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転生王子はスライムを育てたい ~最弱モンスターが世界を変える科学的飼育法~  作者: 宵町あかり


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第76話 古代遺跡の発見とパズル解明

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

転生王子はスライムを育てたい第76話をお届けします。


テラの大地感知により、ついに古代遺跡を発見。そこには六体共鳴のための完璧な施設が待っていました。


お楽しみください!

 古代音叉を手に入れた翌日。次のステップに進む時だ。


「テラ、古代遺跡を探してほしいんだ」


 研究室で、テラに頼む。彼女は大地の魔法使い——地中の構造物を感知する能力がある。もし古代遺跡が地中に埋もれているなら、テラなら見つけられるはずだ。


「遺跡...ですか?」


 テラが真剣な表情で聞く。茶色の瞳が、僕を見つめている。


「市場で聞いた話だと、王都の東、森の奥に古代遺跡があるらしい。でも正確な場所はわからない」


「わかりました。大地に聞いてみます」


 テラが目を閉じる。彼女の魔力が、ゆっくりと広がっていく——それが見えるような気がする。大地と対話している。土、石、岩盤——全ての鉱物が、テラに情報を伝えているようだ。


 しばらく沈黙が続く。僕もフィルミナたちも、息を殺して待つ。テラの集中を邪魔したくない。


「...ありました」


 テラが目を開ける。その目には、確信が宿っている。


「北の森、地下約50メートルに、石造りの大きな空洞があります」


「50メートル...かなり深いな」


 地下50メートル。普通に掘るのは不可能だ。でも、テラの魔法があれば——。


「入り口は...森の奥、巨大な岩の下にあります。でも、封印されています」


「封印?」


 興味深い。古代遺跡が封印されている——それは、中に何か重要なものがあるということだ。


「魔法の封印です。六つの属性が必要...みたいです」


 テラが不思議そうに言う。


「六つの属性...」


 心臓が高鳴る。やはり、この遺跡は僕たちのためのものだ。偶然じゃない。予言者の言葉、古代音叉、そして今回の発見——全てが必然の流れだ。運命が、僕たちを導いている。


「みんなで行こう」


---


 北の森へ向かう。王都から馬車で二時間ほどの距離だ。


 森は深く、静かだった。木々の間から差し込む陽光が、まるで神殿の中にいるような荘厳な雰囲気を作り出している。鳥の声、風の音、葉擦れの音——自然の交響曲が、僕たちを迎えてくれる。


「レオン様、あそこです」


 テラが巨大な岩を指差す。高さ5メートルはある、苔に覆われた古い岩だ。表面には、薄く文様が刻まれている——古代文字だ。風化して読めない部分もあるが、かろうじて判別できる。


「この岩の下に入り口が...」


 岩に近づくと、確かに魔力を感じる。強力な封印魔法——何世紀も前から、この場所を守り続けている。


「テラ、岩を動かせる?」


「はい、やってみます」


 テラが手を岩に当てる。彼女の魔力が流れ込み、岩がゆっくりと動き始める。重低音が響き、地面が微かに震える。大地が、何百年ぶりに目覚めたようだ。


 岩の下に、石段が現れた。下へと続く階段——古代へと続く道。


「...すごい。本当にあった」


 息を呑む。予想はしていたけど、実際に目の当たりにすると、感動が込み上げてくる。古代文明の痕跡。何世紀も前の人々が作り上げた、叡智の結晶。これから、その秘密に触れることができる——研究者として、これ以上の喜びはない。


「降りてみよう。でも、慎重に」


 松明を持って、階段を降り始める。石段は古いが、しっかりしている。古代の建築技術の高さを物語っている。


 階段は螺旋状に続き、やがて広い空間に出た。


「ここが...遺跡の入り口か」


 目の前に、巨大な石扉があった。高さ10メートルはある、圧倒的な存在感だ。扉の表面には、六芒星の紋章が刻まれている。そして、その六つの頂点には、属性を示す紋章——炎、水、土、氷、風、光。古代音叉と同じ配置だ。


「六芒星...六つの属性」


 心臓が高鳴る。これだ。この扉が、六体共鳴への入り口だ。


 フィルミナが扉に触れる。


「レオン様、この扉...温かいです」


「温かい?」


 僕も触ってみる。確かに、ほんのり温かい。まるで生きているような——いや、魔力が流れている。何世紀も前から、魔力がこの扉を守り続けている。


「扉の紋章に、魔力を注いでみよう。六人全員で」


 六人が、それぞれの属性の紋章の前に立つ。フィルミナは炎の紋章、マリーナは水の紋章、テラは土の紋章、クリスタは氷の紋章、エオリアは風の紋章、ルミナは光の紋章。


「せーので、魔力を注ごう。準備はいい?」


 六人が頷く。その表情が真剣だ。


「3、2、1...今!」


 六人が同時に魔力を放つ。


 六色の光が紋章に注がれ、扉が輝き始める。まるで星座が輝くように、六つの紋章が繋がっていく——線が引かれ、六芒星が完成する。


 重低音が響き、扉がゆっくりと開き始める。何百年も閉ざされていた扉が、今、開かれる。石と石が擦れる音が、地下空間に反響する。まるで、古代の声が語りかけてくるような——そんな錯覚を覚える。


「開いた...!」


 マリーナが興奮して叫ぶ。


 扉の向こうに、広大な地下空間が広がっていた。


---


 中に入ると、息を呑む光景が待っていた。


 円形の大空間。直径50メートルはある。天井は高く、まるで地下神殿のようだ。壁面には、無数の魔法陣が刻まれている。そして中央には——巨大な六芒星の魔法陣が、床一面に描かれていた。


「すごい...こんなの、見たことない」


 フィルミナが驚きの声を上げる。


 魔法陣の六つの頂点には、それぞれ台座がある。明らかに、六人が立つための場所だ。そして中心には——音叉を置くための台座。全てが計算されている。完璧な設計だ。


「これは...六体共鳴のための施設だ」


 確信を持って言える。この空間は、六体共鳴を行うために作られた——何世紀も前に。古代の魔法使いたちは、僕たちが来ることを知っていたのだろうか。それとも、彼ら自身が六体共鳴を研究していたのだろうか。


 壁に近づくと、文字が刻まれているのに気づく。古代文字——でも、かろうじて読める。


「『六つの心、一つになる時』」


 予言者の言葉と同じだ。偶然じゃない。この遺跡は、僕たちのために残されたメッセージだ。


 さらに読み進める。


「『対極は調和し、波は共鳴する』」


「『光と影、炎と氷、風と大地』」


「『全ては繋がり、全ては一つ』」


 鳥肌が立つ。これは、僕が研究してきた理論そのものだ。対極共鳴、六体共鳴——全てが、古代から存在していた。僕は、それを再発見しただけなのかもしれない。


 ルミナが別の壁を指差す。


「レオン様、こっちにも何か書いてあります」


 そこには、図が描かれていた。六人が手を繋ぎ、円を作っている図だ。そして中心に、音叉が描かれている。


「手順を示してるんだ...」


 図の下に、説明が書かれている。


『第一段階:六人、台座に立つ

第二段階:音叉を中心に置く

第三段階:魔力を共鳴させる

第四段階:心を一つにする』


 シンプルだけど、難しい。特に「心を一つにする」——これは技術じゃなく、心の繋がりだ。


「でも、どうやって心を一つにするの...?」


 マリーナが首を傾げる。


「それは...お互いを信じることだよ」


 フィルミナが優しく答える。


「私たち、もうずっと一緒にいるから。レオン様を信じて、みんなを信じて、一緒に頑張ってきたから」


「うん。心はもう、一つだよね」


 クリスタが笑顔で言う。


 その言葉に、胸が温かくなる。彼女たちは、もう家族だ。スライムから人型になって、共に過ごした時間——その全てが、心を繋いでいる。技術じゃない。絆だ。


「もう一つ、重要なことが書いてある」


 別の壁の文字を読む。


「『この力は、破壊のためにあらず』」


「『創造のため、調和のため、未来のため』」


「『心清き者のみ、真の力を得る』」


 警告だ。この力を悪用してはいけない——古代の魔法使いたちの、最後のメッセージ。


「わかってる。僕たちは、誰かを傷つけるために研究してるんじゃない」


 六人を見回す。


「みんなの成長を見守りたい。新しい魔法の可能性を探りたい。そして、世界をもっと良くしたい。それが僕の目標だ」


 六人が頷く。その目には、決意が宿っている。


「私たちも、レオン様と一緒です」


 フィルミナが言う。


「レオン様がいてくれるから、私たちは頑張れる」


 マリーナが続ける。


「一緒に、新しい未来を作りましょう」


 テラが微笑む。


 その言葉が、僕の決意を固めてくれる。


「ありがとう、みんな」


---


 遺跡を一通り調べた後、外に出た。


「今日は下見だけにしよう。六体共鳴は、もっと準備してからだ」


 慎重にいかなければならない。古代遺跡の力は、想像以上に強大かもしれない。予言者の言う「試練」が何なのか、まだわからない。準備を整えて、万全の状態で臨みたい。


「テラ、入り口を封印しておいてくれる?」


「はい」


 テラが魔法を使い、岩を元の位置に戻す。入り口が再び隠される——他の誰にも見つからないように。


「これで、準備が整ったら、またここに来よう」


---


 屋敷に戻ると、すぐに研究ノートを開いた。今日の発見を全て記録する。遺跡の構造、魔法陣の配置、壁の文字——全てが貴重なデータだ。


「シグレ、六体共鳴の最終計画を立てよう」


「はい、坊ちゃま」


 シグレと二人で、詳細な計画を練り始める。


**六体共鳴実施計画**


1. 準備段階

- 古代音叉の魔力パターン分析

- 六人の魔力同調訓練

- 遺跡の環境測定


2. 実施段階

- 遺跡への移動

- 台座配置

- 音叉設置

- 段階的共鳴開始


3. 安全対策

- 魔力暴走時の緊急停止手順

- リヴィエルの警備配置

- 通信魔法による連絡手段確保


「これで、失敗のリスクを最小限にできる」


 計画を見直しながら、不安と期待が入り混じる。未知の領域に踏み込む——それは研究者として最高の瞬間だ。でも同時に、仲間たちの安全も守らなければならない。


「坊ちゃま、準備ができたら、いつ実施しますか?」


「明後日にしよう。それまでに、訓練と測定を終わらせる」


 決意を固めた。予言者の言う「試練」が何であれ、僕たちは乗り越えてみせる。


---


 その夜、各国の諜報員たちは緊迫した報告を送った。


 ガルヴァン(神聖騎士団)が真っ青な顔で報告書を書く。


「第三王子、古代兵器庫を発見!」


「地下神殿には、世界を滅ぼす力が封印されていた!」


「六芒星の魔法陣は、大量破壊兵器の起動装置!」


「緊急事態発令!全軍に最高警戒態勢を命じる!」


---


 メルキオール(聖教国神官)が興奮して聖典を開く。


「予言の地が発見された!神の啓示の場所!」


「六芒星は神の紋章!王子は選ばれし者!」


「全国民に通達!神殿への巡礼準備を開始せよ!」


---


 チェン・ロン(東方連合商会)が算盤を弾きながら興奮する。


「古代遺跡は観光資源の宝庫!」


「入場料、ガイドツアー、記念品販売...無限の可能性!」


「全商隊に通達!遺跡周辺の土地を確保せよ!」


---


 学術国の学者たちが論文執筆を開始する。


「古代文明の最重要遺跡!」


「魔法陣の配置から、高度な数学理論が読み取れる!」


「これは学術史上、最大級の発見だ!」


「新しい賞では足りない!新しい学問分野を設立する!」


---


 一方、レオンは——


「ただ遺跡を見つけただけなんだけど...」


 研究ノートを見直しながら、苦笑いしていた。


「でも、確かに重要な発見だ。明後日が楽しみだね」


 フィルミナたちが不安そうに、でも期待に満ちた顔をしている。


「大丈夫、きっと成功するよ」


 マリーナが元気に言う。


 世界が震撼しようとも、レオンたちは知らない。


 各国が軍を動員し、宗教団体が巡礼計画を立て、商人たちが土地を買い占めようとしても——。


 その温度差は、もはや測定不能だった。


 そして、運命の日が近づいていた。

第76話、お読みいただきありがとうございました。


古代遺跡の発見と、そこに刻まれた古代の叡智。六芒星の魔法陣、台座、そして壁に刻まれたメッセージ――全てが六体共鳴のために用意されていました。


次回は二体共鳴の予行演習。ルミナとエオリアの光と風の実験です!


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