加工写真
出会い系、というのは罠だらけだと聞く。
俺がやったのだって、どうせ罠だらけだと思ってやっていた。
だからといって、犬の写真を人間にするのはやめてほしい。
「……はぁ」
俺は出会って5秒かからずにため息をついていた。
「いや、まさかさ、知り合いと出会うとは思わないじゃんか」
相手は腐れ縁の男。
幼馴染、というには少し離れているものの、親友というには十分な距離感がある。
待ち合わせ場所にしていた公園の、近くにあったベンチに腰掛けながら、足元で伏せをしているゴールデンレトリバーの頭を撫でてやる。
「……んでさ、さすがにこれは通報モノだろ」
俺は言いながらやつのプロフ写真を見せる。
「いやぁ、流石に引っかかる人はいないだろうと思ってさ」
「だからといって、犬の写真をモリモリにして、人間の美女風にするのはやめろ。相手が相手なら、マジで警察呼ばれるぞ」
「アッハッハッ」
それでもやつは分からないらしい。
とはいうものの、いうだけは言った。
あとの問題はこいつの問題だ。
「お、どっか食いに行くか」
「そいつも連れてか?」
俺は歩きながらも、犬を指す。
「当たり前だろう」
何言ってんだ、という表情で俺を見てくるが、それを言いたいのは俺の方だ。
ともかく、俺らは言い合いながらも歩き出す。
なにはともあれ、まずは飯からだ。