。どうしたものか。


「嫌われたと思ったじゃん」


「嫌うわけないよ!むしろ、大好きだよ?」


「えっ?」


「だって、お母さんだもん!」


「あっ…あぁ…そういうことね……期待した俺がバカだった」


ちょっと落ち込んでたのに嬉しくなってまた落ち込んで。


「今日の狼君は顔がコロコロ変わるね」


「自分でもびっくりだよ。3日間も落ち込んでた自分が情けない」


何があったんだろう。3日前といえば、恋バナをした次の日。


狼君が超不機嫌になった初日だ。


雨も続いてたから狼君の気持ちを天気が察したのかな?


「元気出してください、狼君。私が力になれることがあるならお助けします」


出来る範囲で、というのは言わなくてもいいだろう。


しかし狼君はそれでピンときたのか、いたずらっ子の笑みになった。


それに、オオカミの耳としっぽが見えるという幻覚まで。


何だか、ピンチな気がする。


ピンチをチャンスに変えろなんて言葉あるけど、私には変えられません。


なぜなら、ウサギだからです。関係ないけど。


「どうしよっかな~」


何だか楽しそうだ。私は泣きそうだ。


昔の狼君はこんな感じじゃなかった。


真面目で優しくて中心にいる人。


でもどこか……


「寂しそうだったなぁ……」


「……えっ?何のこと?」


ちょっと、不意をつかれた顔をする狼君。


周囲にクモの巣みたいに気を張り巡らしていたからこんな顔も高校に入ってから。


「狼君って…ロボットみたいだったよね、昔」


「えっ、そう?今と一緒だと思うけど」


優しく微笑んでいる狼君。でも、嘘の笑顔だと思う。


安心させようとしてる。誰を?私?みんな?それとも……


狼君自身?


「ロボットって操ればそれに従うでしょ?でもね、壊れちゃうんだよ。時が経つと。使い過ぎると」


「何の話をしてるの?」


「狼君の昔の話だよ。今の狼君はね…人間らしいロボットだよ」


さっきまで笑ってた狼君が険しい顔で私を見る。


「俺は人間だよ。ロボットじゃない」


「そうだよ。でもね、何かにまだ縛られてる。狼君は何を恐れてるの?前に私に言ったよね?人からの冷たい視線、自信をなくす言葉。もしかして、これって狼君自身が受けたくないんじゃないの?狼君…狼君の笑顔を台無しにしたのはだぁれ?」


ここは強引にでも聞かなきゃ狼君は話してくれない。


いつもいつも、人を助けてばかりで自分のことは1度も話したことがない。


狼君をじっと見つめていると、諦めたような声で


「やっぱ…うさちゃんには敵わねぇなぁ……。うさちゃんはさ、完璧な奴っていると思う?」


また、笑顔を作る狼君。でも、ちょっと悲しそう。


「いないと思います」


「そっかぁ。昔もこんな話してたよね?」


くそっ!忘れてると思って言ったのに!


「もう1度、掘り返してみました。昔はもっと丁寧に言いましたが」


「ははっ。でも、昔と違うのは人間らしいが入ったことかな?」


「ほら…ちゃんと笑えるじゃないですか」


「そっ…そうかな?」


目線を下にして、顔を隠す狼君。


ほんのり赤い頬が見えた。


「やっぱり、狼君は熱がありますね!」


「えっ?」


「ほら、おでこを貸してください」


「物みたいに言っちゃダメだろ。あと、いつまで机にいるつもり?」


はっ!それもそうだ。ていうか、乗せたのは狼君でしょうが!


ストンと机から降りる。


すると、後ろのドアからみんなが覗いているのが見える。


「皆さん!何してるんですか!?」


「「「「「リア充だったぁぁ!!!!」」」」」


そう言って、どこかに行ってしまった。


どこから見てたんだろう。あの話のあとだったらいいけど。


「狼君、『シンデレラ』の台本持ってますか?」


「持ってるけど…練習?」


「はい!みんなにも迷惑かけたくないので。練習、付き合ってくれますか?」


「俺は暇だから、別に構わないよ」


「じゃあ、このシンデレラと王子様が会ったところから」


やっぱり、狼君と話すときが1番落ち着くなぁ。


第17話に続く


狼君の過去がちょっと見え隠れしています!!でも、まだ過去は出しません!!次は、文化祭ばっかりだったので体育祭の方の話を入れようと思います。楽しみにしていてください!!インフルエンザ、治します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ