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なかなか逢えない2匹

「なかなか相手に逢えないー。逢えて嬉しー。」

ナメクジはご機嫌だ。身体を左右に大きく振っている。

「卵ー。卵、産もー。オロロン」

「は?」

何を言っているんだろう?意味がわからない。聞き間違いかなぁ。

「卵?卵って言ったの?産もうってナニ?」

オロー?と言って首を傾げた。

「ワタシ達は、他の生き物みたいにオスとメスに分かれてないのー。いつ相手に逢えるかわからないから、オスとメスに分かれてたら卵が産めないのー。せっかく逢えたから、ワタシ達2匹とも卵産むのー。」

なるほど!雌雄同体ってことだな。プラナリアの授業でやったぞ。

知ってることが出てくるとウキウキする。

でも待てよ?ボクたちで卵産むの?ボクも産むの?

ムリムリムリムリムリ!ぜーーったいムリ!!

「卵ー。た、ま、ごー。オロローン」

ズリズリッズーッ ズリズリッズーッ

ヤバ!どんどん近づいてくる。

ズチャッズチャッ

必死に逃げるけど、歩き慣れないせいかナメクジだからか、まったくと言っていいほど進まない。

うまい言い訳、うまい言い訳。

頭をフル回転して考える。

「ボ、ボクは卵持ってないんだ。」

「なんでー。持ってるでしょー。絶対あるよー。」

ナメクジはグイングインと頭を振っている。

「ボ、ボ、ボクはオスだから。」

ナメクジはブンブンと首を横に振った。

「ナメクジはオスとメスに分かれてないよー。仲間にはなかなか逢えないんだから、ワタシ達は卵を産んだほうがいいよー。絶対その方がいいよー。オロロン」

「本当、本当だよ!ボクは卵を持ってないんだ。」

そう言うと、ナメクジはピタッと歩みを止めた。

「うそー。ワタシのこと嫌いなんだー。卵産みたかったのにー。オロローン!オロローン!」

ナメクジはワアワアと泣き出した。

仕方ないとはいえ、可哀想になってしまった。

そうだよなぁ。こんなに動きが遅くちゃ仲間に逢えるチャンスなんて滅多にないよな。

こっちまでジワっと涙ぐんでしまったけど、ナメクジは

おもむろに泣き止んで

「仕方ないー。今度1匹で産むー。」

と言った。

1匹で産めるんかーい!泣いて損したわ!


明るくなる前に食べなくちゃー、というナメクジに促されて、2匹で並んで歩き?ながら餌を食べる。ジョリジョリジョリジョリうるさいけど、隣にいて食べやすい葉っぱを選んで教えてくれて、とてもありがたい。

「なんで明るくなる前に食べなくちゃいけないの?」

「ジョリジョリ・・日に当たると身体が乾いちゃうし、鳥に見つかったらたべられちゃうんだー。だから明るい昼間は危険なんだよー・・ジョリジョリ」

「ふーん。カタツムリは平気なのに、ナメクジって不便だね。」

「オロ!?オロロロロ!」

あれ?なんか・・怒ってる?

「なんでみんなカタツムリばっかりー!」

ナメクジがグイングイン身体を振るので、ぶつかりそうになる。こっちは避けるのに必死だ。

「ワタシ達は進化して殻がなくなったの!だから、狭いところにだって入れちゃうんだからー!殻があるとすごく不便なんだからー!オロロロロ」

「落ち着け、落ち着けってぇ」

ナメクジは怒りが止まらない様子だ。確かに、カタツムリは歌になったり可愛いって言われたり、飼われたりするけど、ナメクジのは塩かけられたりしている。雲泥の差だ。

おまけに、おまけに、とナメクジは続ける。

「殻を作るためにはカルシウムが必要だから、コンクリートとか食べるんだよー!コンクリートなんて美味しくないんだからねー!オロロロロ」

なるほど。そーいえば、よく通学路でカタツムリを見つけたな〜。ブロック塀にくっついてたりしてさ。あれって、カルシウム補給してたのか。

ナメクジは、まだ鼻息荒く(鼻があるかどうかわかんないけど)ふんふん言っている。なんとかしなければ。

「あ!鳥だ!(ウソだけど)」

「え!?どこ?どこ?早く逃げよう!」

考えが逃げることにシフトチェンジした。

ウソに決まってるじゃん。良かった〜 単純で。


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