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転生王子はスライムを育てたい ~最弱モンスターが世界を変える科学的飼育法~  作者: 宵町あかり


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第100話 絶望への抵抗

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

転生王子はスライムを育てたい第100話をお届けします。


封印の間に足を踏み入れたレオン、フィルミナ、マリーナを待っていたのは、「絶望の翼」の圧倒的な波動でした。心を直接蝕む禍々しい力に、三人は膝をつき、絶望感に飲み込まれます。それぞれが抱える不安と恐怖—レオンの研究への疑念、フィルミナのリーダーとしての資格への不安、マリーナの自己存在への疑問。しかし、マリーナの涙が青く光った時、フィルミナは気づきます。水は、絶望に負けていないと。二人が手を合わせた時、白い炎と青い水が融合し、白い蒸気のような光が生まれました。対極の調和—それが、闇を払う力。炎と水のペアが、希望の光を生み出した瞬間です。


お楽しみください!

 封印の間に足を踏み入れた瞬間、レオンは圧倒的な波動を感じた。


 六角形の魔法陣が、床に刻まれている。


 六つの紋章が、それぞれの位置で微かに光っている。


 炎、水、大地、氷、風、光。


 しかし、その光は弱々しく、今にも消えそうだった。


 魔法陣の中心には、巨大な暗い影が蠢いている。


 影は実体を持たないが、その存在感は圧倒的だ。


 影の中から、禍々しい波動が溢れ出ている。


 息が詰まる。


 影の中に、巨大な翼のシルエットが浮かび上がる。


 翼は漆黒で、まるで闇そのものを具現化したかのよう。


 翼から発せられる波動は、直接心を侵食してくる。


 レオンの胸が苦しくなる。


 希望が、消えていく。


 これが...『絶望の翼』の本体...!影の中に封じられている。でも、封印は弱まっている。このままでは、完全に崩壊する...!あの波動が、僕たちの心を直接侵食している。これは、物理的な攻撃じゃない。心理的な攻撃だ...!


 フィルミナとマリーナも、顔を歪めている。


 三人とも、膝をついた。


 立っていられない。


 絶望感が、三人を包み込む。


---


 レオンは、床に座り込んだ。


 体が重い。


 動けない。


 胸の奥から、冷たいものが湧き上がってくる。


 ...何もかも、無意味だ...僕の研究も、絆も、全てが無駄だった...こんな巨大な闇を前に、僕なんかに何ができる...?フィルミナたちを危険に晒しただけだ...僕が、みんなを不幸にした...もう、戦う意味なんてない...全ては終わりだ...。


 レオンは、フィルミナとマリーナを見た。


 二人も、床に座り込んでいる。


 ...フィルミナ...マリーナ...君たちまで、苦しませてしまった...僕のせいだ...僕が、無謀な戦いを強いた...君たちは、もっと幸せになれたはずなのに...僕が、全てを台無しにした...君たちの笑顔を奪ってしまった...許してくれ...。


 フィルミナは、膝を抱えて俯いていた。


 ...私は...リーダー失格だ...みんなを導くどころか、危険に晒しただけ...炎のフィルミナという名前が、重すぎる...私には、その資格がない...炎は、時に破壊をもたらす。私が、みんなを傷つけてしまう...もう、リーダーなんて、できない...。


 フィルミナは、マリーナを見た。


 マリーナは、涙を流していた。


 ...レオン様...あなたを守るはずだったのに...私は何もできない...マリーナも、一緒に苦しませてしまった...私が、もっと強ければ...でも、私は弱い...何もできない...炎は、闇を照らすことすらできない...。


 マリーナは、両手で顔を覆っていた。


 涙が、指の間から溢れ出る。


 ...私なんか...いない方が良かったのかな...レオンも、フィルミナも、私がいなければもっと楽だったかもしれない...水の力しかない私...役に立たない私...足を引っ張っているだけ...消えてしまいたい...みんなの重荷になりたくない...。


 マリーナは、レオンとフィルミナを見た。


 二人とも、絶望に飲み込まれている。


 ...みんなの笑顔を守りたかった...でも、私には無理だった...明るく振る舞っていたけど、本当は怖かった...一人になるのが怖い...でも、もう、みんなと一緒にいる資格なんてない...私は、ここにいてはいけない...。


 三人とも、完全に動けなくなった。


 絶望感が、最大化する。


 「絶望の翼」の波動が、さらに強まる。


 希望が、完全に消えていく。


---


 その時だった。


 マリーナの涙が、一滴、床に落ちた。


 その涙が、微かに青く光った。


 フィルミナは、その光に気づいた。


「...この涙...」


 フィルミナが、顔を上げた。


「...水の力...?」


 マリーナの涙は、青い光を放っている。


 小さな光だが、確かに輝いている。


「マリーナ、あなたの水が...光っている...!」


 フィルミナの声に、マリーナが顔を上げた。


「...え...?」


 フィルミナは、マリーナの手を取った。


「そうだ、これは闇の心理攻撃...でも、あなたの水は、闇に侵されていない...!水は、浄化の力...あなたの純粋な心が、水を守っている...!マリーナ、あなたの水は、絶望に負けていない...!」


 マリーナの目に、希望の光が宿った。


「...私の...水...?」


 レオンも、マリーナの涙を見て気づいた。


「...そうか...!」


 レオンが、顔を上げた。


「絶望感は、心を蝕む波動だ。でも、僕たちの絆は、波動より強い...!フィルミナとマリーナの炎と水、二人の対極の調和が、闇を払う鍵だ...!古代の六体と同じだ。対極の調和があれば、心理攻撃も無効化できる...!僕たちは、絶望に負けない...!」


 フィルミナは、立ち上がった。


 体が軽くなる。


「マリーナ、あなたの水が、私の炎を目覚めさせてくれた」


 フィルミナが、マリーナに手を差し伸べた。


「炎は、闇を照らす。水は、闇を浄化する。二人で一緒なら、絶望なんて払える!私たちは、炎と水のペア。古代のイグニスとアクアのように、調和で闇を封じる!」


 マリーナは、フィルミナの手を取って立ち上がった。


「フィルミナ...レオン...私、諦めない!」


 マリーナが、笑顔を見せた。


「二人が好きだから、一緒に戦う!水は、どんな隙間にも入り込める。闇の心にも、水は届く。私の水で、闇を包み込んで、浄化する!フィルミナの炎と一緒なら、きっとできる!みんなの笑顔、絶対に守る!」


 レオンは、二人を見て深く頷いた。


「ありがとう、二人とも」


 フィルミナとマリーナは、向かい合った。


 二人は、手を合わせた。


 絶望感が、少し和らいだ。


---


 フィルミナが、静かに言った。


「マリーナ、私の炎を受け取って」


 フィルミナの手に、白い炎が宿った。


 炎は、優しく揺れている。


 マリーナが、頷いた。


「わかった!私の水で、フィルミナの炎を包むね」


 マリーナの手に、青い水が宿った。


 水は、静かに流れている。


 二人が、手を合わせた。


 炎と水が、混ざり合う。


 白い炎と青い水が、互いを包み込む。


 そして、白い蒸気のような光が生まれた。


 光は、柔らかく、温かい。


 炎と水の調和。


 レオンは、その光を見て感動した。


 これが...対極の調和...!炎と水が、互いを打ち消し合うのではなく、新しい力を生み出している...!この光は、闇を払う力がある...!フィルミナとマリーナの絆が、調和を生み出した...!古代の六体と同じだ...いや、それ以上かもしれない...!


「この光が...私たちの希望...」


 フィルミナが、微笑んだ。


「一緒なら、できる!」


 マリーナも、明るく笑った。


 白い蒸気のような光が、部屋を照らした。


 絶望感が、さらに和らぐ。


 六つの紋章が、微かに輝きを増した。


 特に、炎の紋章と水の紋章が、強く光る。


「やった...!」


 レオンが、声を上げた。


「二人の調和が、紋章を強化している...!」


---


 レオンは、封印の間の奥に向かって呼びかけた。


「テラ、クリスタ、エオリア、ルミナ...」


 レオンの声が、部屋に響く。


「君たちも、絶望感に襲われているはずだ。でも、諦めないでくれ」


 レオンは、フィルミナとマリーナを見た。


「僕たちには、絆がある。フィルミナとマリーナが、炎と水の調和を生み出した」


 レオンは、力強く言った。


「君たちも、対極のペアで調和を生み出してくれ。大地と氷、風と光。三つのペアが、それぞれ調和を生み出せば、封印を強化できる。僕たちは、一人じゃない。七人で、古代を超えるんだ!」


 遠くから、微かな応答が聞こえた。


「...わかった...」


 テラの声だ。


「...諦めません...」


 クリスタの声だ。


「...頑張ります...」


 エオリアの声だ。


「...一緒に...!」


 ルミナの声だ。


 レオンは、安堵した。


 みんな、まだ戦える。


 絆があれば、絶望なんて払える。


---


 フィルミナが、レオンに言った。


「レオン様、私たちの調和は成功しました」


 マリーナも、明るく言った。


「でも、まだ封印は弱いままだね」


 レオンは、頷いた。


「そうだ。フィルミナとマリーナの調和が、第一歩だ」


 レオンは、封印の魔法陣を見つめた。


「次は、テラとクリスタの番だ。大地と氷のペア。二人の調和が、封印を強化する次の鍵だ。そして、エオリアとルミナの風と光。三つのペアが調和すれば、封印は必ず強化される。僕が、みんなを繋ぐ。古代を超える、七人の力で、『絶望の翼』を封じる...!」


 その時、封印の間の扉が開いた。


 シグレが、息を切らして駆け込んできた。


「レオン殿、大丈夫か!?」


 レオンは、シグレを見て微笑んだ。


「大丈夫だ、シグレ。フィルミナとマリーナが、道を開いてくれた」


 シグレは、三人を見て安堵した。


「そうか...良かった...」


 レオンは、フィルミナとマリーナを見た。


「ありがとう、二人とも。君たちの調和が、僕たちの希望になった」


 フィルミナとマリーナは、笑顔で頷いた。


 白い蒸気のような光が、まだ二人の手に宿っている。


 炎と水の調和。


 それが、闇を払う力。


 レオンは、決意を新たにした。


 次は、テラとクリスタの大地と氷の調和だ。


 三つのペアが調和すれば、封印は必ず強化される。


 そして、『絶望の翼』を、再び封じ込める。


 古代の人々が信じた未来を、僕たちが実現する。


 戦いは、まだ続く。


 でも、希望がある。


 七人の絆が、僕たちの力だ。

第100話、お読みいただきありがとうございました。


封印の間で「絶望の翼」の圧倒的な波動に直面したレオン、フィルミナ、マリーナ。心を直接蝕む心理攻撃に、三人はそれぞれの内面の不安と向き合いました。レオンは研究の意味への疑念、フィルミナはリーダーとしての資格への不安、マリーナは自分の存在意義への疑問—絶望感が最大化する中、希望の光が現れます。マリーナの涙が青く光り、その純粋な心が水を守っていることにフィルミナが気づきました。そして、二人が手を合わせた時、白い炎と青い水が融合し、白い蒸気のような光が生まれます。対極の調和—炎と水が互いを打ち消すのではなく、新しい力を生み出す瞬間。この調和が、封印を強化する鍵となります。レオンは残る四体にも呼びかけ、大地と氷、風と光の対極のペアでの調和を求めます。次回は、テラとクリスタの大地と氷のペアの調和へ。三つのペアが調和を生み出せば、「絶望の翼」を封じる力が完成します。


次回もお楽しみに。


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