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転生王子はスライムを育てたい ~最弱モンスターが世界を変える科学的飼育法~  作者: 宵町あかり


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第82話 遺跡深部探索

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

転生王子はスライムを育てたい第82話をお届けします。


テラとマリーナとの遺跡探索。罠を回避し、隠し通路を発見し、古代パズルを解いて――深部で待っていたのは、風と氷の古代文書でした。


お楽しみください!

 昨日、古代文字の発見があった。記録室の石板に刻まれていた「調和」「六つ」「光」という言葉。レオンの心に、強い予感が芽生えている。この遺跡には、まだ隠された何かがあるはずだ。


 今日は、テラとマリーナと共に、遺跡のさらなる深部を探索する。フィルミナは屋敷でメイド長業務、クリスタとエオリアは図書室での研究。ルミナは光の実験、リヴィエルは別の護衛任務。少人数制の原則に従い、今回は探索に適した3人だけで向かう。


 レオンは朝の光の中、遺跡の外観を見上げた。古代の石造りは、長い年月を経てなお、堂々とした威厳を保っている。朝の空気は澄んでいて、少し冷たい。期待感が胸を満たす。


「レオン様、準備できました」


 テラが静かに近づいてくる。茶色の髪が朝日に照らされて、ほんのり明るく見える。大地のような茶色の瞳は、いつものように落ち着いている。


「マリーナも準備OK!」


 マリーナが元気に声をあげる。水色の髪が風に揺れ、海のような青い瞳がキラキラと輝いている。その明るさに、レオンも自然と笑顔になる。


「よし。じゃあ、出発しよう」


 レオンが遺跡の入口へと歩き出す。テラとマリーナが左右に並び、3人で遺跡へと向かう。レオンの心に、古代文字の謎を解きたいという強い欲求が燃えている。テラとマリーナの力を信じている。大地の感覚と水の流れ、その二つの力があれば、きっと隠された場所を見つけられるはずだ。


---


 遺跡の内部は、魔導灯の淡い光に照らされている。廊下を進むと、床の石がひんやりとした感触を足に伝えてくる。古い石の匂いと、湿った空気が鼻をくすぐる。


「この先に、記録室がある」


 レオンが前を歩きながら説明する。昨日と同じ道を進んでいる。記録室で見た古代文字は、もっと深い場所への手がかりだと確信している。


「...大地が、何か言ってる」


 テラが立ち止まる。短い言葉だが、本質を突いている。レオンとマリーナも足を止める。


「何か感じるの?」


 マリーナが興味津々で尋ねる。テラは床に手を触れる。目を閉じて、大地の記憶に耳を傾けているようだ。


「...罠が、ある。この先に」


「罠?」


 レオンが緊張する。遺跡には、古代の防衛機構が残っているという話を聞いたことがある。古代の人々は、重要な場所を守るために、様々な罠を仕掛けていた。


「待ってください! 大地が...罠です!」


 テラが急に声を強める。レオンとマリーナが固まる。テラの短い言葉には、強い警告が込められている。


「どこに?」


「この床...プレッシャープレート」


 テラが床の一部を指差す。よく見ると、周囲よりもほんの少し沈んでいる。踏めば、何かが作動する仕掛けだ。


「すごい...よく気づいたね」


 マリーナが感心する。レオンも、テラの大地感知に改めて驚く。


「水で流します!」


 マリーナが両手を前に伸ばす。水魔法の波動が空気を震わせる。透明な水流が出現し、床を洗い流すように流れていく。


 ガチャン!


 プレッシャープレートが沈む音が響く。同時に、壁の一部が開き、矢が飛び出してくる。ヒュンヒュンという鋭い音を立てて、矢が空気を切り裂く。


「危ない!」


 レオンが叫ぶ。マリーナの水流が矢を受け止め、流れを変える。矢は水の力で方向を逸らされ、壁に当たって落ちる。カツカツという音が廊下に響く。


 テラが床に両手を当てる。大地魔法の波動が広がり、プレッシャープレートが固定される。ゴゴゴという低い音が響き、罠の機構が止まる。


「二人の連携、完璧だ」


 レオンが安堵の息を吐く。テラの大地感知で罠を発見し、マリーナの水流魔法で矢を流す。そして、テラの大地魔法で罠を無効化する。レオン様を守らなければ。テラの心に、強い決意が燃えている。大地は、危険を教えてくれる。それを聞き取ることが、自分の役目だ。300年間地下で待っていた時、大地はいつもテラに語りかけてくれた。その声を信じて、今もレオン様を守ることができる。


---


 罠を乗り越え、さらに奥へと進む。廊下は少しずつ下っていて、より深い場所へ導いている。魔導灯の光も、少し暗くなってきた。


「水の流れが...壁の向こうに!」


 マリーナが突然、壁に手を当てる。目を閉じて、水の流れを感じ取っているようだ。水魔法使いは、水の流れに敏感だ。壁の向こうに、何かがある。


「隠し通路か...」


 レオンが壁を調べる。一見、普通の石壁に見えるが、マリーナが指摘した場所には、わずかな隙間がある。


「テラ、この壁、何か分かる?」


「...大地が、空洞を知ってる」


 テラが壁に耳を当てる。壁の向こうは空洞だ。隠し通路がある証拠だ。


「どうやって開けるの?」


 マリーナが壁を押してみるが、動かない。レオンも壁を調べるが、スイッチのようなものは見当たらない。


「水の流れで...開けてみる」


 マリーナが両手を壁に当てる。水魔法の波動が壁に染み込んでいく。壁の隙間から、水が流れ込む音がする。


 ゴゴゴ...


 壁が震える。隙間が広がり、石の扉がゆっくりと開いていく。ギギギという軋む音が響く。扉の向こうから、冷たい空気が流れてくる。


「開いた!」


 レオンが驚きの声をあげる。マリーナの水魔法で、隠し扉を見つけることができた。ワクワク感が胸を満たす。レオン様の役に立てた。マリーナの心に、喜びが溢れる。水の流れは、隠されたものを見つけるのに最適だ。探索は楽しい。レオン様と一緒に、新しい発見ができる。それが何より嬉しい。


「慎重に進みましょう」


 テラが静かに言う。隠し通路は、暗く、湿った空気が漂っている。魔導灯の光が届かない場所だ。レオンが魔導灯を取り出し、通路を照らす。


---


 隠し通路は狭く、石の匂いが強い。壁は湿っていて、触ると冷たい。足音が反響して、静寂が強調される。


 しばらく進むと、通路が開けた空間に出る。そこには、古代パズルの部屋があった。


 部屋の中央には、六芒星の魔法陣が床に描かれている。六つの頂点には、それぞれ異なる古代文字が刻まれている。壁には、魔法陣の起動方法を示す図が彫られている。


「これは...」


 レオンが魔法陣を見つめる。この配置は、理論書で見たものと似ている。古代の調和魔法の基本パターンだ。


「この配置...理論書で見た...」


 レオンが魔法陣の図を確認する。六芒星の各頂点には、属性を示す文字がある。炎、水、大地、氷、風、光。六つの属性が、調和を保つための配置だ。


「大地の魔力で、この部分を...」


 テラが魔法陣の一つの頂点に手を触れる。大地を示す文字が刻まれた場所だ。テラの大地魔法が、文字に流れ込む。文字が淡く緑色に光る。


「水の魔力で、こっちを...」


 マリーナが別の頂点に手を触れる。水を示す文字が刻まれた場所だ。マリーナの水魔法が、文字に流れ込む。文字が淡く青色に光る。


 二つの文字が光った瞬間、六芒星全体が反応する。虹色の光が魔法陣全体を走り、美しい幾何学模様が浮かび上がる。


 ウィーンという共鳴音が部屋に響く。高い音が、古代の魔力が起動した証だ。魔力の波動が空気を震わせ、レオン、テラ、マリーナの体に伝わる。温かい感覚だ。


「成功だ...!」


 レオンが興奮を抑えきれない。理論通りに動いた。テラとマリーナの協力で、古代パズルを解くことができた。仲間との協力の大切さが、胸に沁みる。一人では解けなかったパズルも、3人の力を合わせれば解ける。六体共鳴の根本にあるのは、こうした協力なのだと、レオンは理解する。個の力が集まり、全体を強くする。それが、古代の調和魔法の真髄だ。


 六芒星の光が強まり、部屋の奥の壁が開いていく。隠し扉が現れ、その向こうに新たな通路が続いている。


---


 隠し扉の先には、古代の記録室があった。


 部屋に入った瞬間、レオンは息を呑む。壁一面が古代文字で埋め尽くされている。石板が何枚も並び、それぞれに異なる文字が刻まれている。昨日見た「調和」「六つ」「光」という文字も、ここにある。


「これが...古代の記録室...」


 レオンの声が震える。圧倒的な知識の量だ。古代の人々が、どれほど多くの知識を残したのか。それを目の当たりにして、畏敬の念が湧き上がる。


「すごい...壁一面が文字で...」


 テラも短い言葉で驚きを表す。普段は冷静なテラも、この光景には驚きを隠せない。


「きれい...」


 マリーナが古代文字の美しさに見入っている。文字の配置は、芸術的ですらある。


 レオンが記録室を歩き回る。足音が静かに反響する。石の床は冷たく、古い紙の匂いがかすかに漂っている。壁の文字を一つ一つ確認していく。


 そして、部屋の奥に、特別な石板を見つけた。


 風と氷の文字で記された古代文書だ。


「これは...」


 レオンが石板を慎重に手に取る。文字は、風のように揺らめいている。氷のように結晶化した文字もある。エオリアとクリスタなら、これを読めるはずだ。


「エオリアとクリスタに、解読を頼もう」


 レオンが決意する。この古代文書には、重要な情報が記されているに違いない。古代の知識への畏敬の念が、レオンの胸を満たす。エオリアとクリスタに解読を依頼したい。風の歌い手と氷の記憶者なら、きっとこの文書を読み解いてくれる。予言者が言っていた「過去の知識」とは、この古代文書のことかもしれない。


---


 古代文書を確認していると、レオンは不思議な気配を感じた。


 記録室の奥の暗がりから、何かが漂ってくる。魔力の波動とは違う、もっと不思議な感覚だ。


「今...誰かの声が...?」


 レオンが奥を見る。暗がりの中に、何も見えない。しかし、声が聞こえたような気がする。遠くから、誰かが語りかけてくるような...


「...気配を感じました」


 テラも警戒する。大地は、何かを感じ取っている。未知の存在が、この記録室にいる。


「誰かいるの...?」


 マリーナが不安そうに周囲を見回す。しかし、姿は見えない。


 レオンは、予言者の姿を思い出す。白い光に包まれた、神秘的な存在。あの予言者が、また現れるのかもしれない。予言者は、レオンが成長することを見守っていると言っていた。古代の知識を学び、仲間たちと共に真実を解き明かす。それが、予言者が期待していることなのかもしれない。今は姿を見せなくても、いつかまた会える。そんな確信が、レオンの心に芽生える。


 しかし、気配はすぐに消えた。まるで、レオンたちの存在を確認しただけのように。


---


 記録室での探索を終え、レオンたちは古代文書を慎重に持ち帰ることにした。


「この文書は、大事にしないと」


 レオンが石板を布で包む。古代の貴重な知識だ。損傷させるわけにはいかない。


「重要な発見でした」


 テラが静かに言う。今日の探索は、大きな成果があった。罠を乗り越え、隠し通路を見つけ、古代パズルを解き、そして古代文書を発見した。


「楽しかった!」


 マリーナが元気に言う。探索は、いつも新しい発見がある。レオン様と一緒に冒険できるのは、本当に楽しい。


「二人とも、ありがとう。君たちの力がなければ、ここまで辿り着けなかった」


 レオンが心から感謝する。テラの大地感知、マリーナの水魔法。それぞれの力が、探索を成功に導いた。


 3人は遺跡を出る。外に出ると、夕日が空を染めていた。オレンジ色の空が、遺跡の古代の石造りを照らしている。達成感が胸を満たす。


 王都への帰路につく。夕風が頬を撫でる。心地よい疲労感と、次への期待感が、レオンの心を満たしている。大きな一歩を踏み出せた。古代文書を解読すれば、次の段階へ進める。予言者が言っていた「過去の知識」を、エオリアとクリスタと共に解き明かしたい。そして、その先に待っている試練に向けて、仲間たちと共に準備を進めていく。六体共鳴の真の力を、みんなで掴み取りたい。


---


 王都に到着したのは、夜が更けた頃だった。


 研究室では、エオリアとクリスタが待っていてくれた。二人は、古代文献の調査をしていたようだ。


「レオン様、お帰りなさい」


 エオリアが優雅に迎える。銀色の髪が、魔導灯の光に照らされている。


「お疲れ様です」


 クリスタが静かに微笑む。白銀の髪が、氷のように輝いている。


「古代文書を見つけた。解読を頼みたい」


 レオンが石板を取り出す。風と氷の文字で記された古代文書だ。


「風の文字...読めるかもしれません」


 エオリアが石板を見つめる。風をまとう存在として、風の文字に親和性がある。


「氷の文字も...挑戦してみます」


 クリスタが石板に手を触れる。氷の記憶者として、氷の文字を読み解く使命を感じる。


「よろしく頼む。明日から、解読を始めよう」


 レオンが二人に託す。エオリアとクリスタなら、きっとこの古代文書を読み解いてくれる。


 研究室には、夜の静けさが漂っている。窓の外には、星が瞬いている。


 古代の石板が、魔導灯の光を受けて静かに輝いている。千年の時を超えた謎が、レオンたちの手の中にあった。

第82話、お読みいただきありがとうございました。


テラの大地感知とマリーナの水魔法による見事な連携で、遺跡深部の探索に成功。古代パズルを解き、新たな古代文書を発見しました。


風と氷の文字で記された古代文書――エオリアとクリスタの解読によって、どんな秘密が明らかになるのでしょうか。予言者の気配も感じられ、物語は次の段階へと進んでいきます。


次回もお楽しみに。


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