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寄生虫ショック!

「き、寄生虫・・?」

ブルブルと震えながらキュッピに訊いた。

「あ!そろそろ全部出るっピよ。」

「うえぇ!?」

見ると、黒っぽい茶色のヒモみたいな物体が、いつの間にかカマゾーの4倍くらいの長さでウネウネしている。太さもボクの中脚くらいあるんじゃないだろうか。

ニュポン!

「ヒッ!!き、気持ちワルっっ」

最後にニュルリと出てくると、音を立てるように(立ててないけど、イメージね、イメージ)カマゾーのお尻から抜け出ていった。

「な、な、なに?あの黒い素麺みたいなのって寄生虫なの?」

「キュピ?ソーメン?」

あ。クモにはわかんないか。

オロンを促して水たまりから出ると、少しずつオロンを小さくして、カマゾーをそっと土の上に横たわらせた。

ダラリと横になっているカマゾーを見ると、何時間か前まで、ボクをエサだと言っていたのがウソみたいだ。

「カマゾー。もう寄生虫はいなくなったよ。」

そっと話しかけたけど返事はない。昆虫の呼吸ってイマイチわかんないから、生きてるのかもわからない。

カマゾー、あんなのオナカに入れてたのか。そりゃあパンパンになるはずだよな。ご飯だって、食べられっこない。もっと真剣に考えるべきだった。

涙が滲んで鼻先がツーンとした。

ボクの横を通り越したオロンは、ズリズリ水際に行ってニョロニョロを見ると、怖がる様子もなく

「細いのねー。ヌルヌルなのー?オロロン」

と言った。この寄生虫を知っていたのかな。

キュッピの方はといえば、黒い素麺を正面にある大小4個の単眼でジッと見て言った。

「ボクも見たのは初めてだっピ。カマキリにとりつく寄生虫がいるって聞いたことがあったんだけど、ほんとだったっピ!」

「な、なんていう寄生虫なの?」

「知らないっピ。でもほんとだったっピー!」

キュッピは能天気に両手をあげてクルクル回っている。その様子を見て、怖がってるのがバカバカしくなった。

「ちょっと!そんなことより、こんな寄生虫にやられてカマゾーは大丈夫なの?」

さっきから、声をかけたり揺さぶってみても反応がない。

あ!といった様子で、キュッピは両手をあげたままこっちを向いた。

「わかんないっピ。」

「え!?わかんないの?」

「キュピ。カマゾーの生命力に賭けるしかないっピ。」

「そんなぁ・・・」

「しょうがないっピ。ボクらの世界には、他に方法がないっピ。」

そうだ。医者もいなければ薬もないんだった・・・。

「この寄生虫は、水の中で交尾も産卵もするんだっピ。んで、幼虫がカゲロウの幼虫とかのエサになって、食べたカゲロウとかが羽化して水から出ていって、そのカゲロウとかを食べたカマキリとかに寄生するんだっピ。・・・うむむむ、ややこしいっピ!」

「えっと、わかんなくなっちゃうから、カゲロウ(そんな虫、知らなかった!けど今は内緒にしとこう。)とカマキリに限定して話してみるね。水の中で孵化したこのヒモみたいな寄生虫の幼虫は、カゲロウの幼虫に食べられる。オナカに寄生虫の幼虫を入れたまま、カゲロウは成虫になって、羽化して空を飛ぶようになる。オナカに寄生虫が入ったカゲロウをカマキリがエサにする。こんな感じ?」

「キュピー!正解だっピ!だから水場に来る必要があるんだっピ。」

「えぇ!?じゃあカマキリを操ってるってこと!?」

キュッピはウンウンと頷いた。

そういえば、寄生虫に取りつかれたカタツムリを見たことがあった。オロンはあの時、そのカタツムリが「だんだん話しができなくなって、最後には、自分の思うように身体を動かせなくなってるって言ってた」って言ってたっけ。後でネットで調べたら、あの寄生虫は最終宿主の鳥のところへ行くために、カタツムリを操って、まっ昼間に葉っぱの上を這い回らせて、鳥に食べさせるって書いてあった。

ブルッ

恐ろしさに身震いした。

寄生虫って、他の生き物を操るのか。

「カマゾーくん!」

ヒナちゃんがやってきてカマゾーに飛びついた。

「あの寄生虫がカマゾーに取りついていたんだっピ!」

キュッピはそう言って水の中のニュルニュルしたヒモを指(脚)さした。

ヒナちゃんは悲鳴をあげた。

そりゃそうだ。あの気持ち悪さと長さ&太さ。あんなモノがオナカに入ってたなんて、実際に見たボクでさえ信じられない。

「水に浸ければ、たいていはお尻から出てくるっピ。そうでないと、オナカから飛び出てくるっピ。そうなったら絶対に助からないんだっピ。」

「あんな長いムシが、カマゾーくんのオナカに入ってたんですか!?」

「そうだっピ。カマゾーのヤツ「・・ヒナちゃん・・助ケテ・・」って言ってアタマを押さえながら水に飛び込んだんだっピ。」

そう言うと、ヒナちゃんは号泣した。

「・・・ごめんね、カマゾーくん。こんなになるまで気づいてあげられなくて、ごめんね・・・。苦しかったよね・・痛かったよね・・ほんとに気づいてあげられなくて・・いつも守ってもらってばっかりで・・・これからは、カマゾーくんを守るから。2度と寄生虫になんか取りつかせないから・・・これからは、苦しい時は苦しいって言って。これからは、いろんなこと一緒に考えようよ。起きて、カマゾーくん、起きてよぉ・・・」

「カマゾー!眼をを覚ましてよ。せっかくみんなでヒナちゃんを守る方法考えたじゃん。試さなくてどうするんだよ!」

「カマー。起きてー。しくしく。オローン」

みんなで声をかけているけど、ピクリともしない。

もうダメなんだろうか。

諦めかけたその時、カマゾーを囲んで泣いているところに、キュッピがズイッと割り込んできて

「そろそろ起きるっピ!」

バチコーーーン!

アタマを勢いよく叩いた。

ボク達は、あまりの衝撃に、口をあんぐりと開けたまま金縛りにあったように固まってしまった。

真っ先に金縛り?が解けたヒナちゃんが

「な、何するんですかー!」

と叫んだ。と同時に、

「う・・ウ・・親ブン・・・痛イでス・・・」

「カマゾーくん!?」

「カ、カマゾー!?」

・・・まさかこんなコトで目(眼?)を覚ますとは。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

つたない文章ではありますが、今後も楽しんで頂ける作品となるように心がけて頑張ります!

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