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プール掃除でゲット!

「で、パンツを保健室で借りたわけね。」

ママは着替えながらケラケラと笑っている。

帰ってきたママに全てを包み隠さず伝えると、体育着に緑色の輪ジミができちゃって絶賛反省中のボクの頭をくしゃくしゃとしながら

「ほーんと、パパに似て鈍臭いわね。」

と言った。

「それで?今回は何か持って帰ってきたの?」

小学校のプール掃除では、金魚を持って帰った。というか、持って帰らされた。

パパとママからは、ヤゴは持って帰らないように言われてたけど、まさかの金魚だった。今どきはプールに金魚を放すんだね、と言って慌ててホームセンターで初心者飼育セットを買ってきた。5匹のうち3匹はまだ生きている。

「プールに金魚を放すことはないんだって。だから今回は金魚いなかったよ。ヤゴがいっぱいいてビックリした。」

「でしょうね。ママあのあとカコちゃんママに会ったんだけど、豊田先生が子どもが喜ぶと思って3匹だけ入れたんだって、って言ってたもん。ヤゴだって、みんな金魚が食べちゃったのよ。」

「え!あれトヨッチーがやったの!?」

言ってなかったっけ?と言って、またケラケラ笑っている。

当時の学年主任だった先生だ。確かに、他の先生(特に女の先生)に怒られてばっかりで、誰が学年主任かわからないくらいだった。お調子者でテキトーなオジサンで、生徒からも「トヨッチーならしょうがないよね」って言われるくらいだった。でも不思議と嫌われてはいなかったんだよな。

「なんだぁ。ボクは金魚しかいないのが普通なんだと思ってたから、プール掃除がめっちゃ嫌だったんだよ。ヤゴなんてほとんどいないと思ってたし。」

「そーね。それで今回は?ヤゴだったら肉食だから、生き餌を自分でマメに買ってきなさいよ。アカムシもイトミミズも可愛いけどすぐ死んじゃうから、買い置きができないのよ。自分で飼ったら最後まで責任持たないとね。とりあえず、ママはお風呂入っちゃうわね〜。」

「あ!ママ、あの・・・。」

最後まで伝えるまもなく、ママは脱衣所に入ってドアを閉めた。

「ママ、あのね、持って帰ってきたのは・・。」

フンフンフ〜ン、ママの鼻歌が聞こえる。

バタッ

「ギャ!?ちょっとーっ!何よコレ!!」

ボクが持って帰ってきたのはアメンボなんだ。


ママは裸のまま慌てて出てきて、洗面器になんか虫がいる!!と言って騒いでいたけど、ボクが謝るとすっかり呆けてしまった。

そりゃ、お風呂場の扉をを開けたら洗面器にアメンボがいて、ザルまで被せてあったらビックリするよね。

「本当は、お風呂に入る前に言わなきゃいけなかった。ごめんなさい。」

「りーくー・・・。」

はぁぁ〜と盛大に溜息をついた後、

「ま、いっか。こんなこともあるよね。」

罰として洗い物はりくがするのよ、といってママはお風呂場から洗面器を出してくると、今度こそお風呂に入りにいった。


コケて色々吹っ切れたボクは、ハルキと一緒にせっせと救出活動を行った。ヤゴはもちろん、藻を食べる草食のコミズムシも見つけた。背泳ぎするマツモムシを見つけた時は、刺すから気をつけろと誰かが言っていた。

今回はいなかったけど、オタマジャクシとかミズカマキリなんかがいることもあるらしい。ミズカマキリって、なんかカッコ良さそう。見てみたかったなぁ。

アメンボを何匹か救出した時、アリンコが現れた。

「あのアメンボの子、かなり怖がっておるな。」

突然耳元で声がして驚いた。

「なんでいま出てきたんだよ。喋ってたら変に思われるじゃん。」

ヒソヒソと文句を言うボクにはお構いなしに、アリンコは続ける。

「大人は飛んで逃げようが、子ではそうもいくまいて。経験が乏しいのでな。」

ええー?そう言われてもよくわかんないし。

「オマエ、あの子を連れ帰ってやれ。よく遊んでいる河辺に逃がしてやればよかろうもん。」

「なに「よかろうもん」とか言っちゃってんの。学校の帰りなんかに行けないよ。」

「しばらく面倒みればよろし。」

「いやいやアメンボでしょ。飼い方なんてわかんないって!」

「ん?なんか言った?」

ヤバッ! ハルキが反応しちゃった。

「ううん、アメンボの飼い方ってわかんないなー、と思って。」

エヘヘと笑うボクに

「あ!オレわかるから教えてやんよ。前、飼ってたことあるんだ。」

ああぁぁぁ・・・ハルキって本当にいいヤツだ・・・


というわけで、いやいやながら、アメンボをペットボトルに入れて持って帰ってきたんだ。

ペットボトルに入れっぱなしだと可哀想だといってアリンコが騒ぐから、じゃあどーしろっていうんだよ、タライを用意しろ、タライなんかあるか!という押し問答の末、洗面器に落ち着いた。


「さて、ご飯にしようか。」

今日は麻婆豆腐の日だ。我が家では麻婆豆腐は角美屋と決まっている。

「ちょっと待って。」ボクはそういうと、作っておいたもやしの中華サラダを冷蔵庫から出した。

「サラダ作ったから、今日はカットキャベツじゃなくてコレ食べようよ。」

「えぇ〜!りく大好き〜。」

ママに抱きしめられた。ボクは子どもじゃないんですけど。

カットキャベツ以外のサラダを何か作ってママを驚かせようと思って、内緒でパパに相談してみた。今週は中華の週だから、ボクにも作れる中華っぽいサラダを教えて、って言って教えてもらったのが、もやしの中華サラダだった。

「きゅうりを斜めに薄くスライスしてから、それを何枚か重ねて切るんだ。」

「冷やし中華にのってるみたいに?」

「あんな風に切るのはまだ難しいし、今日のサラダだったら、もっと幅が厚くなっていい。ただ、切ったきゅうりには、皮の部分が残るようにしておかないと、混ぜたときに崩れちゃうから気をつけるんだよ。次に、ハムを同じように切る。ハムがなかったら、ウインナーでもいいよ。ウインナーだったら斜めに薄切りだな。ウインナーを使う時は、袋の裏に「このまま食べられる」ってことが書いてあるやつだけ使わなきゃダメだよ。まぁ、ウチでは火を通さなくても食べられるのしか買わないから平気なはずだけど、ママが違うの買ってるかもわからんから。」

「大丈夫!たしかお徳用ハムがあった。」

「よし!あとはもやしをレンチンして出てくる水分を捨てたら、熱いうちにきゅうりと、ハムと、めんつゆと、すし酢で混ぜればいい。冷めたらごま油を足してまたまぜて、冷蔵庫で最低30分おけばできあがりだ。」

「ドレッシングは買わないの?」

「ドレッシングに使うのは、砂糖、塩、酢、油だろ。油以外は、全部すし酢に入ってるから、これで十分なんだよ。」

へぇ〜。すし酢やるじゃん!

ママは酢飯が好きだから、ウチではすし酢を常備している。ママが1人の時は、おかずを作るのが面倒臭いと言ってご飯にすし酢をかけて、それだけで食べている。

「サラダを簡単に食べるんだったら、洗ってちぎったレタスにすし酢とオリーブオイルをかければいい。本格的な中華ドレッシングを作りたければ、ごま油と胡麻を足せばいいし、ニンニクとか生姜を入れて、好きな油でオリジナルドレッシングも作れるぞ。」

「ありがとう、パパ!」


麻婆豆腐は安定の美味しさだし、ボクが作ったサラダはすごく美味しかった!次はもやしを少し減らして、茹でた春雨を足したら春雨サラダができそうだ。

部屋に入るとアリンコを呼んだ。

「アリンコー。土曜まで川に行けないから、アメンボにそのこと伝えてくれない?」

「自分で伝えればよかろう。今夜をお楽しみにー。」

「え!?アメンボにならなくてもいいんですけど?ねえ!ねえ!ちょっとー!」

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