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勿忘草  作者: アイス
22/22

冷たい夏のお菓子

よろしければご覧ください。久しぶりの投稿になります。

 店の中に入ると、色とりどりのアイスクリームが種類ごとに分けられていた。先ほどまで、燦々と光り輝く太陽の下を歩いてきたから、その光景がなんとも嬉しく思えた。


 「どれにしよっかな」


 席を確保してテーブルに張り付けられているメニューを二人で眺めた。


 「俺はこれかな」


 「あっ、それおいしいよね。口の中でぱちぱちして。私もそれにしよっかな」


 「あと、さっぱりしたものも食べたいからこのレモンのやつも頼も」


 「それじゃあ私は、このキャラメルとイチゴの二つにしよ」


 店内に香る甘いアイスとコーン。会計を済ませてしばらく待っていると、明るい声と共に二人分の

色鮮やかなアイスが手渡された。席に戻って窓の外を見ると夏の暑さのせいでアスファルトが歪んで見える。


 「いただきます」


 手に取ったスプーンに丸く積まれた二つのアイスの一部をのせて口に運んだ。


 「おいしーね」


 結花がこっちを見て嬉しそうにほほ笑んだ。


 「そうだね」


 「あっ、そうだ駅前に買い物に行ったときに花火大会があるらしいって知ったんだけど、行かない?

そこで、ゴールデンウィークの時に亮介くんが言ってくれたことに答えたいから」


 「ああ、うん。ありがと。行こっか」


 あの日、結花に告白した日は遠い昔のことのように感じられた。思わず何を言ったのか聞き返しそうになったが何とか思い出すことができた。


 「あっ、花火見に行くんだったら浴衣着たいかも」


 「いいね、それ。でも私自分の浴衣持ってないからどこかお店で借りるでもいい?」


 「うん。俺も持ってないからそれがいいかな」


 駄目だ。どうしても今、心から楽しみと思うことができない。表面だけ楽しんでいるというのが正しいのか。心の底に何とも言い難い気持ちが沸々と湧いている。カップに入った二つのアイスは溶け始めていた。一口目を食べる時に見たカラフルな色合いは見る影もない。溶けて混ざった何の味かも分からない汁を呑み込んだ。


 「それじゃあ帰ろっか」


 「ああ」


 食べ終わった後もしばらく店の中で涼んでいた。その時に結花が駅の近くのスーパーで野菜が安く買えるとのことで行くことになった。


 店を出ると再び太陽の光が体を射して体の中の冷気を一瞬で奪い去っていき、次第に汗が噴き出してきた。


 「どうする?入る?」


 結花は肌を守るために大きめの日傘をさして、そのうえで防止を被り完全防御の姿勢だった。


 「いいよ、大丈夫」


 「ほんとに?」


 頷いて歩き始めると結花は心配そうに後ろからついてきた。そしてしばらく歩いていると地面が歪み始めていった。そして買い物のために店に着いたあともまだ地面が揺れていた。汗も止まらない。

 何とか平静を保ち、店の中では結花の後を歩いていたが、その後家に帰る途中でふらついて倒れそうになった。


 「大丈夫!?」


 「ああ、なんかふらつくけど多分大丈夫」


 「それ大丈夫じゃないよ」


 結花は慌てて日傘の中に俺を入れて、先ほど買った飲み物を飲ませてくれた。


 「うま」


 喉を鳴らして一息で飲み干すと少し気分が良くなっていった。


 「亮介君、熱中症だよ。だから傘に入らないか聞いたのに」


 結花は呆れたような顔でうなだれている俺のことを見てきた。


 「なんか、帰って来たときから少し様子がおかしい感じがしたけど、亮介君ちゃんと水飲んだ?」


 「飲んだと思う」


 「でもそれって水筒の量だけでしょ?」


 「そうだけど」


 「それじゃあ倒れても当たり前だよ。それに今飲んだやつも普段体調がいいときに飲んだらおいしく感じないはずのやつなのに、今亮介君おいしいって言ったでしょ?絶対熱中症だよ。それ」


 普段、子どもたちにしっかり水分を取るようにと偉そうに言っていて恥ずかしく思う。お前こそ取れ。


 「とりあえず、家まであと少しだから歩ける?」


 「ああ、行ける」


 膝に手を当てて立ち上がると、さっきよりはましに感じた。


 「それじゃあ、家に帰ろうか」


 結花は俺の腕を支えながら歩き始めた。その時の結花の肌は冷たく心地良かった。


 「はい、それじゃあご飯までは寝てて」


 家に着いてすぐに結花は風呂に入って汗を流してくるように言って、上がってくると部屋はキンキンに冷やされていた。そしてすぐに寝かされタオルケットをかけられた。


 「ごめん」


 そう言うと結花は緊張していた顔を緩ませた。


 「もう、自分の体調は自分で管理してよね。それに色々あるとは思うんだけど一人で抱え込みすぎないこと。私も経験したことあるけどストレスって体調崩す一番の原因だから」


 「ありがと」


 結花の目は厳しくしつけるような目であると同時に思いやりの気持ちが表れているようで、何時までも見ていたい思った。


 「それじゃあ、おやすみ」


 最後は結花の声だけが頭の中に優しい声色で響いていた。 

ここまで読んでいただきありがとうございます。自分でも久しぶり過ぎて何を書いていたか少し忘れていました。

次回もよろしければご覧ください!

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