ビビりな二人
よろしければご覧ください。
入場ゲートでチケットを確認してもらい中に入ると、しばらくレンガ造りの薄暗い建物の中を歩かされた。
「ちょっと暗いね」
「確かに、でもなんかこういう場所普段行かないから正直テンション上がる」
「うん、その気持ちめっちゃ分かるよ」
しばらく歩いていると視界がだんだんと明るくなっていき、それに伴って歩く速さも加速していく。さっきまでは亀のようにゆっくり歩いていたのに、今は少し小走りのように急かす気持ちを抑えられないでいた。
「わっ、凄い。めっちゃ綺麗」
「うん。しかも広いな」
眼前には西洋を思わせるメルヘンチックな可愛らしい花時計が歓迎してくれ、その奥には同じ雰囲気を持った建物が立っていた。
「なんか、旅行に来たって感じがするね」
彼女は嬉しそうに首を回して景色を楽しんでいた。
「そうだね」と言いながら同じく景色を見るのに没頭していると彼女が声をかけてきた。
「それじゃあ,借りに行こうか」
一瞬、頭の中に疑問符が浮かんだがすぐに何のことか理解でき、目的の場所まで歩いて行った。
「これにしよ」
彼女はそう言って、貸出場所から見える一つの自転車を指さしていた。それは二人乗りの自転車だった。もちろん街中で見かけるような一般的な二輪の自転車もあったが、やはりこうして目の前に二人乗りや四人乗りなどの自転車を見ると見劣りしてしまう。
「いいね、なら色は青でいい?」
「うん、青色いいじゃん。すみません、これ一日借りたいんですけど大丈夫ですか」
「ああ、それね。いいよ。それじゃあこっちの紙に書いてくれる」
手渡された紙には、貸出時間や使い方などいくつかの注意事項がまとめて書いてあった。
「そこに書いてあるように、自転車は午後五時までにここに返しにきてね」
「はい」
その後、お金を払い自転車を借りた。彼女が先に前に座ったので俺は後ろに座ることになった。
「なんか、テンション上がるね」
「そうだね」
そこにはいつもの冷静な彼女の姿は無かった。見て分かるほど気分が高揚しているのが分かるほど、普段とは口調も変わっており思わず笑ってしまった。
「なんで、笑ってんの?」
「いや、いつもと違ってテンション高いなって思って」
「もう、それを言うなら亮介君だってそうじゃない」
わざとらしく怒って見せたその姿が可愛らしくまた笑ってしまった。
「でも、テンション上がるのも仕方ないよね。だってこんな面白そうな場所なんだもん。ねえ、まずはここ行ってみない?」
園内地図を広げて指さした場所を彼女は前から覗き込むように見た。
「天空の園・・・いいじゃん。それならまずはそこに行ってみよ」
第一の目的地も決まりペダルを踏み込んだ。だが早速コースアウトしてしまった。
「ごめん」
後ろから声をかけると彼女は大丈夫だよと言いたげな目をしていた。うっかりしていた。どうやらこの自転車後ろ側からしかハンドル操作ができないらしく、それも普通の自転車のように曲げればすぐに曲がるのではなく、二人乗りのため全長が伸びておりハンドリングがあまり良くなく普段の感覚でハンドルをきってしまい、上手く曲がれなかった。
「ははは、面白いねこれ」
二人で足を使ってバイクが下がるときのように自転車を下げているときに彼女が笑った。
「そうだね。しばらくしたら前後ろ変わる?」
「うん、そうしよっか。私も後ろに乗ってみたいし」
「よし、それじゃ行こっか」
そうして再び自転車を漕ぎ始め、天空の園を目指した。空には雲一つ無く、暖かな陽光が俺たちを照らしていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!次回はアトラクションで遊ぶ二人になりますのでよろしければご覧ください!
これからも不定期で更新していきますのでよろしくお願いします!




