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寄生虫コワイ

ナメクジは、ボクのウソに騙されて一所懸命逃げている。動きが遅すぎて、そうは見えないのが残念!

まだ暗くて鳥なんて飛んでない。だけど、ボクのことを信じて焦っていると思うと、なんだか申し訳ない。

「もう鳥は行っちゃったみたいだよ。」

そう言うとナメクジは安心したように

「良かったー。もう大丈夫だよー。オロロン」

と言ってニッコリした。

なんだか憎めないなぁ。つられてニッコリした。

・・・あ!ナメクジには寄生虫がいるんだった!

夢とはいえ、コイツにも寄生虫がいるかもしれないと思うと、接触するのはコワイ。

目が覚めたら寄生虫がいた、なんてことはありえないけど、それでもボクは怖いんだ。

素早く離れられないけど、頑張って身体を離してみようとのけぞってみる。

うーん・・グィーンと戻っちゃう。もう一回やり直し。

うーん・・またグィーンと戻っちゃった。

「ナニやってるのー?楽しそー。」

グィーン オローン グィーン オローン

ボクは離れたくてやってるだけなのに、ナメクジは遊んでいると勘違いして同じことを始めてしまった。

それにしても、オロンオロン言って、なんだかめちゃくちゃ楽しそうだ。見ているうちにボクもやりたくなってきちゃった。

グィーン あははは グィーン あははは

グィーン オローン グィーン オローン

楽しー!これめっちゃ楽しー!

・・はっ!違う違う、遊んでる場合じゃない。寄生虫だ!!

寄生虫コワイ。頭の中にムシがウゾウゾなんて耐えられない。だけど、このナメクジと離れるのは難しい。とりあえず、このナメクジに寄生虫がいなければ、問題ないんだけどな。寄生虫がいるかどうかって、自分でもわかるのかな?

「キミには寄生虫いる?」

ナメクジはオロー?と言って首を傾げる。

「寄生虫ってなにー?」

「キミに取りついて生きる生き物。」

「取りつくー?」

こりゃダメだ。そりゃあ、わかんないよな〜。

「よくわかんないけどー、カタツムリに取りつくヤツのことー?アレはカタツムリにしか取りつかないよー。」

ん?カタツムリにしか取りつかないって言った?

ママが言ってた広東住血線虫は、カタツムリやナメクジとかを成長途中の宿主にするって言ってたぞ?

ナメクジは勘違いしてるんだろうな。

「近くにいるよー。ついてきてー。オロロン」

何言ってるんだろう?

とりあえず、ついていくことにした。

でも、こんなにゆっくりなのに意味あるのかな〜?


ナメクジはしばらく進んで止まった。

「ほらあそこー。」

言われたところを見ると、すごく奇妙な生き物がいる。

なに・・コレ・・?

普通のカタツムリじゃない。何かの幼虫のような緑色のぶっとい目が突き出ている。動きも変だ。

「時々会ってたけど、前はこんな匂いしなかったー。最初は、動きにくそうにしてただけだったのに、だんだん話しもできなくなったー。オロロン」

ナメクジは下を向いて淋しそうに言った。

え・・ってあれ?言葉通じるの?

「カタツムリと話しできるの?」

「同じ貝の仲間だからねー。最後に話しをした時は、自分の思うように身体を動かせなくなってるって言ってたー。オロロン・・」

なんだろう。あれって寄生虫なの?病気じゃなくて?

でもよく見ると、ぶっとい目が意志を持っているように見える。寄生虫ってマジ怖すぎる。

「アレ以外はわかんないー。オロー」

ナメクジはショボンとしながらそう言った。

そうか。念の為あんまり近づかないでおこう。

なんだかちょっと淋しい気がするけど仕方ない。

ナメクジを傷つけないように、

「敵に見つからないように、少し離れようか。」

と言った。ナメクジは確かにと言って、ちょっと(本当にちょっとだけ)離れて進む。途中、美味しそうな葉っぱがあれば2匹でジョリジョリ食べた。


ナメクジが、もうすぐ明るくなるから隠れ家に行かないとって言うから、一緒に行くことにした。

「ん〜。なんだかいい匂いがする〜。オロロ〜ン」

「本当だ!確かに何か匂うね。」

・・この匂い嗅いだことがあるぞ。あんまり好きな匂いじゃないけど、しょっちゅう嗅いでいる。

「早く行こうー。オロローン」

ナメクジの進みが早くなる。反対に、ボクは気が進まない。何でだろう?ナメクジとしてのボクにとっては、美味しい匂いではあるんだけど、不思議とあまり好きじゃないんだよな〜。

「あー!見つけたー!!オロ〜ン」

ナメクジの進みが一層早くなる。しかも嬉しそうに揺れ始めた。

どれどれ?

ナメクジの後ろから覗くようにして見ると、光っているモノが見えた。

コレって金属だよね?筒っぽいし、ナメクジの大きさから考えるに空き缶かな?

他の生き物だったら滑ってしまうだろうけれど、ナメクジとってはお茶の子さいさいだ。

あとこの匂い。ナメクジは鼻息が荒くなってる風ではあるけど、待てよ?なんでこんな葉っぱの影に空き缶?

・・・・・

・・・!?

ああーっっ!!


またしても突然思い出した。

これ、缶ビールじゃん!!

えーっ!?なんでココに?


慌てて登山中(登缶中?)のナメクジに声をかける。

「泳げるの!?ねえ!泳げるの!?」

グリンとコッチを振り返って

「泳げなーいー。」

と言った。

ヤバイヤバイヤバイ

「コレ溺れるから!ヤバイヤツだから!!!」

必死に止めるけど

「だーいじょーぶー。オロローン」

と言って登っていく。

「何がオロロンだよ!!マジで死んじゃうんだよ!!」

登っても登っても、ボクのスピードだからもちろん追いつきっこない。

もうダメだ。アイツ死ぬんだ。

その時!急いだせいか、叫ぶためにグネグネしたせいか、ポロリと滑落してしまった。

「トーリーがー来ーたーーーっっ!!」

落ちながら絶叫した。


「りく。ほら起きて!起きなさい!」

はっ!として目が覚めた。目の前にママの顔がある。

「やっと起きたわね。どうしたの?オロローンとか言いながら泣いてたわよ。」

はあ〜。やっと夢から覚めらことができた。何だかぐったりと疲れている。

「ナメクジになっちゃう夢を見たんだ。」

「先週はアリで、今週はナメクジなの?」

ママは、そう言ってクククッと笑った。

もう起きるでしょ、と言って今日も甘いカフェオレを作ってくれた。

「それで、なんでオロロンとか言ってたの?」

自分用のブラックコーヒーを飲みながら、ママが訊いてくる。

「あのね・・・」

話そうとして、突然缶ビールのことを思い出した。

「庭に缶ビール置いたりしないよね?」

「あら!よく知ってるわね。昨夜置いたわよ。」

「え!?なんで?中身は?」

「昨日、ナメクジを放り投げたって言ってたでしょう。ナメクジはビールに寄ってくるから、もったいないけど少し残して、外に置いといたの。」

!ママが350ml缶を飲んでたのは、ナメクジ退治するためだったんだ!

「どこ!?どこ!?どこに置いたの!!」

ボクは慌ててサンダルを引っ掛けると、ママと一緒に庭に出た。

「ほら、これよ。」

ひったくるようにして缶を奪う。ぷーんとアルコールの匂いがした。

横から覗き込んだママは、

「残念!入ってないわ。登った跡はあるのに。」

と言い、缶には確かに、ナメクジの這った後が2筋残っていた。


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