表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな兎と猛獣2匹  作者: こころ
第2章 学園祭の準備
15/20

第15話

こころちゃんの登場だぜ!!(キラン)……ごめんなさい、でしゃばりました。あいもかわらずの亀更新。亀ちゃんな私はやりました!!では、本編へどうぞ!!……寒い。


見覚えのある散らかった部屋。


したたり落ちる真っ赤な血。


遠くで鳴り響くサイレンの音。


見渡せば離れていくみんな。


暗い世界にボロボロの私。


「やっやだ…置いていかないで!!」





「はっ…はぁ…はぁ……」


嫌な夢を見ちゃった。


目をこすると指に冷たいものが当たった。


水だ。泣くのはいつぶりだろう。


それに金縛りにあったように身体が重い。


如何いかんせん身動きがとれない。


辺りを見渡そうと顔を横に向けると、


「スピー…スピー…」


とても気持ちよさそうに虎君が寝ていました。


ベッドにじゃないよ!腕を組んで寝るあれ!


授業中に寝るあの体勢だよ!


凄く近かったから反応に遅れちゃったよ!


それに何だか嫌な予感がする。


そーっと座る体勢になると、私の予感を遙かに超える光景が目に飛び込んできた。


「「「「「スースー……」」」」」


いやいやいやいや、何クラス一同私を取り囲んで寝ちゃってるの?


学園祭の準備は?終わってないよ?


溜息を吐き、辺りを見渡す。


保健室だ。鮃先生はいないみたい。


あれは夢、ここは…現実。


「もう…泣かない」


手をギュッと握り、震えを抑える。


深呼吸もして、気持ちを落ち着かせる。


すると、ガラガラとドアの開く音が聞こえる。


肩が跳ね、視線は扉に向かう。


「あっ、うさちゃん大丈夫?」


「小乃さん、起きてるの?」


ひょこっと顔を出したのは狼君と鮃先生。


一気に肩の力が抜ける。びっくりした~。


「はっはい。何とか起きてます。それで…この状況は?」


私が視線を寝ているみんなに向ける。


それに伴って、2人も視線を向け、納得と呆れたような顔をした。


「離れたくないってうるさくて」


「うさちゃんのことが心配だったんだよ」


「私のことが心配?」


首を傾げると、狼君が隣に座って優しく頭を撫でてくれる。


隣、空いてたんだ。狼君が寝てたのかな?


「うさちゃん、みんな心配してたんだよ、分かる?みんな、うさちゃんのこと大事なんだよ?」


優しく微笑む狼君。髪、くくり直しておけば良かった。


それにあまりにも優しく撫でるから目から水が溢れてくる。


あ~ぁ、さっき決めたのに。


「うわぁ、狼が兎ちゃん泣かしたぁ」


「サイテー」


「いじめっ子はおうちに帰れ」


「女の子の頭撫でるとかセクハラだな」


「兎ちゃん、そんな奴の隣にいちゃいかん」


「「「「「さぁ、こっちにおいで」」」」」


「お前ら、言いたい放題だな。あとで覚えてろよ」


みんながあの体勢のまま、狼君に小言を口々に言う。


狼君の顔は見えないけど、みんなの顔が青ざめてるからきっと怖い顔をしてるんだろうな。


「ふふっ…笑ったから目から水が出てきた」


何度も何度も目をこするけど、止まらない水。


悲しいのか、嬉しいのか。後者であって欲しい。


「水じゃなくて、涙っていうんじゃ」


「気にしない気にしない」


「ほら、俺の胸でお泣き」


「セクハラしてるし!ほら、私の胸で」


「ば~か!こういうときはみんなでだろ?」


「「「「「「さぁ、飛び込んでおいで!」」」」」」


みんなが両手を広げ、さぁ!と笑顔を向けてくる。


「ほらな、みんな心配してくれてるだろ?」


狼君がいたずらっ子の笑みを浮かべる。


「そう…ですね。昔はこんなことなかったのに。こんなにも楽しいなんて想像つきません。私、1人じゃないんですね」


笑っているのが分かる。


震えは止まった。涙も止まった。


でも、不思議なことが一つ。


私が笑ったら、みんなが鼻血を吹いて飛んだ。


―――――――――――――――


「いや~、面白かったわねぇ」


「私はびっくりしてまた気絶しそうでした」


準備をしながら西明寺さんと羊飼さんと雑談。


綺麗な2人に挟まると、肩身が狭くなる。


今、作っているのはメニュー。


前に作っていたクッキーやジュースを手書きで書く。


そこにイラストや模様を付ければ完成。


イラストは動物。1枚1枚違う動物を描く。


私は文字を書くだけ。あとの二人はイラストを描く。


「でも、まさか兎ちゃんが絵が下手なんて」


「あとで皆さんに見せましょう」


「やっやめてください!はっはっ恥ずかしいです!」


いつの間にか2人は仲良くなってて、「冗談冗談」と言って笑ってる。


「まぁ、それにしては字が丸くて可愛いからOKね」


西明寺さんは髪をお団子にしてる。


どんな髪型でも似合っちゃうからいいよねぇ。


「私も髪型、変えようかな?」


「どうしたの?まさか、恋でもしちゃった?」


「えっ!兎さん、恋してるんですか!誰ですか?」


2人が私に顔を近づけ、「早く早く」と言う。


「まっ待ってください!恋なんて私にはまだ早くてですね、あれは大人の世界なんですよ!」


2人に顔が見えないように覆い隠す。


「ふ~ん…じゃぁ、私は大人ね」


「えっそうなんですか?狐子さん」


「えぇ、だって雷怨会長に恋してるんだもん」


「告白はしたんですか?」


西明寺さんを見ると、手を頬に当て首を振った。


「それらしいことは言ってたんだけど、空回りしちゃって。雷怨会長、ホント超鈍感だからね」


あの威厳のある生徒会長様が超鈍感。ありえない。


「生徒会長が鈍感なんて、想像がつかないです」


「そうよねぇ。で、麗瑠うるちゃんの恋のお相手は?」


西明寺さんが怪しい笑みを浮かべる。


「ぅえ!わっわっわっ私は…べべっべべ別にいまっいませんよ」


動揺っぷりが半端じゃない。


「私、見ちゃったんだ。クッキー鬼ごっこしたとき、麗瑠ちゃんが中庭のベンチで」


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」


西明寺さんが何かを言いかけると、真っ赤な顔をした羊飼さんが叫ぶ。


木霊しましたけど。


今は放課後で私たちはなぜか理科室にいる。


だから、3人しかいないのだ。


ん~でも叫んだら誰か来そうな気がする。


「みっみっみっみっみ見てたんですか……?」


「えぇ。付き合ってるわけじゃなさそうだったけど、なんだかあそこだけ熱々で」


妖艶ようえんの笑みを浮かべる西明寺さん。


「うっえっあっ」と言葉を発せない真っ赤な羊飼さん。


沈黙が流れていると、後ろのドアがガラッと開き、


「どうした?なんか叫び声が聞こえたけど」


やっぱり聞こえてたんだ。


ホント、私のクラスってどうしてこう声が大きい人ばっかりなんだろう。


「ひゅるっ!!」


……んをぉ?


羊飼さんは魂が抜けたような音を出して立ち上がった。


「ちっちちちち千唯汰ちいた!!なっなっなななななんで」


「はっ?だから叫び声が聞こえたからだって」


「いっいいから!大丈夫!!大丈夫だから、じゅっ準備に…戻って!!」


樋野ひの君を廊下に押し返す羊飼さん。


「おい麗瑠!その態度は何だよ!俺らはおさ「うわぁぁぁぁ!!!」


今日2度目の木霊です。


「いいから!!今日、一緒に帰るから!」


羊飼さんがそう叫ぶと、ちょっと嬉しそうになった樋野君。


「分かった分かった。あっ、2人とも頑張れよ」


ニコニコと笑いながら、理科室を出た樋野君。


「いやぁ、暑かったねぇ」


「そっそうですねぇ。お花が舞っていましたねぇ」


顔に手をパタパタさせて、「あつあつ」と言ってみる。


「で、どういうことですか?」


「あらぁ、兎ちゃんはまだまだ、おこちゃまね。あれが恋っていうのよ」


「そっそうなんですか!だからかぁ、無意識に暑さを感じました」


羊飼さんをみると、プルプルと小刻みに震えている。


「それで…片想いのお相手は千唯汰君ね」


ふふっ、と上品に笑う西明寺さん。


「べっ別にあんな奴、好きじゃないし」


敬語を忘れている羊飼さん。


敬語じゃないほうが素なのかな?


「でも、何だか親しかったし」


「それは幼馴染みで今までずっと一緒だったから…って何言わせてるの!!」


怒った姿は怖いって聞くけど、全然怖くない。


だって、顔を真っ赤にしてるし。


「私は何も言ってないわよ。ふ~ん…幼馴染みなんだぁ。そりゃ、好きになっちゃうよね」


羨ましそうな西明寺さんの顔。ほんのり赤い頬の羊飼さん。


どうしよう…話についていけない。


こういうときはなんて聞くんだっけ?


う~んう~ん…よし、これだ!


「どんなところを好きになったんですか?」


「えっ…そりゃ、カッコイイところ」


「どんなところがカッコイイんですか?」


「そっそれは…楽しそうに走っているところとか、誰かとじゃれ合っているところとか、私のこと心配してくれるところとか、たくさんありすぎて全部言えない。けど、気付いたら目で追ってて、ドキドキして…恋って気付いたんだ」


羊飼さんは楽しそうな、嬉しそうな、恥ずかしそうな、そんなふうに微笑んでいた。


だから、女の私でも「綺麗だな」と心から思う。


恋をすると、人は綺麗になるってどこかで聞いた話だけど、本当のようだ。


私も恋をすれば…綺麗になれるかな。過去も今も未来も。


好きな人に言えるのかな?


「分かるわぁ…すっごく分かる。恋って素敵よね。だ・か・ら!兎ちゃんも早く恋をするのよ!!!」


西明寺さんがギラギラした目で私を見てくる。


あっ、この目見たことある。


大家さんが私に恋バナを振ってくるときの目だ。


「私もそう思います。気になってる男の子とかいないんですか?ドキッってしたことは?初恋は?」


羊飼さんも敬語に戻り、ギラギラした目で私を見てくる。


どうして…どうして…こうなってしまったのか。


きっとこれは、永遠の謎です。


そのあと、散々恋の話をされてしまった。


遠い目になったのは…きっと私のせいじゃない。


第16話へ続く

放課後と言えば、13話の最後に会長がパソコンをカチャカチャしてたときですね。はい、関係ありませんね。すみません。

所変わって、亀ちゃんな私は短編を書こうと思っています。それもただの短編ではないのです!!詳細は活動報告で!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ