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サバンナ定食からご馳走へ

お風呂から出たママは、ワイン飲んじゃおっかな〜と至極ご機嫌だ。

何かあったのかなぁ?

「ママご機嫌だね。」

「うふふ〜。こないだ話してから、ずーっと食べたかったもの買ってきたのよ〜。」

ちょっと待ってて、と言ってサラダを出してきた。いつものカットキャベツじゃなくて、カットレタスのやつだ。パパだったら、きゅうりとかミニトマトを足したりするけど、ママは何も足さないから、これだと野菜の量が少ないと言って、普段はカットキャベツしか買ってこない。

次は500mlのパックに入ったコーンスープ。

切ったフランスパンもある。

「どうしたの!?すごいじゃん!」

そう言うと、ママはまたうふふ〜と言った。

さっきから、バターとニンニクのいい匂いがする。

「ふわぁ〜。美味しい匂いがする!」

「でっしょー。うふふ。」

と言うと、ちょうどピピピッと電子音が鳴った。

オーブンを開ける音がした途端、リビング兼ダイニング中に美味しい匂いが充満した。

「ジャジャーン!」

ママがオーブンから出してきたのは大量のカタツムリだった。

ええぇぇー!?こないだ話してたのって、カタツムリの寄生虫のことじゃん!それからずっとカタツムリが食べたかったってこと!?

すごいご馳走を楽しみにしてたのに、気持ちが一気に萎んでしまった。

「ほらほら、冷めちゃうわよー。」

ママはニコニコしている。

いやいや、これカタツムリじゃん! 

「これカタツムリでしょ。カタツムリには寄生虫がいることがあるって言ってたじゃん。」

ママはキョトンとしたかと思うと大笑いした。

「これはエスカルゴっていうの。食用として養殖されているカタツムリなのよ。だから寄生虫の心配はしなくてもいいの。そもそもしっかり火を通してるしね。カタツムリは陸生の貝だから、すごく美味しいのよ。」

なるほど。そーいうことか。

それでも、何だか、やっぱり、コワイ。

グンニャリしたものを想像してたけど、爪楊枝で殻からだしたブツは意外と固い感触だ。

怖くて二の足を踏んでいたけど、ほらほらと促されて、おっかなびっくり食べてみる。

「うまっ!何これ!すごく美味しい。」

「でしょー!電話するの忘れちゃったから、ご飯炊く用意させちゃって申し訳ないと思ってたんだけど、まだ用意してなくて良かった。今日は、ね。」

ママがニヤリとした。動画みてて何もしてなかったのは、すっかりお見通しだったってわけか。

それにしても、カタツムリって美味しいんだな。でもボクは「エスカルゴ」しか食べないけどね!


今日はご馳走だった。サバンナ定食より手がかかってないかもしれないけど、すごくオシャレな晩ごはんだった。料理って見た目でずいぶん変わるもんなんだな。

今日は特別ってことで、ママはワイン、ボクは牛乳で乾杯した。なんか大人になった気分だ。

食べている途中で気分が良くなったママは、パパとテレビ電話を始めた。パパはこれからご飯の用意をするらしかった(ペペロンチーノだって!)けど、ボク達の食事を見て驚いていた。ママは、ワタシがその気になればこんなもんよ!と自慢げだ。ホントか?と思ったけど、黙っておいた。


食べ終わっても、ママはまだワインを飲みながらパパと話している。ボクは宿題があるからと言って、パパにおやすみなさいをして自分の部屋へ行った。

いま授業でやっているのは、自分でデザインしたものを彫刻刀で彫った板に、時計のパーツをくっつける木彫り時計だ。ボクはデザインが決まらなくて、みんなよりかなり遅れたもんだから、少しでも家で進めておくように真也先生から仰せつかった。つまり、ボクともう1人にしか出されていない宿題だ。とほほ。

ガリガリ木を彫っていくと、バキッという音とともに、肝心な部分が割れた!チョ〜ショッキング!!


はぁ〜と溜息をつきながら、木工用ボンドで貼り付ける。これで何度目だろう。完全にくっつくまで修繕箇所の周りは彫れないけど、離れたとこならイケるだろう。てか、そうしないと終わらない。

傾けるとせっかく貼った部分が動いちゃうから、少し乾くまで待つか。

待ってる間にマンガでも読むことにする。

だけど、読んでいるうちに、なぜかボーッとしてきた。

なんだろう。おかしいな・・。

目をショボショボさせていると、周りが少し暗くなった気がした。

・・バカめ。超能力であるわけがなかろう・・

ふぇ〜?なんでそんなこと言うの〜?

だって予知できるんだよ〜?超能力以外にないでしょ〜

ふにゃふにゃ言っているボクに容赦ない。

・・フッ。ほんとにバカなヤツ・・

ギチギチッという音がしたと思ったら

ドォーンッ!!

目の前にあるのはアリのドアップだった。

うわぁーっっ!?

驚いて飛び起きたけど、いつものボクの部屋にあるのは、ひどい有様になった板と木工用ボンドだけだった。

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