↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/2

プロローグ

俺は河野聡、22歳中学校の教師一年目だ。現在はなぜか見知らぬ世界、都市アレストラで教師兼戦闘士をしている。それは数日前に遡る・・・


正しいことをしたはずだった。

クラスの片隅で起きていた陰湿ないじめ。それを主導していたのはお偉方の息子。

他の教師たちが「生徒同士のよくあるトラブル」と見て見ぬふりをする中、教師一年目の俺——河野聡(22)だけは、黙っていられなかった。

 生徒を守るため、職員室で学年主任や教頭と激しく怒鳴り合った。新人のくせに秩序を乱すな、波風を立てるなと詰め寄る上層部に、俺は一歩も引かなかった。

 だが、事なかれ主義の組織が下した裁定は、あまりにも理不尽なものだった。

『河野先生。君の指導力不足が原因で現場が混乱した。世間体が落ち着くまで、しばらく自宅待機を命じる』

 実質的な謹慎処分。

 ワンルームの狭いアパートのベッドに寝転び、俺は悔しさと、自分の無力さに歯噛みしていた。

 机の上には、いじめられていたあいつを励ますために、徹夜で作った授業の指導案ノートが置かれたままだ。

「……クソ。なんで正しいことをした奴が、部屋に閉じ込められなきゃいけないんだ。俺はあいつらに、まだ何一つ教えてやれてないのに……!」

 窓の外の濁った夕空を見つめ、深く、重いため息をついた。

 ——その瞬間だった。

 ふっと、五感からすべての音が消えた。

 重力があべこべになったかのように、アパートの床が底抜けし、俺の体は底なしの暗闇へと真っ逆さまに落ちていく。

「え——?」

 声すら出ない。視界が完全にブラックアウトし、意識が急速に遠ざかっていった。

 ◇

「おい、起きろ。大丈夫か、あんた」

 鋭い声と、頬を叩かれる軽い衝撃で目が覚めた。

 ゆっくりと瞼を開けると、視界に飛び込んできたのは、アパートの安っぽい天井ではない。見たこともないほど巨大な、白い石造りのアーチ状の天井。そして、俺の顔を覗き込んでいる、腰に剣を帯びた見知らぬ異国の服を着た男の姿だった。

 俺は河野聡、22歳。中学校の教師一年目だ。

 ——そして現在はなぜか、この見知らぬ世界、都市「アレストラ」で教師兼戦闘士をしている。

 あの日、アパートの部屋で世界が暗転してから、数日。

 俺の奇妙で、激動の異世界教師生活は、ここから始まったんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。