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小さな兎と猛獣2匹  作者: こころ
第2章 学園祭の準備
11/20

第11話

はぁ~……。亀更新亀更新亀更新亀更新(作者は今、壊れております。少々お待ち下さい。)・・・・・・・・・・はい!ということでこころです!さっきのは…ネガティブこころと呼んでください。それでは本編へどうぞ!

「わっ私も舞踏会に行きたいです!」


「シンデレラ!お前は屋敷をすべて、掃除しなさい!舞踏会になど、行かせませんわ!!」


「そうよ!あんたなんて王子様に見向きもされないわ!」


「それに、着ていくドレスなんてないんでしょう?それとも、そのみすぼらしい服で行くつもりかしら?」


「…わっ分かりました。ですが、せめてお姉様達の身支度みじたくをお手伝いさせていただいてもよろしいですか?」


「シンデレラはお姉さん達の身支度を手伝い、」


「舞踏会に行く3人を見送りました。」


「はい!カットォォ!少し休憩をいれま~す」


……はぁ~疲れた~。


私は客席の前列の椅子に座り、真っ赤になっているであろう顔を両手で覆い隠す。


だから無理って言ったのに!誰がシンデレラ役するって言ったの!……私ですね。


放課後の特訓は順調で、言葉もスムーズに言えるようになった。


最初に詰まるのは治らないけど。頑張らなきゃ。


「…はぁ」


「溜息ばっかり吐いてると」


「ばばぁになったとき」


「しわしわになるよ?」

「しわしわになるぞ?」


「えっ?ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」


今、体育館は照明がいておらず舞台にだけスポットライトが当たっている。


だから、そんな場所に懐中電灯を顔に当てると……


ほら、あるじゃん!肝試しのときにおばけ役の人が顔に光を当てて怖がらせるあの技!


本に書いてあったんだけど、顔に光を当てると影になる部分がはっきりするから怖さが倍増するんだ。


この技法は「能」っていう芸能でも使われるんだって!…じゃなくて!!


「おっ驚かせないでください!秧鶏くいなさん、夜鷹よたか君」


枝沢えださわ 秧鶏くいな」。トリが漢字の中に入っている。


枝沢えださわ 夜鷹よたか」。トリが漢字の中に入っている。


この2人はみてのとおり、双子で二卵性双生児にらんせいそうせいじだ。


秧鶏さんはお姉さん、夜鷹君は弟である。


二卵性で性別の異なる双子は異性双生児いせいそうせいじと呼ぶんだよ!


2人は喋るときこそ息ピッタリだけど、顔も容姿も性格も行動もあまり似てないんだ。


2人とも、褐色かっしょくの髪に瞳の色が焦げ茶色、少し焦げた肌がスポーツをしてるって感じ。


秧鶏さんはソフトボール部、夜鷹君は野球部に所属している。


秧鶏さんは髪をポニーテールにしていて、夜鷹君は短髪。


秧鶏さんは背が高くて、夜鷹君は背が低い。


秧鶏さんは成績があまり良くなくて、夜鷹君は成績が良い。


秧鶏さんは野菜が好きで、夜鷹君はお肉が好き。


と、阿部さんから聞いた。


しかし、この2人の似ている所は人を脅かし、それを楽しむところである。


すると、一番良いリアクションをするのは誰かというと……私ですね。


この2人は事あるごとに私を脅かすのです。


椅子から転げ落ちそうになった私は立ち上がり、2人を見つめる。


「今回も大成功!」


「やっぱり、飽きねぇよな!」


「しっ心臓が止まりかねないのでやめてください…」


「「嫌だ」」


そう言った2人がまた、顔にライトを当てる。


私はおばけとかそういうたぐいのものは大の苦手だ。


だから、そんなことをされると…叫んじゃう人です。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!ばふっ」


逃げようとして回れ右をし、走り出したとき顔が大きな何かに当たる。


正直、鼻が当たって痛かった。誰だ!こんな所に柱を置いたのは!


「はぁ…」


柱から溜息が聞こえる。それも聞き慣れた声。


上を見上げると…それは狼君でした。


狼君はお母さんです!きっとおばけ双子からも助けてくれるはず。


「狼君、狼君。おばけ双子が私を脅かすんです。助けてください」


「おばけ双子?あぁ…秧鶏さんと夜鷹か」


私の後方を見た狼君が頭を掻きながら「仕方ねぇか」と言っている。


私はというと、狼君の後ろに隠れる。


「「狼!」」


「なんだ?」


「後ろにいる兎ちゃんを」


「大人しく渡せ!さもなければ…」


「「お前だって脅かすぞ!」」


「ほう…そうか。お前ら双子が俺を脅かすとどうなるか…知ってるよな?」


んっ?何だか狼君から黒いオーラが出ているような。


試しに双子さんを見てみると…固まっていた。


それはもう、氷で固められたようにカッチカチに。


狼君…あなたは何をしたんですか?


「狼君、狼君。助けてくれてありがとうございます」


狼君に1礼すると、頭を撫でられ反射的に俯く。


それは少し乱暴で、でも温かみを感じる撫で方。


「1人で抱え込むなよ。いつでも頼っていいから」


チクッと心を刺された気がした。


その言葉はどういう意味なの?どうして悲しそうに言うの?


ねぇ…狼君、どうして?


顔を上げると同時に、狼君の手が離れた。


狼君はみんなのいる所に歩いていく。


狼君はいつも私を励ましてくれる。


だけど…狼君は励ましてくれる人はいるのかな?


何だか…狼君が無理してるように見えるのは気のせいかな?


「どうしたの?浮かない顔して」


「あっ、秧鶏さん」


硬直から解けたのか、秧鶏さんが心配そうに私を見つめる。


「狼に何か言われたのか?」


「いえ…」


夜鷹君も心配そうに私を見つめる。


2人は意地悪だけど、とっても優しい。


それはクラスのみんなにも言えること。


「そこの3人!練習するよ~!」


「「「は~い!」」」


だから…狼君が私を励ましてくれるように私も狼君を励まそう!


―――――――――――――――――――――

放課後になり、クラスの女の子達は家庭科室にいた。


理由は、教室の出し物のことである。


「動物コスプレ撮影所」。そう名付けられた出し物で問題が発生した。


「撮影だけでいいのか」というものである。


これは虎君の疑問がクラスに広がり、お菓子を売ることになった。


今日はその試作品を作る日なのだ。


お菓子は「クッキー」に決まっているのであとは中身だけ。


「甘いクッキーが苦手な人もいるよね」


「あっ、うちのお兄ちゃん、そんな感じだよ」


「クッキーは何も入ってない方が良いのかな?」


「そうですね。プレーンクッキーにしましょうか」


「そうしよっか!」


と、ワイワイガヤガヤしながらも「プレーンクッキー」を作ることに決定した。


女子だけで決めて良いものかと思ったが…まぁいっか!


クラスの女の子達とクッキー作り開始!


と、張り切って作ったものだから……


「作り過ぎちゃったね」


「そうですね」


「どうする?」


「私たちで持って帰っても良いけど…」


「男子にあげよっか!」


「そうですね!」


放課後でも、屋台などを作っているため差し入れが出来る。


ガラガラッドンッ!少し乱暴に開けられたドア。


そして注目するクラスの男の子達。


「ちょっと作り過ぎちゃったから休憩程度にどうぞ」


「「「「俺らは残飯係ざんぱんがかりか!!!」」」」


ほっほら…なんか勘違いしちゃったじゃん。


「分かったわ!それならゲームをしましょう!」


「「「「「「ゲーム?」」」」」」


ゲームを提案した人は西明寺さん。


とっても怪しい笑みを浮かべている。嫌な予感……。


「名付けて!クッキー鬼ごっこ!ルールは簡単。男子は女子の持っているクッキーを追いかけるだけ!女子は走ってもいいし、隠れてもOK!また、好きな女の子がいる男子は絶対にその子のクッキーを狙うこと!男子に捕まったら2人で手を繋ぐか担ぐかのどっちかで教室に戻り黒板に2人の名前を書くこと。制限時間は1時間。範囲は学校の敷地内。名前を書いたら捕まった場所に戻り、2人で仲良く食べること。そう、例えるなら…カップルみたいにね!あぁ!言い忘れてたけど…女子が持っているのは自分で作ったクッキーだから!何か質問は?」


「は~い」


「どうぞ、虎」


緩く手を挙げた虎君。上げた手にはトンカチが握られている。


「女子の方が1人多いけどそれはどうするんだ?」


「フフッ。心配ご無用。何てったって、私は参加しないから同じになるの!」


「はぁ!何でお前は参加しな……あぁ~そういうことか。片想い中のらいおぶはっ!」


虎君が何かを言いかけたとき、西明寺さんが虎君のお腹を殴った。


「それじゃぁ…女子の皆さんは1分間逃げるか隠れるかをしてください」


西明寺さんって私のイメージでお姉さんみたいな人だったんだけどなぁ。


男の子達が獲物を狙う肉食獣の目をしているような気がする。いや、している。


「それでは、よ~い…スタート!」


手拍子と一緒に一斉に女の子が自分のクッキーを片手に逃げる。


「あら?兎ちゃんは行かないの?」


「いえ…身支度をしてから行きます」


たしか…置いてたと思うんだけど。


教室に入り、自分のロッカーの中を見る。


「よかったぁ。体操服があって」


「残り30秒」


早く着替えないと!


すぐに体操服のズボンを着る。


「10…9…8…」


「それでは男の子の皆さん!頑張ってください!」


それだけ言った私は走った。行くのは外!


1階の昇降口のところで「スタート!!」という西明寺さんの声がかすかに聞こえた。


で、今は校舎と校舎の間、あまり日の当たらない場所にいる。


座り込み、クッキーを手に乗せる。


ピンク色の可愛い袋に20枚のクッキーが入っている。


割れては…いないと思う。そこは問題ではないのだ。


問題は誰にクッキーを狙われるか。


制限時間は1時間。残り30分。


30分間もここにいた自分を褒めたい。


ときどき、「嫌ぁぁ!」とか「何でアンタなの!」とか「べっ別にあんたのことなんか嫌いだからね!」とかいろんな声がかすかに聞こえる。


「グラウンドに行こうかな」


立ち上がり、校舎と校舎の間から顔を出す。


誰もいないのを確認し、グラウンドに出る。


学園祭の期間は部活がないため、グラウンドには私しかいない。


ゆっくり歩いていく。今は何時だろう。


校舎からはたくさんの声。外は風と葉っぱのざわめき。


グラウンドの真ん中まで来て、立ち止まる。


「『シンデレラ』とは英語の読み。

 日本語に直すと『灰かぶり姫』、フランスでは『サンドリヨン』と呼ばれる。

 話はいくつもあり、1つ1つが異なる。

 最も話が有名なのはフランスの文学者シャルル・ペローの『サンドリヨン』または『小さなガラスの靴』である。

 不気味で怖い話はグリム童話の『アシェンプテル』訳せば『灰かぶり姫』である。

 シンデレラは踊りの上手い娘である。

 そもそもシンデレラとは意地悪な母親と姉達につけられた名前であり、本当の名前かどうかは定かではない。

シンデレラは有名な話。しかし、有名だからこそ歴史があり人々から愛される。そうは思わないかい?」


ザッザッザッと砂の上を歩く音。私ではない誰か。そんなの分かりきっている。


「それは誰の言葉?うさちゃん」


後ろから声がする。振り向くとそこには私の身長の2倍はある狼君がいた。


「さぁ…分かりません。ただ、シンデレラの話を言っただけです」


「昔から同じ本を何度も読むのが日課だったもんね」


微笑みを浮かべながら近づいてくる。


私は後ろ向きに退しりぞいていく。


「よく…私を見ていますね」


「そんなことないよ。でも、質問には答えてくれないんだね」


「答えなきゃダメですか?」


「ダメじゃないけど…ほんの時間稼ぎと思って……うさちゃん、諦めて?」


「嫌です!絶対に…逃げ切ります!!!」


前を向き、走り出した私を追いかける狼君。


残り15分。


「ホント…昔…っから…だよね……鬼ごっ…こだけ…は本気…だったよ…ね」


「まぁ…得意なことですから。車には勝てたことありませんけど」


「勝って…たら…すご…い…よ……はぁ~疲れた~!!」


後ろで地面に倒れる音がした。立ち止まりふり返ると大の字になった狼君がいた。


「速いよ……」


「特技ですから」


「で?」


「何がです?」


「質問の答え」


「まだ言いますか?」


「言うよ?」


「はぁ…最初のシンデレラの話は本から。最後の言葉は自分で考えました」


「うさちゃんらしいね」


「ありがとうございます。と言いたいところですが…組んでたんですか?」


「まぁ…ルールの中に2人だけで鬼ごっこをすることなんて言われなかったからね」


ザッザッザッと砂の上を歩く音。私でも狼君でもない誰か。そんなの分かりきっている。


「何?気付かれたの?マジ?何で?」


「俺は耳が良いって聞いたことあるだろ?」


「あるある!」


「うさちゃんは俺よりも耳が良いんだ」


「えっ……教えろよ!」


私はクッキーを両手に持ち2人の喧嘩を傍観中。


残り10分。


「よし!挟み撃ちでもするか!」


「分かった!」


立ち上がった狼君。


「ずるいかもしれないけど…ルールにはないから」


「それでも…私は負けませんでした」


走り出す私と追いかける狼君と虎君。


多分…捕まる。昔こそ、捕まらなかった。


制限時間があればいつだって捕まらなかった。


でも、家に帰れば制限時間なんてない。


逃げようとすればすぐに捕まる。


あれは……鬼ごっこじゃない。あれは……


「「捕まえた」」


左手を狼君、右手を虎君に絡め取られる。


そのまま同時に、後ろに腕を引かれた。


でも、尻餅ついたらもっと痛いなぁと思っていたら意外に柔らかかった。


しかし…


「あっやべぇ。尻餅…尻餅…」


「おっ俺も…いってぇ…」


私はどうやら2人の太ももに乗っている。


逃げなきゃ!と思って立ち上がろうとすると…


「「逃げちゃダメ」」


そんなぁぁぁぁぁぁ……。


2人は私が逃げないように手を掴んでいるようだが腕が痛い。


2人の尻餅の激痛が治まったのか起き上がり私を太ももから下ろす。


しかし、2人の間に座らされ手を握られたまま。


「頑張ったよ、俺」


「俺も頑張った」


クッキーは走っているときに袋を口に咥え、今も咥えたまま。


「クッキーちょうだい」


虎君がそう言った。


私は首を横に振る。


「報告は後にしようよ。それとも両手が使えないから食べさせられないって?」


狼君がそう言った。


私は頷く。


そしてようやく、2人が手を離してくれた。


口に咥えていた袋の部分を持っていたティッシュで拭き取り、袋を開ける。


「美味しくないですけど…どうぞ」


2人の手の近くにクッキーを差し出す。


しかし、一向に取らないので交互に2人を見ると口を開けていた。


「あっあの…もしかして私にあっアレをしろと?」


口を開けたまま頷く2人。


「あっ…あ~ん……」


2人の近くにクッキーを持っていくとパクッとクッキーを食べた。


「うっま!!」


「ホント…美味しい」


「こっちは恥ずかしいんですよ!!」


両手で真っ赤な顔を覆う。


「だって…ルールでカップルみたいにっていうのがあったし?」


「兎ちゃんの新しい一面も見たかったし?」


「何でそこで疑問系なんですか?」


「「なんとなく」」


あぁ…なんだかこの2人が……


「…双子に見える」


「俺、こんな馬鹿と双子とか嫌だから」


「えっ!なんでだよ、狼!」


聞こえるのは風の音と葉っぱのざわめき。


そして、頭上で繰り広げられる2人の喧嘩。


「フフフッ…あはははっ……」


突然笑い出した私に喧嘩をやめた2人。


「ほんっとうに…生きてて良かったです!」


その言葉に目を見開き驚きを隠せていない2人。


今は…知らなくて良い。知らない方が良い。


「生きてて良かった、か。じゃぁ…あ~ん」


……んっ?


狼君は袋からクッキーを取り出すと私の口に近づけそんなことを言った。


話が繋がってない。でも…狼君の顔が笑顔なのに怖い。


「わっ分かりましたから。食べます食べます」


そうだ、私。羞恥を忘れるんだ。アイキャンドゥーイット。


「はむっ…」


狼君の持っているクッキーをパクッと食べる。


自分の作った物だから味が分からない。


「あっ狼だけずるい!俺も俺も…兎ちゃん?あ~ん…」


……んっ?


私にもう1回しろと?何でですか!…捕まったからですよね。


「仕方がありませんね…はむっ」


虎君の持っているクッキーをパクッと食べる。


さっきと同じ。分からないんだよなぁ。


平静を保っているように見えるけど、顔は真っ赤である。


そんな私の顔と同じくらい真っ赤な夕暮れが綺麗な放課後であった。


第12話へ続く


あぁぁぁぁ。書けたわ~。てか老けた。11時から投稿し始めて12時までかかったか・・・・・・。長いわ~長すぎるわ~。ここまで見てくれた皆様、本当に感謝してます!!あざっす!次話も楽しみにしていて下さい!誤字・脱字・意味不明がありましたらコメントにお書き下さい!(シンデレラの所はウェキペディア様から少し引用させていただきました)

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