第1話
初心者ですがよろしくお願いします!
「おはようございます」
昇降口で挨拶をする。返事はない。
またか…一体、何ヶ月過ぎれば挨拶が返されるんだろう。
私は深い溜息をした。
もう生暖かい風が吹く9月。
もう5カ月が過ぎたが友達ができていない。
その理由は私自身ちゃんと分かっている。
廊下を歩きながら自分の容姿を見る。
床が近い。みんなの目線と違う。
そう…背が小さいのだ、私は。
今年の5月に身体検査をしたとき…
145㎝だった。その時、開いた口が閉じないくらい驚いた。
小乃 兎。名字にも小さいが入っている。
名前は多分、生まれた時に肌が白かったから「兎」。
茶髪の髪で胸くらいまである髪を2つに分けてくくっている。
制服だってきちんと着ているつもりだけど…
自分の手を見ると溜息がまた出てしまう。
ブラウスの裾から指しか出ていない私の手。
どうしてこんなに小さいんだろう。
私が溜息をついた次の瞬間……
廊下の後ろの方から焦げ茶色の短髪、私の背の2個分ぐらいの大きさの男の子の声が聞こえた。
まるでオオカミが吠えるかのような大きな声。
あれ?でも…この声、どこかで聞いたような……?
「おはよう~!!」
その子は叫ぶなり、廊下を走る。
あんな大きな声、どこから出してるんだろう。
「羨ましい……」
ボソッと呟いた声が男の子に聞こえたのか、こちらに振り返る。
じっ地獄耳!?本当にオオカミみたい。
オオカミとは目を合わせてはいけない。なんせ私はウサギだから!
わたしは前を向き、教室に行こうと足の速度を上げる。
「あれ?もしかして、兎ちゃん?」
あぁ、見つかってしまった。逃げられない。
あれ?でも、なんで私の名前を?
後ろをふり返ると男の子の顔が確信したかのように変わる。
「やっぱり、兎ちゃんだ!ほら、中学で一緒だった狼だよ!」
「狼君でしたか…それでは」
狼君にそう言った私は教室へと行こうとした。
「待って!兎ちゃん!」
「まだ何かあるんですか?」
狼君がまた、私を引き止める。
「同じ教しってうわっ!?」
狼君が何かを言い掛けた瞬間、金髪に耳にはピアスを付けている男の子が狼君にのしかかる。
「狼~!おっはよ~!って…この子、誰?」
男の子は狼君にのしかかったまま、私を指差す。なんか・・・甘えているトラみたい。
「虎、重い……」
「あっすまんすまん…つい!」
虎という子は狼君から下りると手を合わせ、笑いながら謝っている。
呆然と見ている私に狼君は、
「こいつは虎ってやつだ…」
「無視するな!」
「虎…この子が中学で一緒だった兎ちゃん」
虎君の言葉をまた無視し私の紹介をする。
私は頭を下げると教室の方へと身体を向けて歩く。
早く…早く…ここを立ち去りたい。
わけは…何だか女の子達の目線が痛いからだ。
「何処行くの~?もしかして教室~?」
「はい…そうですけど何ですか?」
目線が痛いのを我慢し、振り返る。
「教室が同じなんだから一緒に行こうぜ!」
私は目を見開いた。
「もしかして1年4組!?」
私は驚きのあまり、大きな声でクラスを言った。
廊下の空気が変わった。教室にいた子達も「なんだ、なんだ」と言っている。
当の本人の虎君は驚き狼君は、
「うん…俺もさっき、言おうとしたんだけど同じクラス」
と冷静に言う。
何で今まで気づかなかったんだろう……。
私がそんなことを思っていると周りにいた子達が…
「ねぇねぇ…あの子、誰?」
「なんで小学生がいんの?」
「もしかして高校生?ちっさ!」
などと思い思いの言葉を発する。
私のことだけではない。目の前にいる2人の言葉も聞こえる。
「あの2人ってイケメンよね~!」
「告白とかほぼ毎日らしいよ」
「携帯の待ち受けにしたいよね~」
と女の子達の声が聞こえる。
イケメンがいるって噂は聞いてたけど…
「そんなにイケメンなのかな?この2人…」
その言葉は廊下や教室にやけに響く。
「兎ちゃん…教室に行ってきな」
狼君に勧められ、私は教室に向かう。
なんでだろう?思った事を言っただけなのに……。
そんな事を思う私と女の子達に囲まれた狼君と虎君。
生暖かい秋風がふわりと廊下に入ってくる。
そしてまだ、私の知らない想いが秋風に吹かれて飛んでいったような気がした。
第2話に続く
誤字・脱字があったら迷わず投稿してください!