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Case.7 ──紛い物──

ある日街中でSWAT隊員が白昼堂々と宝石店を襲う事件が起きる。その偽物のSWATは胸にCLAWを模倣したパッチを付けていた。その蛮行に憤るアンジーは韓国街へと向かう。そこで出会ったのはかつての相棒、グレイシー・ホワイトだった。

アニマルシティのシックスストリートに存在するプサンタウンは元々は1900年代初頭にアメリカに移り住んだ移民から始まり、その後朝鮮戦争に従事した者や戦火から逃れるべくアメリカに逃げ込んだ者によって地盤が固められた地域である。

そこには多くの韓国系移民が住んでいるが近年ではラテン系の割合のほうが多い地域である。

故にあたりから英語以外で聞こえてくる言語はハングルとスペイン語であたりにはスペイン系と韓国系の料理店が混在しており、独特なアジア文化の融合がみられる一方で中華街であるペキンタウンとは異なり、外観にその国の文化はほとんど反映されていないという特徴もある。

近年では韓国系のサブカルチャーが流行しているため、観光客がグッズや料理を求めてここに訪れることも多い。

そんなプサンタウンのある宝石店の前に周りが黒く塗装され、「ACPD」のペイントがなされスモークガラスで覆われたヒョンデH350が停まると中から〝CLAW〟のワッペンを貼り覆面を被った黒づくめの男たちが5人ほど出てきて車用緊急脱出ハンマー窓ガラスを割ると、「アニマル市警のSWATだ!」と雄たけびを上げてハイ・ポイントC9やルガーP94ピストルを店主に向けると同時に韓国系の店主はレジの下に隠していた大宇AR-110Cセミオートマチック・ライフルを向けた。

「なんだお前ら…!俺はブラックな商売なんて何もしてねえぞ…!こちとらただの宝石商だ!」

「黙れ、我々はACPDだ。お前には黙秘権がある。銃を捨てろ。」

「も、黙秘権?何言ってんだあんたたち。順番が違くないか?」

「黙れ!黙秘権だ!黙秘権だって言ってるだろ!」

「お前ら意味わかって使ってんのか?」

「うるせえ!」

黒づくめの男の一人が店主の顔面を理不尽に殴打して気絶させ、残りの仲間がガラスを叩き割って中にある宝石をダッフル・バッグの中に詰めると、足早に車の中に投げ込んでその場を後にした。

その数分後、市民からの通報を受けたACPD SWATの50チームは現場に到着するとあたりの調査を行っていた。

「グレイシー、何か面白いものは見つかったか?」

「ただの宝石強盗ですよ。店主は本部に確認を取ったけど完全にシロ。違反切符すら切られたことがない人だ。SWATに突入される理由なんか何一つ無い。」

「偽物のSWATか…店主に監視カメラを見せてもらおう。」

50チームのリーダーがカメラの映像をチェックすると、中には素人は騙せるであろう安い装備を着た連中がSWATを騙って強盗をする一部始終が流れていた。銃器の持ち方から扱いには手慣れていることがわかるが振る舞いや動き方はチンピラのそれであった。そして連中は胸にCLAWと書かれたワッペンを貼っていた。

「CLAW…?噂には聞いたことがある。確かSWATの愚連隊だって噂だ。実在してたのか…?」

「わかりません。何故普通のSWATのパッチを買わずにコレを貼り付けてるんでしょう?」

「グレイシー、お前はプサンタウンには詳しかったよな?」

「そうです。前の相棒とよくここにきてました。クビになっただか左遷されただかでいなくなっちまいましたけど。」

「よし、後でここを調べてくれないか。調査してほしいんだ。」

「わかりました。」




一方そのころ、CLAWのメンバーはいつも通りプレハブ小屋でだらだらとニュースを見ていたが、今朝の事件が報道されたことで目の色が変わった。

「おい、偽物のSWATの強盗事件だってよ。相棒。」

「また馬鹿なことする奴が出たもんだな…ん?」

アンジーはニュースに映っていた事件現場のカメラ映像を見ると、その途端に烈火のごとく怒りが湧いてきた。

「CLAWだと…!?トーシロ丸出しの連中がなんでCLAWのパッチを貼ってやがるんだ…!?」

「今時誰も被ってないフリッツ・ヘルメットにアマゾンかアリエクスプレスで買ったであろう中国製の安物防弾ベスト風のチョッキ…こいつらのSWAT観はどうやら2003年で止まってるみたいだな。それにピストルなんて安物コピーと粗悪品じゃないか。何も知らない素人なら完全に騙せるんだなぁ、こんなのでも。」

「クソ…舐めやがって…CLAWの名前を作ったのは私だぞ!?パッチだって私がミシンで縫って作ったんだぞ!1枚1枚な!なのに人が丹精込めて作ったパッチをクソみたいなウィンドウズのダサいフォントでマネしやがって…ぶっ殺してやる…」

「へぇ、そりゃ知らなかった…というか意外と裁縫できるんだな相棒。ガサツな奴だからそんなの無理だと思ってたけど。」

「当たり前だ!大昔にまだ50チームにいた頃、張り込みが必要な事件で気づかれないようにギリースーツが必要になったことがあった。そこで四苦八苦しながら縫ったのが始まりだ。スナイパーってのは器用でなくちゃいけないからな。基本中の基本だ。」

そんな話をしていると、エマが二人の部屋に入ってきた。

「よし、アンジー。プサンタウンに行ってこい。お前、韓国語が話せるんだってな?」

「なんでボスがそのことを知ってるんだ?」

「私が話したけど…」

「あぁっもう!毎ッ回面倒ごと押し付けられるからマルチリンガルなことが秘密にしてたってのに…!わかったよ、ムカついたし調べてくる!」

「あ、相棒。ちょうどいいしシビックを使えよ。あと韓国街に行くんだったら何かおススメの品をお土産に買ってきてくれないか?チーズ・ハットグとかヤンニョムチキンとか最近流行りだろ?あとほら、爪楊枝揚げた奴とか。ユーチューブで見た。」

「ああわかったよ買ってきてやるよクソ…」

アンジーはタイラーの投げたそう愚痴りながら部屋を後にすると、そこには板金から帰ってきたピカピカのダッジ・チャレンジャーをシバが鼻歌を歌いながら洗車していた。

「ゲッ…」

アンジーを見ると瞬間にシバはチャレンジャーを体で覆い隠した。

「ゲッってなんだゲッって…今日はチャレンジャーに用はねえよ。そこにあるシビーが私の相棒さ。」

露骨に胸を撫でおろして安堵するシバを横目にアンジーは隣に並んでいたシビックに乗り込み、エンジンを起動してアクセルを踏むと、停める際にタイラーがハンドルを全開に切りっぱなしにして戻すのを忘れていたことに気づかなかった為、シビックとチャレンジャーのフロントフェンダーがぶつかり合う嫌な音がした。それと同時にシバの悲痛な叫び声が聞こえた気がしたが、何も気にせずアンジーは口笛を吹きながらハンドルを戻すとCLAW本部を後にした。




ダブル・タイガーは近年このプサンタウンに蔓延っている韓国系のマフィアである。パク・ミョンホとパク・ジョンホ、通称:パク兄弟が仕切っている組織でロス・クルティードの傘下に入り、人身売買や薬物取引といった違法ビジネスに手を出していた。

だが、数か月前の事件でCLAWによって弟のパク・ジョンホが逮捕された挙句、ハリネズミにある拠点にガサ入れが入ったことでその支配は一気に弱まり、弱体化の一歩を辿っていた。

そんな中で一人残った兄であるパク・ミョンホはCLAWに対して復讐の炎を燃やしていた。

「お前たち!俺の弟であるパク・ジョンホはどんな奴だった…?」


「「「ろくでなしだ!」」」


「そうだ、ろくでなしだ!マザコンでヘロイン中毒でペドでパンで猟奇フェチのド変態だった。コイツには何度ダブル・タイガーの名前を穢されたかわからない!こいつは生まれつきのクズでバカで道端に吐き捨てられたタンカスにも満たないゴミ箱の底にへばりついた何かもわからぬ黒ずんだ汚れみたいな奴だった。女癖も最悪だ。俺の女を寝取って3人産ませた挙句、実の娘もレイプして子供を産ませた。それに最も最悪だったのは、韓国にある総本家に帰った時だ。あろうことかコイツは御年78歳になるウチのママと赤ちゃんプレイまでしてやがった。想像も絶する光景でコイツに何度失望したかわかんねえぐらいだ。お前たちもそうだろ?」


「「「そうだそうだ!」」」 「「「クズ野郎だった!」」」 「「「俺の嫁も寝取られた!」」」


「ミョンホさん、俺はあいつに初めてを奪われたんです…ねっとりと…唇を奪われて何度も何度も突かれたんです…だから、何度もケツを刺してこの恨みを晴らしてやりたいと思ってました!そしてえぐってやるんです!錆びたナイフでじっくりと…!苦しめてやるんだ…」

「なんだと…?」

「え?」

「この犬野郎<ケーセッキ>が!」

ジョンホはそういうと構成員の一人をその辺にあった鉄パイプで顔がボコボコになるまで殴り続け、みぞおちに靴のヒールを食い込む勢いで蹴って昏倒させた。黒い高級スーツには返り血が付き、鬼のような形相と化していた。

「ハァ…ハァ…ハァ……あぁ…よし、落ち着いたぞ。弟はなタマを潰されたんだ。俺の弟の自慢のタマだった。サイズが俺の3倍はあった。だから奴は絶倫だったんだろう…だが、あいつが逮捕されたとき、タマは完全に潰されていたんだ!血まみれでぐしゃぐしゃになってほとんどべろべろで皮だけのコンドームみてぇな状態だった。結果、弟の竿は男性ホルモンが無くなって日に日に縮んでいった。かつて性豪だったアイツは文字通りのタマ無しに成り下がっちまった。今はどうだ!一日に十人以上の女とヤりまくった弟が刑務所で同じ囚人にケツの穴を掘られて豚みたいな声を上げてるんだぞ!これはダブル・タイガーのメンツにかかわらない訳がないんだ。〝ダブル・タイガーは去勢された動物園のメス虎〟といって協力関係を切ろうとしてくる連中まで大勢出てきやがった。これは由々しき事態だ。この問題を解決するためにも俺たちはCLAW<ポリ公>ってパッチを貼ったふざけた警官どもを皆殺しにしなくちゃならねえ!みんなそうだろ!」


「「「そうだ!ポリ公を潰すんだ!!!」」」


「もっと大きな声で言わねえか馬鹿野郎!」

ミョンホはそういうと近くにいた構成員の一人の顔面を鉄パイプで殴った。

「ハァ…ハァ…この偽SWAT作戦を必ず皆で成功させるんだぞ…俺たちのメンツを取り戻してもう一度プサンタウンを人身売買のパラダイスにしないといけねえんだ…そしていつかペキンタウンも取り戻す…それに弟よ…憎くて愛しい俺の弟…お前のそのタマは俺だけの物だったんだ…俺はお前と何度俺と熱い愛を交わしたか覚えてるか?お前に唇を奪われたとき、俺は全てがクソだと感じていたお前のすべてを受け入れてやろうって思ったんだ…お前のそのタマの仇は俺が取る…お前のタマは俺だけの物だ…俺は連中を見つけ出して相応の代償を払わせてやるぞ……そして釈放されたらもう一度お前と愛し合う……今度は俺が愛してやるんだ……今度は俺から…お前の唇とケツを…ふぅ、ほら、わかったら行くんだ犬野郎共!ジョンホのタマのために!」


「「「ジョンホのタマのために!」」」


「なんでさんを付けねえんだ犬野郎!」

「ぐえっ!」

もう一人の構成員がまた鉄パイプの餌食になって昏倒すると、残った構成員たちは安いエアソフト・ゲーム用に仕立てられた解れた黒いコンバット・シャツにエアソフト用のガスマスク、ブラック・ホーク製の安物ベストやアマゾンで売られているSWATベスト、釣り用のベストを着こむとロス・クルティードによって提供されたゴースト・ガンの一部と安物の拳銃を手にヒョンデのバンに乗り込んだ。




アンジーはプサンタウンの中央に位置する韓国料理屋〝アジョシのBBQ〟に来ていた。

店主は韓国系移民三世で代々この店を続けており、代々アジョシ<おじさん>という愛称で呼ばれる。

彼の腕前は最高で両親が貯めた貯金を使って再度韓国に里帰りし、そこで3年ほど武者修行を積んだうえでアメリカという遠くの土地に本場に近い韓国料理を持ち込んでいるのだ。

この店はアンジーがこれまでプサンタウンを回ってきたなかで最も気に入っている行きつけの店の一つであり、ACPDSWAT時代に50チームに〝前の相棒〟と頻繁に入り浸っていたことがある。

そのころはアンジーは韓国語が話せる故に調査のほとんどがアジア街の担当であり、大胆不敵で図太い彼女は上手くやりくりしながら大きな交友関係を広げていったのだ。故に近隣の住民のほとんどとは顔見知りである。

周りには地元民の韓国系やスペイン系以外にも数々の観光客が肉を焼いており、あたりにはひたすらに煙の匂いと肉の焼ける良い香りが立ち込めている。

着席するとまずテーブルの上にスモール・ディッシュ<お通し>としてキムチが置かれる。韓国の本場では無料で提供されるそうだが、こちらでは物価高騰が重なって有料になっている。

アンジーはピクルスのような漬物は苦手であり、店に来たばかりの頃は何かもわからぬキムチを残してしまっていたが相棒の勧めで口にすると今まで残していたことを酷く後悔する味だった。

キリッとした辛さと根底にある野菜の甘さ、そしてキムチだれを構成するニンニクやスルメイカの旨味。ボリュームたっぷりのロシア料理とか化学調味料とバターの味しかしない体に悪そうなアメリカ料理しか食べたことのない当時のアンジーは随分とカルチャー・ショックを受け、アジア圏の料理に興味を持つキッカケになったのはこのささやかな小鉢であった。

そんなささやかな小鉢を楽しんでいる中、肩を叩いて聞いたことがある声が聞こえてくる。

「ヘイ、アン公。久しぶりだな。」

彼女はグレイシー・ホワイト。ACPD SWATの50チームの構成員で、数年前まだアンジーがCLAWに入る前の時期に相棒だった人物である。

直情的で感情を表に出しやすくあまり協調性の無いが、そういうスタンスが似ているのか妙にアンジーとは妙に気が合ったのだった。

「おお、グレイシーじゃねえか。久しぶりだな。3年ぶりぐらいになるか?」

「3年と6か月と25日だぜアン公。お前がSWATクビになってからこっちは大忙しだった。優秀な狙撃手は全部60チームに持ってかれちまうからな。程よいレベルの選抜射手を見つけるのはかなり骨を折った。それで、お前はまだ警察官を続けてるのか?異動になったとだけ聞いてたが今何してるんだ?」

「あんまり詳細は言えないけど、まあ刑事みたいな仕事してるって感じかな…お前は?」

「私はずっとSWAT一筋さ。最近昇進してようやく巡査部長になれた。副リーダーだよ。責任は圧し掛かるし結構キツいが…金払いは良いし文句はない。このままキャリアを積んでそこそこ良いPMCのインストラクターにでもステップアップしちまえば人生完璧さ。」

彼女は駄弁りながらアンジーの席の前にある空いた椅子に座るとメニュー表を見始めた。

「さてと…壺焼きカルビはまだあるかな…ある!アジョシ~壺焼きカルビを頼む。二人前な。」

そうグレイシーが言うと奥のアジョシは忙しそうにしつつも厨房の奥から腕だけ出してサムズアップをした。

「お前壺焼きカルビどんだけ好きなんだよ…ここ来るとき毎回頼んでたよな。」

「この店はこれが一番美味いのさ。」

「私はえーと…ヤンニョム・ケジャンでも頼むか──」

「やめとけ。ここの店が美味いのは確かだが、ケジャンだけはハズレだ。考えてもみろ、ウォルマートの魚みたいな目の濁った鮮度の悪い奴だから全然美味くないぞ。ここでそのケジャンを頼むぐらいなら、近くにある名ばかりの日本料理店で瘦せた身の寿司を食べたほうがまだマシだ。私のおススメはそうだな…冷麺<ネンニョン>かな。」

「冷麺か…いいな。壺焼きカルビと冷麺であっさりとこってりを交互に行くか。」

アジョシの料理を待っている間、アンジーは何故今プサンタウンにグレイシーがいるのかを探り始めた。

「それで…お前がここにいるってことは、何かまた事件を追ってるってことなんだろ?」

「あぁ…数時間前に起こった宝石強盗。アレを追ってるんだ。犯人はSWATのような恰好をして強盗店に押し入り…数千万相当の物品を強奪した。ずっと自分たちはSWATだと名乗っていたそうだ。プロトコルをよく理解していなかったから店主はすぐに偽物だと気づいたようだが。何も知らない一般人は容易に騙せると考えたんだろう。馬鹿な連中だ。そして奇妙なのがその連中がCLAW<ポリ公>とスラングが書かれたパッチを胸に貼り付けていたことだな。エアソフト用ならいくらでもACPDのパッチのレプリカなんて入手できるってのにわざわざなんでポリ公なんて書かれたパッチを貼る?それで調べると、どうやらそのパッチを付けているSWATチームとやらがいるらしい。写真を見てくれ。」

グレイシーがアップル製のアイフォンからレディットのスレッドを見せると、そこには目元にモザイクの入った心当たりしかない案件の写真が映っていた。

見出しは<SWAT隊員逃走犯轢殺>で数か月間に起きたあの惨状についての情報が書かれていた。この時アンジーは覆面をしていて腕の傷を長袖で隠していたため、ギリギリでバレていなかったことにホッと胸を撫でおろした。よく見てみると顔写真にモザイクのかかったブルーが不祥事を起こした隊員として掲載されており、この世の物とは思えない罵詈雑言の批判意見と誹謗中傷が大量に書かれていて、この時ばかりはブルーが機械に弱くアルファベットを上手く読むことができないことが幸いであっただろうと思った。…よくよく考えると自分のせいだなと一瞬過ったが考えるのはやめた。

「ここにCLAWって書かれたパッチを貼った隊員が映ってる。本来ならACPDの規則違反のはずだがこいつらは堂々と手製らしきジョークパッチを付けてる。それに本来あるべきACPD SWATのパッチを貼ってないんだ。コイツら一体何者なんだ?ネット掲示板には単なるSWATのいずれかのチームではないかと推察されてるが…それに気が付けばコイツらのパッチもエアソフト向けのレプリカが販売されてるみたいだぞ。ナードってのは難儀なもんだな。」

「は?」

「ほら。Evike.comやレッドウルフ・エアソフトを見てみろよ。6ドルで販売されてるぞ。」

そこにはアンジー手製のパッチよりもはるかに綺麗な工場で生産されたであろうパッチが販売されており、自分が作ったものにロイヤリティが入らないことにアンジーは酷く憤りを覚えたがこの場はなんとか抑えた。

そうこう考えている間に注文した商品がテーブルの上に並べられ、グレイシーは網に肉を置いて大量の煙と肉汁を充満させながら話を始めた。

「それで…左遷されたはずのお前がここにいるってことはお前もこの事件を追ってるってことだよな?そしてあの反応を見るにお前はCLAWを知ってる…そうなんだろ?」

「明言はできない。だけど心あたりならある。韓国街でそいつらに恨みを持っている連中なんて一つしかない。ダブル・タイガーだよ。」

「ダブル・タイガーか。ここ最近兄のパク・ジョンホが逮捕されたってのは見たな。なんでもタマを潰されてたらしい。それが原因で勢力を拡大中だったにもかかわらずペキンタウンから撤退していたな。貧民街から女性を拉致してスナッフポルノを撮ってたとか。最近その残留した残党が狐仙の一派によって血祭りにあげられてたはずだ。まさかその逮捕に関わってたってのか?」

「その可能性が高い。となるとこの事件はわざとそのポリ公のパッチを貼った連中を誘い出すための罠かもしれないな。」

そういうとアンジーは銀色の器に入った冷麺を啜り始めた。牛出汁の取れた冷たいスープに牛肉、キムチ、卵、カクテキが乗せられていて、麺の質感は通常の冷麺よりも平壌冷麺に近い黒々としたものだ。歯ごたえのある食感と清涼感のあるスープや付け合わせが最高に美味な代物でアンジーは舌鼓を打っていた。

「…随分とチョップ・スティック<箸>の使い方が上手くなったじゃないか。最初のほうはマトモに掴めずにキレながらフォークを頼んでただろ?」

「何年もアジア街で飯を食ってれば自然と上手くなるもんさ。」

「そういうもんか──」

するとグレイシーのスマホに着信が入る。内容はまたしてもプサンタウンの宝石店が狙われたという事件であった。

「短時間で二件も…?」

「この辺の宝石店は合計しただけでも八店舗はある。完全にシラミ潰しでやるしかないな。とはいっても奴らの仕事は早いからチームを呼んでも対応する前に事件が終わる。困ったな…」

「映像を見た限り5人で犯行を行ってるみたいだ。SWATに化けてる割には自動小銃は持ってない。となると…私たちでもワンチャンスあるかもしれない。」

「…しょうがないか。片っ端からいくか。装備はあるか?」

「私は支給品のM4とFNX-45を持ってる。プレートキャリアも含めて表に停めてあるスカイラインに入れてある。そっちは?」

「支給品のM4とグロック。表のシビックに入ってるさ。」

「決まりだな。」

アンジーとグレイシーは互いの料理を平らげると店を後にした。




アンジーとグレイシーは近距離の宝石店で立て続けて強盗事件が起きていることから、路地裏にパトカーを隠すと最寄りの一店舗の付近にあるマンションの屋上へと昇り、プレートキャリアを着て望遠鏡の代用でスポッター・スコープで遠距離を確認しながら張り込みをしていた。

アンジーは胸のCLAWパッチを心惜しくも外し、シビックの中に置いておいた。

「私とお前で張り込みなんでいつぶりだ?3年前を思い出すな…あの時も私がスコープで覗いてた記憶がある。」

「懐かしいな。にしてもお前、いつから左利きになったんだ?」

「左遷先のボスにお前は腕は立つが後遺症を引きずってる右じゃ持ち味が死ぬって言われてな。それ以来は左で訓練するようにしてるよ。お陰で普通のAR-15は正直使い辛くなっちまったけどな。」

「左利きのARを検討してもいいかもな。私もずっと前からお前の手の震えはずっと気になってた。良いボスに恵まれたんだな。左遷されたってのに。」

「違いない。」

そう二人は話しているとヒョンデ製のスターリア・バンが宝石店の前に現れて停まった。

「おい、あれだろ。韓国製のバンにACPDって書いてある。ウチはヒョンデの車を採用してたっけか?」

「してるわけないだろ。ほら、いくぞ。ライフルを取れ。」

二人はライフルを取って足早にマンションから降りる。

そんな最中、偽CLAWたちは盛大に警報装置を鳴らしながらいそいそと中にある無数の宝石をバッグの中に詰め込んでいた。店員たちは皆店の隅においやられ、全身を縛られている。

アンジーとグレイシーは全速力で走りながら店の前に突入していく。

「アニマル市警のSWATだ!銃を捨てて両腕を床に置いて腹這いになるんだ!」

「なんだと!?こっちだってアニマル市警のSWATだ!お前には黙秘権があるぞ!」

「黙秘権?何言ってるんだお前?」

「ちゃんとしたプロトコルを知らないってのは本当だったみたいだな…」、そうアンジーはぼやいた。

「考えてもみろ、お前らの持ってるチンケな安物の9ミリじゃこのアメリカが誇る最強の殺人兵器M4に勝つことはできない。お前が一人殺すまでの間にこっちは5人を纏めてバラバラできるんだぞ!さあ!家族もいるだろ!手を挙げるんだ!」

「黙れ!お前には黙秘権がある!黙秘権だ!」

あたりにはカオスの空気が流れていて、意味不明なメキシカン・スタンドオフといった状態だった。一触即発というよりは頭の悪い奴になんとか話を通そうと頑張っているが相手は何も聞いていない…そういう状況だった。

「どっちでもいいけど、ウチの店の外でやってくれないか!」

「黙れ!黙秘権だと言ってるだろ!」

理不尽な暴力が宝石店の店主の顔面を襲い、数本の歯が血液とともに空中へ舞い散った。

「これで暴行罪も追加だ!この偽物野郎…!20年は豚箱で臭い飯を食うことになるぞ…」

「うるさい!こいつを殺すぞ!」

「ひええぇ…お願いだから外でやってくれ!」

「よし、これで恐喝罪も追加──」

その瞬間、表に停めてあったヒョンデのバンにもう一台のヒョンデのバンが盛大にぶつかると、少し間をおいてバックした後に中からもう5人の黒づくめの男たちがやってきた。

「ACPDだ!お前には黙秘権がある!」

「こっちもACPDだ!」

「私たちはアニマル市警だ…!」

カオスな空間に更なるカオスが追加される。馬鹿が5人から10人に増えたのだ。

「お前ら、ミョンホさんに教えられなかったのか!俺たちがここを襲うって話だっただろ!」

「違う!ミョンホさんの気が変わった!俺たちがここを襲うことになったんだ。無線を聞いてなかったのか!」

「無線なんて使い方がわかんねえんだよこの犬野郎!」

10人の馬鹿どもは勝手に自身の犯行を自供し続け始める。

「…で?この二人は誰なんだ?」

「見てわからないかこの犬野郎!ACPDのサツどもだよ!」

「つまり俺たちの仲間ってことか?」

「馬鹿野郎!本物のACPDだっつてんだよ!」

「マジか!」

ようやく意思疎通が図れたのか状況に納得した10人の馬鹿は一斉にアンジーとグレイシーに安物の9ミリを向けると、仕方なく二人は銃を床に置いて両手を上げた。

「なあ、なんでこんな頭悪そうな連中に私たち捕まってんだ?」

「わからん…頭悪すぎると本当に理解不能になるんだな…」

結局偽者のCLAW集団はアンジーとグレイシーのスミス・アンド・ウェッソン製の手錠を奪って二人にかけると、そのままバンの中に押し込んで宝石店を後にした。




二人はミョンホのアジトへと連れてこられた。ここはプサンタウンにあるビルの一つで外観だけで言えば他の企業が使っているものと遜色のない綺麗な場所だった。元の所有主を脅して安値でパク・ミョンホが買い取ったものだった。

「なんでモノホンのサツ連れてきてるんだこの犬野郎ども!CLAWのパッチを貼った連中を探してるってのに普通のSWAT連れてきても何の意味もねえじゃねえか!」

「すいませんミョンホさん…ほんとすんません…グエっ!」

パク・ミョンホは拘束された二人の前で構成員たちを罵倒しながら鉄パイプで頭を叩いて昏倒させている。

アンジーは心の底から事前にCLAWのパッチを外しておいてよかったと思った。

「ハァ…本当についてない…優秀な徴兵上がりの部下は全員弟が持って行ったからな…俺の部下は使えないバカしかしないんだ…俺の処女も部下も奪ったんだ…全部弟のせいだ…あの野郎、絶対に殺してやる…タマ無しのゴミくずめ…今に見てろ…」

グレイシーはミョンホはかなり情緒不安定な男であるということが見て取れた。同性愛者で暴力癖があるタイプ。なのにも関わらず彼氏から逃れられないようなDV被害者のような振る舞いも感じさせており、確実に精神的に何かが拗れていると経験で理解できた。

「それで…まあ、お前たちは知らないと思うが…CLAWってパッチを付けている連中を探してるんだ。どうせお前らは知らないかもしれないし、この後殺すが吐けるだけ情報を出してもらおうか。」

「知るかよ…」

鈍い音と共にアンジーのみぞおちに鋭い蹴りが入る。革靴のなめらかな先端部もこの時ばかりは何よりも鋭いナイフのような痛みを迸らせ、アンジーは先ほど食べた冷麺を吐き出す寸前に陥りそうになった。

「おい、大丈夫かアン公!」

「ゲッ……だ、大丈夫だ…」

ミョンホはゆっくりとアンジーに近づくと、こめかみにライオン・ハート製のLH9ピストルを突き付ける。

「それで…もう一度聞くがCLAWってパッチが貼られたSWAT連中についての情報は?」

「知らねえって言ってんだ!」

グレイシーの鼻に銃底のするどい痛みが入ると、ぽたぽたと血が滴り落ち、ミョンホは突き付けているピストルのハンマーを起こした。

「それでCLAWについての情報は…?」

「知るかよ…本当に知らねえ。噂程度しかわかってないんだ。連中はSWATチームとして扱われているが実際にそういうチームは調べたが存在してない。20チームから90チームまでシラミ潰しに全てのセクションに当たったが、どこもCLAWなんてパッチを付けている連中はいなかった…連中が何なのかは本当にわからないんだ。写真だって一枚しか残ってない。文書だって全部読んだが何一つ情報が残っちゃいないんだ…事件記録もそうだ。警部に記録を当たっても何も知らないと言っていた。」

「そうか…じゃあもう用済みだ──」

ミョンホが引き金に指をかけた瞬間、ビルの窓ガラスが割れると一発のライフル弾が銃を吹き飛ばし、二人のCLAWと書かれたパッチを貼った隊員が突入してくる。

「大丈夫か相棒!」

それはタイラーの声だった。アンジーはタイラーの声でここまで安堵する瞬間が来ようとは考えてもいなかった。

「CLAWのパッチを貼った連中…おい、野郎ども!連中をぶっ殺しちまえ!」


「おあいにくさまですわ!」


ラぺリング中のルフィナが偽CLAWの一人が派手にドラゴンブレス弾を撃ち込むと、ベストは燃え上がりあたり一面に焦げた臭いが立ち込める。

それと同時にブルーのブリーチングによって階段側のドアが開くと、CLAWチームは突入していくと制圧を開始した。

「なんだお前──」

ブルーは扉付近にいた偽CLAWの頭をヘルメットごと血まみれのブリーチング・ハンマーで破壊し、後ろからエマとシバサンが突入して銃撃していく。

「なんでここにいるってわかったんだ相棒?」

「シビックの鍵に盗難防止のGPSを仕込んであるからさ。お前が強盗事件が起きた場所で止まった時にちょうど通報が来た。それでおかしいと思ったら、このビルに押し込まれて数時間居場所が止まってた。それで捕まったって気づいたんだよ。シバサンの運転で超特急で駆け付けたさ。」

タイラーはそう言いながらアンジーの手錠を外すと、ホルスターからグロックを抜いてアンジーに手渡した。

「ACPDの方?大丈夫ですか?もう安心してください。」

「君たちは…?そのパッチは…」

「話は後ですわ!」

ルフィナはグレイシーをプレート・キャリアの取ってを使って安全な場所に引っ張って隠すと、そのまま再度銃撃を続けていく。

「ブルー!そいつはもう死んでる!いい加減叩くのをやめて他の奴に移れ!」

「…わかった。」

ブルーは問答無用であたりの狼狽える偽CLAWの頭をカチ割っていき、腰に差していた45口径で逃げる連中の足を銃撃して動きを止めた。

ミョンホはCLAWに手を出したことを後悔し始めていたが、気が付けば部下の死体が積み重なっており、自分の綺麗なスーツが飛散した血で汚れていることに気づいた。

「クソ、この犬野郎ども…俺の…俺たちが築いたものを台無しにしやがって…!許さねえ…許さねえ…!」

そんな悲痛な声は銃撃によって搔き消されると、アンジーの放ったグロックの銃撃によってミョンホの足は撃ち抜かれ、走ることもできずにその場で動けなくなった。

自分たちの統領が動けなくなったと悟り、本物のCLAWの凄みを見せられた偽者たちはただ怯えて銃を捨て、白旗を上げる以外になかった。

「使えねえクズ共が…許さねえ…俺は弟を絶対に許さねえ…」

痛みに耐え、よだれと血を垂らしながら血走った目でただ虚勢を張ることしかできなくなったミョンホをアンジーは捕まえると手錠をかけた。

「よくやったぞ相棒それでこいつを…殺すなんて言うんじゃないだろうな?」

「当たり前だ。こいつはクルティードに繋がるかもしれない情報の宝だろう。だが…俺の旧友をぶん殴り、こいつの弟は罪のない女の子の母親を残虐な方法で殺した。報いは受けてもらう。」

「死以外の報いって…法の裁きか?」

「いや違う…なあ、ミョンホ?」

「なんだこの犬野郎……」


「ドライブしようぜ。」


アンジーは下に停められていたダッジ・チャレンジャーの後ろ側についている牽引用のフックにミョンホの手錠を括り付ける。

「バカアンジー!僕の車だぞ!」

「うっせぇ。」

そのままアンジーはシバの鍵を奪い取ると、サイレンを爆音で鳴らしてアクセル全開でプサンタウンのど真ん中を走り始めた。ギアをどんどん上げてやがて6速へと入り、猛スピードで駆け抜けていく。

「ぎゃああああああああ!やめろぉーーーっ、離せ、離せ、犬野郎!」

「ん?なんて言ったーっ?私は最近耳が遠くてなぁーッ!V8エンジンの音が心地よすぎてなんにも聞こえねーーー!」

後ろ側でパク・ミョンホが道路に引きずられ、擦れた痛みで悶絶する叫び声が聞こえてくる。

ミョンホは隣をスレスレで通る車に寿命を縮めながら、どんどんと高級品のスーツと皮膚がすり減っていく恐怖の感覚を味わっていた。

アンジーは運転しながら拡声器を付けると大声で話し始めた。


「プサンタウンの皆様方!こいつが悪名高い韓国マフィアダブル・タイガーの統領の一人であるパク・ミョンホです。こいつは長い間プサンタウンに蔓延っている邪悪の一つでした!ですが、我々ACPDが確保しました!安心してください!これからはマフィアに悩まされる心配はありません!」


そうアンジーは拡声器で声を上げて繰り返すと、あたりの住民はだんだんと状況を理解していき、歓声を上げ始めると共に引きずられているミョンホに向けてその辺に落ちていた小石を投げ始めた。

擦れた傷口に石が入ると、ミョンホはとてつもない不快感に襲われ、ただただ涙をこぼし、どんどんと口数が減っていった。

アンジーはそんな中でチャレンジャーを人が密集している場所で止めると、再度拡声器で同じことを叫んだ。

すると、今まで鬱憤の溜まっていたプサンタウンの住民たちはあたりから木の棒や鉄パイプ、フライパンなどを持ってくると、牽引されているミョンホを一斉に袋叩きにし始めた。

「死ね!死ね!ウチの娘はお前らに連れ去られたんだ!どこでやったんだこの犬野郎!」

「俺の妻はお前らが作った麻薬でシャブ付けにされちまった。結果、心臓発作で半年前に亡くなった!その恨みだ!死ね!」

「わしの孫をどこへやったんだクズ野郎!」

「あたしは特に恨みとかないけど、とりあえず死ね!」

「ねえ、お母さん、なんであの人あんなことされてるの?」

「あれはね、とても悪いことをした人よ。今からお母さんも一発かましてくるわ。あいつはお父さんを殺したやつよ。」

あたりの住民が集まって私刑を行い、ミョンホの体はボコボコに殴りつけられるとものの数分で原型をとどめないほど顔面が腫れあがっていた。

「おっとストップ…それ以上やったら死んじまうぞ。お前ら殺人には加担したくないだろ?恨みを晴らしたらとっとと解散!」

「アンジーがそういうんならしょうがないな。」

「アンちゃんがそういうんだったら間違いないね。」

「アンジー、こいつに死刑を宣告してやってくれよな!ファック!」

皆はそう言いながら、ミョンホに対して痰を吐くと解散していった。

「…なぁ。」

アンジーがミョンホを指で優しくつつくとビクビクと動き始める。

「はぃぃ…」

「これで懲りたか?これが今までお前がやってきたことへの報いだよ。」

「はぃ…ほうひまへぇん…わふいほほはもうひまへぇん……」

「あぁ、そういえばCLAWパッチのロイヤリティはまだ私に払ってないよな?」

「ろひひゃりひぃ…?」

「よし、じゃあドライブの続きだ。このままACPDに向かうぞ。」

「へぇっ!?」

アンジーは運転しながら心の底から涙が出そうなほど笑いが止まらなかった。V8エンジンの心地よい音と笑い声がひたすらチャレンジャーの中でこだましていた。

そうしてACPD本署へと到着すると、門の前に息絶え絶えのミョンホを雑に投げ捨て、そのままCLAWメンバーのいる韓国街へと戻ったのだった。




数日後、またアンジーはグレイシーからの呼び出しで韓国街へと来ていた。

パク・ミョンホの逮捕によって治安は一気に回復し、あたりはお祭りムードに包まれていた。

ダブル・タイガーの名は完全に失墜し、あたりで残党が暴れても住人は何一つ恐れることはなく、やがて居場所をなくしてアニマルシティの隅へと追いやられたのだ。

「グレイシー、黙ってて悪かったな。」

「…なんとなくそんな気はしてたさ。お前がCLAWかもってな。しかし今回の記事の見出しは大笑いだぞ。<ダブル・タイガーの統領、市中引き回しにされる。>だってよ。奴は今も集中治療室でおねんねしてるが、ケガをある程度治したらごっそり絞ってやるつもりだ。」

「それは良かった。」

「それに…案の定市中引き回しの件も報道規制がされてた。CLAW関係の情報は圧力がかかって消されて断片的なものしか残ってない。それに事情聴取された韓国街の人々もみんなだんまりだ。まるで組織みたいに。誰もお前がやったって吐かなかった。」

「ま、CLAW関連以外は私の人徳だろうな。それで…?このことをリークでもするか?」

「そんなことはしないさ。お前が今も伸び伸びやってるって知れて私は嬉しかったからな。」

そんな話をしていると、近くに見覚えのあるシビックのパトカーが停まり、パワーウィンドウが開く。

「おい、相棒。前の約束忘れてないよな?チーズ・ハットグにヤンニョムチキンに爪楊枝揚げた奴!買ってきてくれなかったじゃないか。今から私と一緒に食いに行くぞ!シビックぶつけたんだから奢れって!」

タイラーはアンジーにそう言うとグレイシーは少し寂しそうな表情をした。

「相棒か…お前、仲間に恵まれたんだな。これで心配することもなくなったよ。アン公。元気にやれよな。」

そういってその場をグレイシーは立ち去ろうとするが、その腕をアンジーはがっしりと掴んで止めた。


「水臭いこと言うな。一緒に食いに行くぞ!」

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