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転生王子はスライムを育てたい ~最弱モンスターが世界を変える科学的飼育法~  作者: 宵町あかり


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第94話 予言者の警告

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

転生王子はスライムを育てたい第94話をお届けします。


予言者が王宮に現れ、ついに「七つの闇」の真実が明かされます。絶望の翼、破滅の爪、虚無の瞳...古代に封印された巨大な脅威。対極の調和という六体共鳴との共通点。そして遺跡に残された古代の記録。クリスタとルミナが遺跡調査への同行を決意する中、夜空に走る暗い影。静かに、しかし確実に迫り来る闇の兆候。第94話、予言者の警告編です。


お楽しみください!

 王宮・謁見の間には、重い空気が満ちていた。


 レオンは、窓辺に立っていた。昨日の森での調査、あの禍々しい気配、テラとマリーナの緊張した表情...全てが、心に重くのしかかっている。予言者に連絡を取ったが、返事はまだない。このまま待つしかないのか...。


「レオン様」


 テラが、静かに声をかけてきた。緑のスライム、大地の守護者。その茶色の瞳は、昨日の森で感じた恐怖を今も抱えているようだった。


「大丈夫?」


「...はい。ただ、まだ大地の震えが気になっていて...」


 テラの短い言葉に、レオンは頷いた。彼女の大地の記憶は、今も異変を感じ取り続けているのだろう。そして、その感覚は、間違いなく何かの兆候だ。


「私も、水の流れがずっと乱れているの」


 マリーナが、窓辺に近づいてきた。青い瞳には、いつもの明るさに混じって不安が滲んでいる。


「精霊たちが、まだ怯えているみたい...」


 二人の言葉が、レオンの不安をさらに深めていく。


 その時だった。


 謁見の間の扉が、静かに開いた。


 そこに立っていたのは、見覚えのある人物。長い白髪、深い青の瞳、そして全身から発せられる神秘的な雰囲気。


「予言者様...!」


 シグレが、驚きの声を上げた。


 予言者が、ゆっくりと謁見の間に入ってきた。その表情は、深刻そのものだった。まるで、レオンたちの調査結果を既に知っているかのような...。


「やはり...始まったか...」


 予言者の最初の言葉が、謁見の間に重く響いた。


 レオンの心臓が、早鐘を打つ。『始まった』...その言葉の意味を、レオンは理解していた。闇の封印が、本当に揺らぎ始めている。予言者の警告が、現実になろうとしているのだ。


「第三王子よ、君たちが感じたことは真実だ」


 予言者が、レオンを見つめた。その青い瞳には、深い懸念が宿っている。


「闇の封印が、弱まっている」


 その言葉が、謁見の間を支配した。


 レオンの背筋に、冷たい汗が流れる。やはり、そうだったのか...テラの大地の記憶、マリーナの水流の感知、そして森で感じた禍々しい気配。全てが、闇の封印の弱まりを示していたのだ。


「国王陛下、第三王子、そして大地と水の覚醒個体よ」


 予言者が、深々と一礼した。


「長い話になる。聞いていただけるか?」


「もちろんです、予言者様」


 国王が、厳かに頷いた。通常なら補佐官や重臣たちが立ち会うべき場面だが、今回は最小限の人数のみ。レオン、テラ、マリーナ、シグレ、そして国王。この5人だけが、今この場にいる。


 予言者は、ゆっくりと語り始めた。


「かつて、この世界には七つの闇が封印された。それぞれが異なる力を持ち、それぞれが世界を脅かす存在だった。絶望の翼、破滅の爪、虚無の瞳、狂気の牙、腐敗の触手、憎悪の心臓、混沌の核。これら七つの闇は、古代の人々が辛うじて封印できた、巨大な脅威だったのだ」


 予言者の声が、謁見の間に響く。レオンは、息を呑んで聞いていた。七つの闇...その名前だけで、禍々しい力を感じる。


「特に『絶望の翼』は、最も強大で、最初に封印された。空を覆い、光を奪い、人々の心から希望を奪う。それが、絶望の翼の力だった」


 予言者の言葉に、謁見の間が凍りつく。


「しかし、封印は永遠ではない。時が経ち、封印は弱まってきている。君たちが感じた異変は、その兆候だ。大地が震え、水が乱れ、風が恐れ、全ての自然が、闇の目覚めを察知している」


 レオンの心に、深い恐怖が広がっていく。これは、研究や学術の問題じゃない。世界そのものが、危機に瀕しているのだ。


「では、どうすれば...」


 レオンが、震える声で尋ねた。


「封印を、強化できるのですか?」


 予言者は、しばらく沈黙していた。その表情には、深い思慮と、そして希望の光が宿っていた。


「できる。古代の人々は、六つの対極の力を使って封印を作った」


「六つの...対極の力...?」


「そうだ。炎と水、大地と氷、風と光。対極の調和こそが、闇を封じる鍵だったのだ。六つの力が協力し、共鳴し、調和の波動を生み出す。その波動こそが、闇を封じる力となる」


 レオンの心に、閃光が走った。六つの対極の力...炎と水、大地と氷、風と光...それは、まさに僕が研究している六体共鳴と同じ原理じゃないか...!古代の封印技術と、僕の研究が、同じ根源から来ていたのか...!


「予言者様...」


 テラが、静かに声を上げた。その声には、不安と恐怖が滲んでいた。


「では、私たちが感じた大地の恐怖は...封印が弱まっているせいなのですか...?私は、大地を信じていますが、今回ばかりは大地が震えていて...どうしたらいいのか...大地が恐れているなんて、300年間、一度も経験したことがありませんでした。それほど、今回の異変は深刻なのでしょうか...?」


 テラの言葉が、謁見の間に重く響いた。彼女の茶色の瞳には、深い憂いが宿っている。300年間大地と共に生きてきた彼女が、これほどまでに動揺している。それだけ、今回の異変は深刻なのだ。


「その通りだ、大地の守護者よ」


 予言者が、優しい表情でテラを見た。


「君が感じた大地の恐怖は、真実だ。封印が弱まり、闇が目覚めようとしている。大地は、その兆候を最初に察知する。君の感覚は、間違っていない」


 テラが、小さく頷いた。しかし、その表情には安堵と不安が混在していた。自分の感覚が正しかったという安心感と、それが本当に深刻な事態だという恐怖と。


「水の精霊たちが怯えていたのも...!」


 マリーナが、思わず声を上げた。


「私、水の声を聞くことができるけど、今回みたいに怯えているのは初めてで...とても不安だった...でも、レオンと一緒なら、きっと大丈夫って信じてる...!水の精霊たちは、普段は優しくて穏やかなのに、今回は本当に怖がっていて...私も、どうしたらいいのかわからなくて...」


 マリーナの青い瞳が、涙で潤んでいる。いつも明るく元気な彼女が、これほど不安そうな表情を見せるのは珍しい。


「そうだ、水流の感知者よ」


 予言者が、マリーナにも優しい表情を向けた。


「君が感じた水の乱れも、闇の兆候だ。水は、大地と共に、最も敏感に異変を察知する。君の感覚もまた、正しい」


 マリーナが、小さく頷いた。涙を拭いながら、レオンを見つめる。その瞳には、不安と、そしてレオンへの信頼が宿っていた。


「予言者様、古代の六体は、どのように協力したのですか?」


 レオンが、真剣な表情で尋ねた。


「そして、僕たちにもできるのでしょうか...?」


 予言者は、しばらく考えてから答えた。


「古代の六体は、偶然に集まった。それぞれが異なる場所で目覚め、それぞれが異なる理由で戦い、そして最後に協力した。彼らは、対極の調和を理解し、共鳴の波動を生み出すことに成功した」


 予言者が、レオンを見つめる。


「しかし、君たちは違う。君たちは、日常から一緒にいる。研究を通じて、互いを理解し合っている。その違いが、もしかしたら...君たちの強みになるかもしれない。古代の六体は、戦いの中で協力を学んだ。しかし、君たちは、平和な日々の中で絆を育んでいる。その絆こそが、もしかすると古代を超える力になるかもしれないのだ」


 レオンの心に、希望の光が差し込んできた。そうか...僕たちは、古代の六体とは違う。毎日一緒にいて、一緒に研究して、一緒に笑って...その日常こそが、僕たちの強みなのか...!


「そして、もう一つ重要なことがある」


 予言者が、真剣な表情で言った。


「遺跡に残された記録に、全てが記されている。古代の六体がどのように協力したか、どのように調和の波動を生み出したか...それを学べば、君たちも同じことができるはずだ。いや、君たちならば、古代の人々を超えることすらできるかもしれない。君たちが以前訪れた遺跡に、その記録がある。詳細な封印技術、共鳴の方法、そして対極の調和の原理...全てが、そこに記されているはずだ」


 レオンの心に、決意が固まっていく。遺跡...そこに、全ての答えがあるのか...。古代の記録を解読し、封印技術を学び、そして闇を封じる...それが、僕たちの使命なのか...。


「ありがとうございます、予言者様」


 レオンが、深々と頭を下げた。


「僕たちは、遺跡を調査します。そして、古代の記録を解読し、封印を強化する方法を見つけます」


 予言者が、優しく微笑んだ。


「頼んだぞ、第三王子よ。そして、大地と水の守護者よ。君たちの力が、この世界を救うかもしれない」


 予言者は、静かに謁見の間を後にした。その背中は、どこか安堵しているようにも見えた。


---


 レオンの研究室には、静かな緊張感が漂っていた。


 予言者の警告を受けて、レオンは次の行動を考えていた。遺跡を調査する...古代の記録を解読する...封印技術を学ぶ...やるべきことは、山ほどある。しかし、一体誰と行くべきか...。


「レオン様」


 テラが、静かに声をかけてきた。


「私たちは...どうすれば...」


「大丈夫だよ、テラ」


 レオンが、優しく微笑んだ。


「もちろんだよ、テラ。君とマリーナがいなかったら、この異変を正確に理解できなかった。大地の記憶と水流の乱れ、二人の専門性があったからこそ、予言者の警告の意味がわかったんだ。君たちの調査貢献は、計り知れないほど大きい。大地が震えていることを教えてくれたテラ、水の精霊たちの恐怖を感じ取ってくれたマリーナ、二人がいなかったら、僕たちは異変の深刻さを理解できなかった。本当にありがとう」


 テラの茶色の瞳が、少し明るくなった。マリーナも、嬉しそうに笑っている。


「それで、次の調査なんだけど...」


 レオンが、机の上の地図を見つめた。


「遺跡には、クリスタとルミナに同行してもらおうと思っている」


「クリスタ様とルミナ様...?」


 シグレが、興味深そうに尋ねた。


「そうです。古代文献の解読には、クリスタの300年の知識が必要だ。そして、遺跡の中は暗いだろうから、ルミナの光の力があれば、隠された文字を明らかにできるかもしれない」


 レオンの言葉に、シグレが頷いた。


「なるほど。二人の専門性が、遺跡調査には最適ですね」


「そういうこと。テラとマリーナには、森での調査で本当に助けられた。次は、クリスタとルミナの出番だ」


 その時、研究室の扉が開いた。


 フィルミナが、静かに入ってきた。彼女は、予言者との会話の後、別の部屋でクリスタとルミナに状況を説明していたのだ。


「レオン様、クリスタ様とルミナ様に、お話ししました」


 フィルミナが、穏やかな表情で報告した。


「二人とも、遺跡調査への同行を快諾してくださいました」


「そうか...ありがとう、フィルミナ」


 レオンが、安堵の表情を浮かべた。


 しばらくして、クリスタとルミナが研究室に入ってきた。


「レオン、私も参ります」


 クリスタが、凛とした表情で言った。


「わかりました。300年の知識が役に立つなら、喜んで同行します。古代文献の解読は、私の得意分野です。封印に関する記録があるなら、必ず解明してみせます。300年間、様々な文献を読んできた経験が、今こそ役立つ時です」


 クリスタの氷のような青い瞳には、強い決意が宿っている。


「私も行きます!」


 ルミナが、明るい声で言った。


「私も行きます!光の力で、隠された文字を明らかにできるかもしれません。レオン様と研究してきた光の特性、ここで役立てたいです!遺跡の暗闇の中でも、私の光なら隅々まで照らせます。古代の記録、絶対に見つけ出してみせますわ!」


 ルミナの金色の瞳が、希望に輝いている。


「ありがとう、二人とも」


 レオンが、二人を見つめた。


「クリスタの知識とルミナの光。二人がいれば、遺跡の謎も解けるはずだ」


 レオンの心に、希望が芽生えてきた。そうだ、僕には仲間がいる。テラとマリーナが異変を察知してくれた。クリスタとルミナが遺跡調査を手伝ってくれる。フィルミナがみんなをまとめてくれる。一人じゃない。みんなと一緒なら、きっと道は開ける。


「そうです。古代の人々も、六体の覚醒個体と協力して封印を作った...僕たちも、同じように戦えるはずです。研究が、ただの学術的興味じゃなくて、世界を救う手段になるかもしれない...その責任の重さを、今、感じています。でも同時に、僕の研究がこんな形で役立つなんて...それは、少し嬉しくもあります」


 レオンの言葉に、みんなが静かに頷いた。


 研究室の窓から、夕暮れの光が差し込んでいた。静かな時間が流れる。しかし、その静けさの裏で、何かが動き始めている。闇の封印が弱まり、世界が揺らぎ始めている。


---


 夕暮れから夜へと移り変わる時間。


 テラとマリーナは、それぞれの部屋で休んでいた。一日の調査と、予言者の警告。二人とも、疲れ果てていた。


 レオンは、一人研究室に残っていた。


 窓辺に立ち、夜空を見上げる。星々が、静かに輝いている。しかし、レオンの心は、決して穏やかではなかった。


 先日、僕は善意に振り回された。メルキオールさんの宗教的解釈、ガルヴァンさんの軍事的解釈、チェン・ロンさんの経済的解釈...みんなの善意が、僕を疲弊させた。でも、それは結局、誤解だった。『神の奇跡』でも『新兵器』でもなく、ただの研究だった。


 でも今は...もっと深刻な問題だ。


 闇の封印...七つの闇...絶望の翼...。


 予言者の言葉が、レオンの心に重くのしかかる。


 もし、封印が完全に崩れたら...世界は、どうなるんだろう...。


 レオンは、窓の外を見つめた。夜空には、星々が輝いている。しかし、その美しい夜空も、闇に覆われる日が来るのだろうか...。


 その時だった。


 窓の外、空に一瞬、暗い影が走った。


「...!今の...」


 レオンが、目を凝らす。しかし、その影はすぐに消えてしまった。


「気のせい...か...」


 レオンは、深く息を吐いた。しかし、心の奥底では、あれが気のせいではないことを理解していた。闇の兆候が、すぐそこまで来ている。


 レオンは、机に戻った。遺跡調査の準備を始めなければならない。クリスタとルミナの専門性を活かす計画。古代文献の解読方法。光による隠された文字の解析。


 やるべきことは、山ほどある。


 しかし、レオンの心には、希望の光もあった。仲間がいる。テラとマリーナが異変を察知してくれた。クリスタとルミナが遺跡調査を手伝ってくれる。フィルミナがみんなをまとめてくれる。一人じゃない。


 古代の六体は、偶然に集まった。でも、僕たちは違う。日常から一緒にいる。研究を通じて、互いを理解し合っている。その絆が、僕たちの強みだ。


 レオンは、静かに決意を固めた。明日、遺跡に向かう。古代の記録を解読し、封印を強化する方法を見つける。そして、闇を封じる。


 正直に言うと、怖い。予言者の話を聞いて、僕たちが向き合おうとしているものの大きさを実感した。七つの闇、絶望の翼...その名前だけで、背筋が凍る。でも同時に、僕の研究が役に立つかもしれないという希望もある。六体共鳴が、古代の封印技術と同じ原理だったなんて...それは、まるで運命のようだ。そして何より...仲間がいてくれる。それが、一番の支えだ。


 レオンは、窓辺に戻った。夜空を見上げる。星々が、静かに輝いている。


 明日から、新しい戦いが始まる。古代の遺跡へ。封印の記録へ。そして、闇との戦いへ。


 レオンの心は、不安と希望が交錯していた。しかし、その中で、確かな決意が芽生えていた。


 僕は、諦めない。仲間と共に、この世界を守る。それが、第三王子としての、そして研究者としての、僕の使命だ。


 夜空に、また一瞬、暗い影が走った。


 しかし、レオンは怯まなかった。


 仲間がいる。希望がある。そして、古代の知恵がある。


 それがあれば、きっと道は開ける。


 レオンは、静かに拳を握り締めた。

第94話、お読みいただきありがとうございました。


予言者が語る「七つの闇」の真実。封印された巨大な脅威、特に最強の「絶望の翼」。古代の六体が使った六つの対極の力(炎と水、大地と氷、風と光)は、レオンの研究する六体共鳴と同じ原理でした。テラとマリーナが感じた大地の震えと水の乱れは、封印が弱まっている兆候だったのです。次の調査にはクリスタの300年の知識とルミナの光の力が必要。遺跡に残された古代の記録を解読し、封印を強化する方法を見つける。そして夜空に走る暗い影...闇の兆候が、すぐそこまで迫っています。次回、ついに遺跡調査編が始まります。


次回もお楽しみに。


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