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気付き

 三日目にしてやらかしたこともあり、ちょっとだけ泣いたあたしはごはんを食べてお風呂に入ったら元の精神状態に戻っていた。単純な精神構造で良かったなと思う。


 今日の出来事を振り返ってみて、あらためて考えるとやり過ぎったと思う。先生の立場で考えて、いきなり密室で生徒と二人きりになって手なんて握られたら困るよね。なんていうか、そういうエッチな動画みたいだし。


 それであたしは考えた。先生との関係はまだ手探りの段階で、言いかえれば取り返しがつくってこと。やらかした瞬間には軽く死にたいって思ったけど、まだ大丈夫。多分……多分だけど。


 というわけで、とりあえず先生に教えてもらったところの宿題ぐらいはちゃんと終えておこう。うん、それがあたしの見せられる誠意ってやつなんだ、きっと。


 問題集を前に、今日の補修を思い出しながら問題を解いていく。先生の横顔、カッコ良かったな……へへへ。……じゃなくて、問題はこうやってこう、それから……と、学んだことを復習することも兼ねて問題を解いていく。


「……なんだ、できるじゃん、あたし」


 神田先生から教えてもらった数学の特訓は、思った以上にあたしの血肉になっていた。あれだけ進まなかった宿題が、集中しているとあっという間に終わった。


「すごい。天才、あたし」


 いや、みんな解いているから天才じゃないとは思うんだけど。それでも自分にとって未知の領域へ行けた感じはあった。勉強ができる人って、こういう景色をいつも見ているのかな?


 それに、気付いたこともあった。


「認めたくないけど、なんか楽しかったかも」


 その言葉の通り、あたしは問題集を楽しんで解いていた気がする。まさか、かわいいだけが取り柄で、勉強なんてまったく縁が無いと思っていたこのあたしが。


「これ、もっと頑張ったら行けるんじゃないの?」


 なんだか今の達成感一つで、他の科目も頑張ればできるような気がしてきた。


 根本的に分かったことはただ一つだ。あたしは少し見て分からないものがあると、そこから先へ行こうとはせずに速攻であきらめるクセがあったってこと。この悪いクセが原因で、人生でだいぶ損してきた気がする。


 だけど、もう大丈夫っていうか、分からなかったら聞けばいいじゃんという当たり前のことに気付いた。そうか、あたしはそこの地点にすら来ていなかったんだな……。


 神田先生、ガチであたしの人生を変える先生になるかもしれない。


 もう少し勉強してみて、また分からないことがあったら聞いてみよう。なんて、本当は神田先生に会う理由がほしいだけだけど。


 でも、いいじゃないか。不純な動機だったとしても、あたしは前に進んでいるんだから。

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