今日見た『ゴリラに捕まり、バナナを無限に口へ詰め込まれる』夢の話をしようか〜帰宅部JK4人の世にも奇妙な夢語り〜
深夜テンションで思い付いた
かなり尖った読み切り短編小説です。
時刻は昼の12時半__
午前の授業を終えた生徒達の大半は教室を飛び出し、
購買人気No.1のビーフシチューパン争奪戦のために
勢いよく購買へ向かう。
そんな中、机をくっつけ優雅なお昼休みを謳歌する
女子高生4人組がいた。
彼女達は、持参してきた弁当を広げる。
すると、一人の少女。
マイカが、こんな事を言い始めた。
「なんか、最近つまらないよね。
刺激が足りないというか。」
マイカは、フォークでたこさんウインナーをぶっ刺した。
「それな。誰か面白い話ないー?」
マイカの話に頷き、無茶な振りをするチカ。
「あるわけないでしょ。私達、彼氏も居ないんだよ。」
甘めの卵焼きを食べながら、冷静に答えるヒマリ。
「それに皆、帰宅部だしね……。」
ナナミが、おにぎりを一口頬張りそう言った。
「うぅ……現実しんどすぎ。」
マイカはたこさんウインナーを刺したまま、
机へ突っ伏した。
そんなマイカのたこさんウインナーを、
ナナミがパクリと食べた。
「あ、じゃあこんな話はどう?」
ツナサンドを手に持ち、チカが提案をした。
「最近見た夢の話教えてよ!
私思うんだけどさ、夢って結構面白くない?」
ツナサンドを噛まずに飲み込むチカ。
3人は思った、お前の食べ方の方が面白いと。
「あーでも、確かに。夢ってなんか不思議だよね。」
チューとパックのリンゴジュースを吸いながら、
ヒマリは話を膨らませていく。
「どう?皆今日どんな夢見た?」
それに乗っかったナナミが聞きながら、
食べ終わった弁当を片付けていく。
「私は今日、シンプルに学校の夢かな?
こんな感じで皆とお昼食べてたなぁ。
そして、時間ギリギリまで話してて先生に怒られるの。」
「ある意味正夢だね。」
チカの夢の話に、ヒマリが突っ込んだ。
「学校で唯一の楽しみだから、
一番記憶が濃くて夢に出てきただけかも。」
なんて言って笑うチカ。
「ありえる〜〜。」
「じゃあ、正夢じゃないな。」
「チカきゅん……♡」
これが個性というのだろう。
ナナミ、ヒマリ、マイカ、各々違った反応を見せる。
「マイカはどんな夢見たー?」
ナナミの質問に、マイカはうーんと考えた。
「起きたばかりは思い出せたんだけど……
時間経ってるし中々思い出せないわ。」
諦めモードのマイカはご飯を一気に口の中へかき込んだ。
「おいおい、女の子らしく食べなさい。」
少し引き気味にヒマリが突っ込んだ。
「へーい。」
しかし、マイカはマイカだった。
ヒマリは気にする事を諦めた。
「ナナミはどうだったのさ。」
ご飯粒を唇の横にくっつけたマイカが、
夢の話題をナナミに振る。
ご飯粒に気付いたチカは、マイカに
ここに付いてると教えてあげた。
「アラブの王に求婚されて、
一緒に石油を堀りに行く夢だよ〜。」
いやぁ、ロマンだね。
なんて夢を思い出し浸っているナナミ。
「王なのに、これから石油を掘りに行くんだ。
まだ掘り当ててないんだ。」
「はっ……!!確かに!!」
ヒマリの鋭いツッコミで、夢の落とし穴に気付くナナミ。
「それじゃあ、王じゃなかったってことー?!」
嫌だ〜と喚くナナミ。
「ナナミ、お前……結婚詐欺には気を付けろよ。」
そう言ったチカの言葉に、マイカとヒマリも
うんうんと縦に数回首を振った。
「次は私の夢の話かな……?」
デザートのプリンを食べながらヒマリが言った。
「ヒマリちゃんどうぞ語っちゃって〜。」
「ひまりん面白いのよろ!」
「フーフー!」
ナナミとチカがグイグイと聞きに回り、
それをマイカが囃し立てる。
退屈な日常でも、この3人といる時は飽きないな
とヒマリは思った。
「私は……今日皆と動物園に行く夢を見たかな。」
「へぇ、面白くはないけどいい夢じゃん。
放課後皆で行く?」
マイカが動物園行こうと誘った。
「いいねいいね。」
「マジこれ帰宅部の特権、ピース。」
ナナミとチカも賛成のようだ。
「まって、本当に行くの?」
しかし、ヒマリは反対だと止める。
「正夢だったらヤバいよ……この夢。」
ヒマリのゾクッとする一言に、3人は固まった。
「あのさ、もしかしてなんだけど……ヒマリ今日……」
マイカが口を開いた。
「動物園で脱走したゴリラに捕まって、
無限にバナナを口に入れられる夢見た?」
「何その夢!!」
「ヤバッ、おもろすぎ…!!」
ギャハギャハと笑うナナミとチカとは反対に、
鳩が豆鉄砲食らった顔をしているヒマリ。
「そう……だけど……なんでわかったの?」
正確に夢を言い当てるマイカの発言に、
ヒマリは心底不気味に思った。
「私の今日見た夢を思い出したんだよね。」
それがたまたま、全員の夢と一致していたのだと。
「昼休みこうやっていつものように昼ご飯食べながら
話してたら、皆で動物園に行くことになって。」
夢を思い出したマイカが語り始める。
「それで、動物園に行ったら
ゴリラが大量のバナナを抱えて脱走して……。」
3人はゴクリと固唾を飲み込んだ。
「そのゴリラにナナミ以外の3人が捕まって、
気に入られたのか分かんないけど、
これでもかってくらいバナナを口に詰め込まれるんだよ。
ほんと……しばらくはバナナ見たくない……。」
「あれ、私は……?」
私が居ないとナナミが言った。
「顔を布で覆った外国人の事を道案内してて、
そのままどっか行った。」
「それってもしかして、
これから石油を掘りに行くアラブの王……?!」
チカが、ハッとしたように立ち上がって声を張上げた。
「オーマイガー……。」
ナナミは頭を抱えた。
「結婚おめでとう。」
そんなナナミの背中をチカがぽんぽんと叩いた。
「で、どうする?行く?」
マイカが改めて動物園に行くか話を振った。
「ちなみに、その後の夢の続きってあったの?」
ヒマリがマイカに聞いた。
「……それは。皆近くに寄って。」
内緒話をするかのように
4人が並べた机の中央に顔を寄せる。
「実はループしてるんだよね。この夢って。」
「「「え?」」」
3人は口を揃えた。
「限界まで口に詰め込まれた後、また教室に戻るの。
12時25分、昼休憩前の授業の時間に。」
また今日と同じ日常が始まるとマイカが言った。
「これって本当に夢だと思う?」
そんなマイカの一言に全員が固まる。
カチカチ__
次の授業のために教室へ戻ってきたクラスメイト。
賑やかな教室の中なのに、4人にはヤケに時計の音が
大きく感じた。
そして、チカの夢の通りに
教室へ入ってきた先生が私達を怒るのであった。
いかがだったでしょうか?
反応があれば続編書こうかなと思ったり、
思わなかったり……!
最後に宣伝とはなりますが、ぜひ代表作の
『現実的ファンタジア』もよろしくお願いします!