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後日談

私は住職と向かい合って座っていた。

少し沈黙があったが、私は意を決して住職に尋ねた。


「最初から、分かっていたんですよね?」


住職は、しばらく黙ってから、ゆっくりと頷いた。


「ええ、わかっていました」


「彼には助かる可能性がある、みたいな言い方をしたんですか?」


「希望がなければ、人は動けませんが、嘘をつくことは仏門に背くことになります」


住職は、静かに言った。


「ヒトノリは、気づいた時点でほとんど終わっているんです」


「では、やはり彼は……」


「あなたもお気づきだったのでしょう。最初にご友人の相談に来られた際にした助言を覚えていますか?」


「はい、できるだけ会話は短く、できるだけ電話で話すと」


「そう、すでに彼はヒトノリになりかけていたのです」


「この寺にきたときにはもはや手遅れでした。申し訳ないが、私も自分を守ることに精いっぱいで、声色を真似できないように小声で話し、お経とお札でここから出て行ってもらうようにするのが精一杯でした」


「では、彼はもう…?」


「もう、関わらないようにしてください。連絡先は消してください。彼から受け取ったものがあればこちらで処分します」


住職はそういって姿勢を正した。


「お分かりだと思いますが、彼は、もう彼ではありません」


少し間を置いて、こう付け加えた。


「これからは、本当の彼もまたヒトノリになっていくのでしょう」

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