表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/72

甘くてしょっぱい

あっぢぃ〜〜〜。

自転車を停めてから教室までが長く感じる。

半袖から出てる腕が、ジリジリと焼けるのがわかる。

おかしい。実におかしい。

ここは日本のはずなのに、なぜこんなに暑いのか。

砂漠なんじゃないだろーか?

こう暑いと文句ばっかり出てくるな〜〜。

あ!ソエジン発見。

「はよっ!」

「お!りくおはよー!・・なあなあ、すごい情報ゲットしたんだけど。」

ソエジンは、声のトーンを少し下げてニヤニヤしながら超接近してくると、

「知りたい?」

と言ってグフグフ笑った。でたな!エロビン底メガネ。

「なんだよ〜。もったいぶってないで教えろよ。」

「ヘッヘッヘ。大ニュースだぞ〜。岡崎が清水に告られたんだって。」

「え!?マジで?」

え!?清水!?

頭から水を浴びせられた気がした。

はて?なんでだろう?

「マジだよ、マジ。昨日、岡崎が部活終わりに清水に呼び止められて、体育館の奥に行くところを目撃しちゃったわけよ。そしたらもう気になっちゃって、2人が出てくるまで待ってたわけよ。」

「暇人かよ。趣味悪いな〜。」

「あ!そんなこと言うと、教えてやんないぞ。」

「わかった、わかった。それで?」

「岡崎が赤い顔して出てきたから、声かけたんだよ。そしたらさ〜、告られたって言ってニヤけちゃってさ〜。まだテンパってるみたいだったから、明日事情聴取するって言ったんだ。だから後で聞き出そうよ。」

告られてもいないソエジンがニヤけている。

「い〜な〜!ボクも青春したいよぉ!」


だる〜〜 暑いし、なにもかもがだるい。

岡崎は、小柄だけど運動神経バツグンで剣道部のエースだ。警察官のお父さんの影響で、小学1年生の時から剣道を習ってたんだって。

お相手?の清水は、細身で背が高くて、ショートカットでメガネで、美人じゃないけど笑った顔が可愛い明るい子だ。ボクみたいにパッとしない男子にも分け隔てなく話しかけてくれて・・実は、密かにちょっといいなと思ってたんだよね。

そーか。岡崎が好みだったのか。

少しだけチクリと胸が痛んだ。気がした。


清水の告白が成功したことは、朝にはすでにクラス中に広まってて(特に女子は早いからね)、登校してくるとヒューヒュー囃し立てられていた。

みんな知ってんじゃん。ソエジンの情報は早くもなかったんだな。

中休み、教室の隅に知りたがりの男子が集まった。

みんなニヤニヤしながら岡崎をどついている。やめろよ〜と言ってる岡崎本人もニヤついている。

女子を見ると、こちらも反対隅に集まっていた。

みんなお年頃だから、こういう話が大好物だ。

聞きたいような聞きたくないような、変な気持ち。

岡崎が部活に行く時に、清水に話があるんだけどと言われたそうだ。もしかして告白?と思ったら、気になって部活に集中できなかったんだって。入部して初めて面を打たれたそうだ。

ざまあみろ。

・・いやいや、そんなこと考えるなんて器がちいさいぞ、ボク。

まあそれで、行ってみたら案の定告白されたというわけだ。なかなか言い出せなくて「えっと」を繰り返す清水をみてたら、岡崎もつられてあがっちゃって、

「ずっと好きでした!付き合ってください!」

と単刀直入に言われた時には、頭が真っ白になって

「・・は、はい。」(噛んだ)

としか言えなかったんだって。シュミレーションではカッコよく「ボクでよければ。」って言う予定だったのに、って言ってた。

ざまあみろ。

あ!ダメダメ。・・・でもちょっとならイイか。


「ちぇっ。」

「何をブツクサ言っておる。明日からは得意の水泳なのであろう。」

アリンコが姿を現した。

「そうなんだけどさ。暑いし、なんかもうどーでもいいっていうか。」

「何を言っておる。婦女子に良いトコロを見せるチャンスではないか。あの程度の気持ちであれば、たいした心のキズではないわ。かすり傷ていどだの。」

「ちょっ!?心のキズってなんだよ!」

「よいよい。婦女子は沢山おるのだ。気にするでない。」

「なんだよって!それ!失恋なんかしてないから。」

ヨイヨイと繰り返すアリンコに腹が立って、肩から振り解いてやった。幽霊だから振り解くもなにもないけどね。

はぁ〜〜、まったく腹が立つ。

アリンコにムカついたせいで、自転車をかっ飛ばして帰ってきたもんだから、すっかり汗だくだ。

クーラーのスイッチを入れてから、冷えたジュースを持ってお風呂に入った。我が家では、お風呂場での飲食は御法度だ。ママにバレないようにしなくっちゃ。

ぼーっとしながら、やっぱりモテるのは運動神経がいいヤツだよな〜。恵太も榮中祭の後は、しばらく1年の女子に「恵太せんぱぁ〜い。」とか言われてたし。あーあ。なんか全部が面倒くさいなぁ。

今日は、昨日の豚汁の残りに冷凍うどんを入れた豚汁うどんの日だ。でもなんだか甘いものが食べたい。もうお風呂入っちゃったし、暑くて外にでるのも面倒くさい。

クサクサするから、何か甘いものでも作ってみようかな。玉子焼とかどーだろう。ママも喜ぶだろうし。

そう思うと居ても立ってもいられなくなって、まだジュースは半分しか飲んでないけど、お風呂から出ることにした。


家庭科で目玉焼きは焼いたけど、玉子焼は初めてだ。

1人卵1個だと少ない気がして、3個にした。

砂糖はどれくらい入れればいいんだろう。カレースプーンを片手に考えていると、アリンコの声がした。

「1人1杯いれても足りないくらいであろう。」

見るとまた肩に乗っている。

「えー?1人1杯って多くない?」

「そんなことはないぞ。試してみればよかろう。」

じゃあ試してみるか、とカレースプーン2杯の砂糖を入れて味見をした。

「甘っっ!やばいレベルで激甘じゃん!」

ジローッとアリンコを睨むと、よこせ、よこせ、と欲しがる。うるさいので、指につけて舐めさせてみたら

「ふぅむ、我らには甘さが足りぬな。」

とのたまった。

本当にもう、病気になるレベルで甘すぎだよ〜〜

結局、卵をもう1個足すことにした。

・・どうしよう。卵足しても甘い。

そうだ!塩を入れてみたら打ち消されるんじゃないの?

ほんのちょっとだけ塩を入れてみる。

ええー!?なんでー??

塩を入れたのに、余計甘くなった気がする。

もっと塩を入れたほうがいいってこと?それとも、もっと入れたら、もっと甘くなっちゃう?

慌ててネットで調べると「対比効果」っていって、2種類の違う味を味わうときに、強いほうの味を、弱いほうが引き立てちゃうからなんだって。スイカに塩と一緒らしい。そういえば、もっと甘くなるかと思って塩をたくさん振ったら、スイカがしょっぱくなっちゃったっけ。てことは、もっと塩を入れたらしょっぱい玉子焼になっちゃうってこと!?

がーーん!

と、とりあえずもう1個卵を足そう。

あぁぁ・・もう卵が無くなっちゃった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ