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転生王子はスライムを育てたい ~最弱モンスターが世界を変える科学的飼育法~  作者: 宵町あかり


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第83話 予言者との再会

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

転生王子はスライムを育てたい第83話をお届けします。


クリスタとエオリアと共に遺跡へ。防衛機構を三人の連携で突破した先で――予言者との再会、そして新たな試練の予告が待っていました。


お楽しみください!

 昨日、テラとマリーナと共に遺跡の記録室で古代文書を発見した。風と氷の文字で記されたその文書には、きっと重要な秘密が隠されているはずだ。そして、あの時感じた不思議な気配。あれは間違いなく、予言者だったに違いない。


 今日は、クリスタとエオリアと共に遺跡へ向かう。古代文書の解読には、現地での調査も必要になる。風と氷の文字を読めるのは、この二人しかいない。フィルミナは屋敷でメイド長業務、マリーナとテラは庭園の世話、ルミナは光の実験、リヴィエルは別の護衛任務。少人数制の原則に従い、今回は3人で遺跡を再訪する。


「エオリア、クリスタ、準備はいいか?」


 研究室で、レオンは二人に声をかける。


「はい、レオン様」


 クリスタが静かに頷く。白銀の髪が朝の光を受けて輝いている。氷の記憶者として、古代文字を解読する力を持つ彼女の存在は、今回の調査に不可欠だ。


「風が、導いてくれるかもしれません」


 エオリアが優雅に微笑む。銀色の髪が風もないのにふわりと揺れた。風の歌い手である彼女なら、古代の風の文字を読み解けるはずだ。


 レオンたち三人は王宮を出て、遺跡へと向かった。昨日と同じ道を進むが、今日は違う期待感がある。予言者に会えるかもしれない。そして、古代文書の謎を解明できるかもしれない。


 遺跡の入り口に着くと、クリスタが立ち止まった。


「レオン様、この遺跡は...古代魔法の痕跡が濃厚です」


 彼女の青い瞳が、遺跡の壁面を見つめている。氷の記憶者として、古代の魔力を感じ取っているのだろう。


「ええ、風も...何かを語りかけているようです」


 エオリアが目を細める。彼女の周りを、緑色の風が優しく巡っている。


 レオンたちは遺跡の通路を進んだ。魔導灯が淡い光を放ち、古代の石壁を照らしている。昨日、テラとマリーナと探索した時とは違う緊張感が、空気を満たしていた。記録室への通路は、昨日確認した道だ。だが、今日は何か違う。空気が、微かに震えているような感覚がある。


「レオン様、何か...」


 クリスタが警戒するように周囲を見渡す。彼女も感じ取っているのだろう。


「ええ、昨日の気配と同じだ。予言者が...近くにいるのかもしれない」


 レオンの心に、研究者としての興奮が満ちていく。予言者に会える。古代の知識を教えてもらえる。クリスタとエオリアと共に、真実を掴みたい。前世では一人で研究に打ち込んでいたが、今は違う。仲間がいる。共に真理を追い求める喜びが、胸を熱くする。


---


 記録室への最後の通路に差し掛かった時、それは起きた。


「レオン様、床が...!」


 クリスタの叫び声と同時に、床の六芒星魔法陣が赤く発光した。炎のような輝きが、通路全体を照らす。


「魔法陣が...!古代の防衛機構だ!」


 レオンは即座に状況を理解する。古代遺跡には、侵入者を排除する仕掛けがあるのが一般的だ。だが、これほど強力な魔力の波動は...。


 ゴォォォという低い振動音が、遺跡内に響き渡る。魔法陣の共鳴音だ。空気が熱を帯び始め、魔力の波動が押し寄せてくる。床から伝わる振動が、この罠の本気度を物語っている。


「防衛機構です!氷で防ぎます!」


 クリスタが両手を前に突き出す。瞬時に、透明な氷の壁が出現した。通路を横切るように、分厚い氷の障壁が形成される。


 パリンという氷が張る音が響く。だが、その直後、両側の壁がギギギと動き始めた。石の壁が、左右から迫ってくる。隙間が狭まり、圧迫感が増していく。


 ゴゴゴという重い石のきしむ音。地響きが通路を揺らす。床が震え、立っているのも難しくなってきた。


「風で押し返します!」


 エオリアが腕を振る。緑色の風の渦が発生し、迫る壁を押し返し始める。ヒュオォォという風の音が、通路に響く。強い風が吹き抜け、レオンの髪が舞う。


 だが、壁の動きは止まらない。クリスタの氷の壁にギシギシという圧力がかかり、ヒビが入り始めている。エオリアの風も、完全には壁を押し返せていない。


「二人とも、持ちこたえてくれ!僕が魔法陣を解除する!」


 レオンは床の六芒星魔法陣に手を触れる。熱い。魔力が流れる感覚が、手のひらから伝わってくる。理論書で読んだ古代魔法陣の構造を思い出す。解除のキーとなるのは...。


「これだ!」


 魔法陣の中心点に魔力を注ぎ込む。青白い光が、魔法陣全体に走る。ピーンという高い音が響き、魔法陣の発光が消えていく。


 同時に、壁の動きが止まった。ギシギシという音が静まり、迫っていた圧迫感が薄れていく。クリスタの氷の壁が役目を終え、パリンと砕け散る。エオリアの風も、優しい風に戻っていく。


「はぁ...はぁ...」


 三人とも、息を整える。緊張が解け、安堵感が広がる。


「レオン様、大丈夫ですか?」


 クリスタが心配そうに声をかけてくる。


「ああ、大丈夫だ。二人のおかげで乗り越えられた」


 エオリアが優しく微笑む。


「三人の連携、見事でしたわ」


 レオンの心に、温かい思いが広がる。古代の罠を、クリスタとエオリアの協力で乗り越えた。氷で防ぎ、風で押し返し、レオンが魔法陣を解除する。三人の連携が、六体共鳴の力の一端を示している。個の力が結集すれば、どんな困難も乗り越えられる。


 その時、静かな声が響いた。


「試練の一つをクリアした...」


 予言者の声だ。記録室の扉が、ゆっくりと開く。中から、白い光が溢れ出してくる。柔らかく、それでいて圧倒的な存在感を放つ光だ。そして、その光の中にシルエットが浮かび上がる。白い衣を纏った、神秘的な存在。予言者だ。


「久しぶりだな、若き探求者よ」


 予言者が、穏やかな声で語りかけてくる。昨日感じた気配の主が、ついに姿を現した。


「予言者...!」


 レオンは驚きと敬意を込めて、その名を呼ぶ。以前、フィルミナたちと共に予言者に会った時のことを思い出す。あの時、予言者は六体共鳴の可能性を示唆してくれた。


 クリスタが小声で呟く。


「これが、予言者様...」


 エオリアは静かに見守っている。銀色の髪が、予言者の放つ光を受けて輝いている。


 予言者の周りで、古代の石板が一斉に光り始める。記録室全体が、白い光に包まれていく。空気が震え、共鳴音が響く。空気の温度が変化し、魔力の波動が波紋のように広がっていく。


 レオンの心に、予言者に再会できた喜びが満ちる。古代の知識を教えてもらえる。六体共鳴の真実に、一歩近づける。この瞬間を、ずっと待っていた。クリスタもエオリアも、予言者の神秘的な存在に圧倒されているようだ。だが、二人とも静かに見守っている。三人で真実を掴む。その決意が、レオンの胸を熱くする。


「レオン王子。そして、氷の記憶者と風の歌い手よ」


 予言者が、三人を見渡す。その瞳は深く、全てを見通すような輝きを持っている。


「私は見守る者。古の時代からこの地を見守り続けている」


 見守る者...?古代から...?


「六体共鳴は、古代の叡智の継承者にのみ許される奇跡。汝らは選ばれし者。しかし、試練なくして真の力は得られぬ」


 予言者の言葉が、記録室に響く。重く、それでいて温かい声だ。


「見守る者...?古代から...?」


 レオンは確認するように問いかける。予言者が、どれほど長い時間この地を見守ってきたのか。その答えを知りたい。


「そうだ。私は、古代魔法の守護者。失われた知識を守り、真に相応しき者に伝える役目を負っている」


 予言者が一歩前に進む。その存在感が、さらに増していく。


「汝は、その相応しき者の一人だ」


 クリスタが小声で呟く。


「古代魔法の守護者...」


 彼女の声には、理解と畏敬が混じっている。氷の記憶者として、古代の存在の重みを感じ取っているのだろう。


 レオンの心に、選ばれた者としての責任の重さと期待が交錯する。古代からの守護者が、レオンを認めてくれた。それは名誉であり、同時に大きな責任でもある。予言者の期待に応えなければならない。古代の知識を学び、正しく使わなければならない。


「六体共鳴は、古代の調和魔法の一部」


 予言者が、さらに語り始める。調和魔法...。レオンが研究してきた六体共鳴が、古代の魔法体系の一部だったとは。


「真の力を解き放つには、過去の知識と未来の絆を繋ぐ必要がある」


 過去の知識と、未来の絆...?


「過去の知識とは、この記録室に眠る古代文書。風と氷の言葉で記されている」


 予言者が、壁の石板を指し示す。昨日、レオンたちが発見した古代文書だ。


「それを解読し、理解することが第一歩だ」


 レオンは頷く。


「古代文書を...エオリアとクリスタなら、きっと読めるはずです」


 クリスタが決意を込めて答える。


「古代文書を...」


 エオリアも静かに頷く。


「はい...」


 予言者が満足そうに微笑む。


「その通り。風の歌い手と氷の記憶者。彼女らの力が必要だ」


 そして、予言者の表情が真剣なものに変わる。


「だが、知識だけでは不十分」


 不十分...?


「未来の絆とは、汝らの絆そのもの。個の成長が、全体を支える」


 個の成長...?


「六つの心、それぞれが己の闇と向き合う時が来る」


 予言者の声が、一層深みを増す。


「炎は恐れを、水は迷いを、大地は執着を、氷は孤独を、風は過去を、光は未来を見つめる」


 それぞれが...試練を乗り越える...?


「そうだ。個の強さが、六体共鳴の真の力を引き出す」


 レオンの心に、予言者の言葉が深く刻まれていく。六つの心、それぞれが己の闇と向き合う。フィルミナは恐れを、マリーナは迷いを、テラは執着を、クリスタは孤独を、エオリアは過去を、ルミナは未来を。それぞれが試練を乗り越えることで、個の成長が生まれる。そして、個の成長が全体を強くする。六体共鳴の真の力は、個の強さの結集から生まれるのだ。予言者の言葉を、心に刻み込む。この教えを、みんなに伝えなければならない。


 予言者の背後に、突然、古代の魔法陣が浮かび上がった。六芒星の形をした、虹色に輝く魔法陣だ。


「あの光は...?」


 レオンは驚きの声をあげる。その美しさと、圧倒的な魔力に、息を呑む。


「古代の証だ」


 予言者が静かに答える。魔法陣の中心に、古代文字が次々と浮かび上がってくる。「調和」「六つ」「光」「絆」「試練」「力」。昨日、テラとマリーナと共に記録室で見た文字と同じだ。


 クリスタが驚きの声をあげる。


「あの文字は...!」


 彼女は、氷の記憶者として、古代文字の意味を理解しているのだろう。


 エオリアが感嘆の声を漏らす。


「美しい...」


 風の歌い手として、古代魔法陣の調和の美しさを感じ取っているのだ。


 魔法陣が輝きを増し、共鳴音が記録室に響く。魔力の波動が、波紋のように広がっていく。予言者の目が、神秘的な光を放つ。


 レオンの心に、畏敬の念が満ちていく。クリスタが見た文字と同じ。予言者と古代魔法の繋がりが、目の前で示されている。予言者は、単なる預言者ではない。古代魔法そのものと深く結びついた存在なのだ。その神秘性に、ただただ圧倒される。


「行くがよい。仲間と共に、古代文書を解読せよ」


 予言者が、優しく語りかけてくる。


「はい。必ず、みんなで真実を掴みます」


 レオンは、深く頷く。


「古代文書...解読します」


 クリスタが決意を込めて言う。


「風が、導いてくれます」


 エオリアも静かに決意を示す。


 予言者が満足そうに微笑む。そして、白い光が徐々に薄れていく。予言者の姿が、光と共に消えていこうとしている。


「また会おう。汝らの成長を、楽しみにしている」


 最後の言葉を残して、予言者は完全に消えた。記録室に、静寂が戻る。だが、予言者の言葉は、レオンたちの心に深く刻まれている。


 レオンの心に、強い決意が芽生える。予言者に成長した姿を見せたい。古代文書を解読し、試練を乗り越える。個の成長が、六体共鳴の真の力を引き出す。そのために、レオンもみんなも、それぞれが己の闇と向き合わなければならない。予言者の期待に、必ず応える。


---


 予言者が消えた後、レオンたちは記録室に残された古代文書を確認する。昨日、テラとマリーナと共に発見したものだ。風と氷の文字で記されている。


「エオリア、クリスタ、この文書を解読できるか?」


 レオンは二人に尋ねる。予言者の言葉通り、この文書の解読が第一歩なのだ。


 クリスタが古代文書を手に取り、氷の文字を見つめる。


「氷の文字...読めます」


 彼女の青い瞳が、文字を追っている。氷の記憶者として、古代の氷の文字を理解できるのだ。


 エオリアも文書を覗き込む。


「風の文字も...時間はかかりますが」


 彼女の指が、風の文字を優しくなぞる。風の歌い手として、古代の風の言葉を読み解けるはずだ。


 レオンは安堵する。二人がいれば、古代文書の謎を解明できる。


「よし。じゃあ、この文書を持ち帰って、じっくり解読しよう」


 クリスタが古代文書を慎重に包む。貴重な資料を、丁寧に扱っている。


 クリスタの心に、決意が満ちていく。氷の文字を解読する。レオン様と仲間たちのために、古代の知識を明らかにする。氷の記憶者として、この使命を果たさなければならない。300年の孤独を経て、ようやく見つけた大切な人たちのために。自分の力を、精一杯使いたい。


---


 レオンたちは遺跡を出て、王都へと戻る道を歩いている。夕日が、遺跡の上に沈みかけている。オレンジ色の光が、古代の石壁を照らしている。


「今日は、大きな一歩だった」


 レオンは二人に語りかける。予言者との再会、古代文書の確認、トラップを乗り越えた経験。全てが、レオンたちの成長に繋がっている。


「予言者様の言葉...深いです」


 クリスタが静かに頷く。彼女の表情は、真剣そのものだ。予言者の言葉を、心に刻んでいるのだろう。


「古代文書、解読します」


 エオリアが決意を込めて言う。風の歌い手として、自分の役割を理解しているのだ。


 王都の街並みが見えてくる。夕日が、街を優しく包んでいる。レオンたち三人の後ろ姿が、長い影を作っている。夕風が優しく吹き、髪を揺らす。


 レオンの心に、予言者の言葉が反芻される。六つの心、それぞれが己の闇と向き合う。試練を乗り越える。個の成長が、六体共鳴の真の力を引き出す。これから始まる試練は、きっと厳しいものになるだろう。だが、仲間たちと共になら、必ず乗り越えられる。フィルミナ、マリーナ、テラ、クリスタ、エオリア、ルミナ。みんなの力を信じて、レオンも前に進む。

第83話、お読みいただきありがとうございました。


予言者との再会。古代魔法の守護者としての正体が明かされ、レオンたちに新たな試練が告げられました。「六つの心、それぞれが己の闇と向き合う」――個の成長が六体共鳴の真の力を引き出す鍵となります。


クリスタとエオリアによる古代文書の解読も始まり、物語は新たな段階へ。それぞれの試練が、どのように展開していくのでしょうか。


次回もお楽しみに。


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