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過去編:堺翔吾1話「悪夢と復習」

ここでは「僕はマドンナに恋をする」のエピソード5までの中で出てきたキャラクターの紹介をします。

それぞれの目線で書かれる物語をお楽しみ下さい。

 僕は境翔吾(さかいしょうご)。中学3年生だ。


 東北トップの中学校に入学する(自分で言うのも何だけど)エリートだ!

 そんな僕は、エリートらしい生活を送っている──訳では無かった。

 その容姿は別にカッコよくもないし、可愛い訳でもない。更に、テストの点は校内で中の下。

 そして、付けられているあだ名は「変態しょうちゃん」。最悪だ。


 僕はいつも通りカラカラと教室に入る。

 すると、幼馴染の軽井正(かるいただし)に話しかけられる。


「よっ、変態君!!」

「やめろよ、そういうの!!」

「あははっ、冗談だって!!」


 何故僕が「変態しょうちゃん」と呼ばれるのか。


 思い出したくもないので、簡単に纏めると。

 僕と好きな人が隣同士になって、僕が告白して、振られた。

 憎き花本太郎(はなもとたろう)から、僕の好きな人が僕の事好きらしいというのを聞かされ、告白した結末がこれだ。その後、太郎のヤツから「変態しょうちゃん」というあだ名をつけられて、今に至る。


「よっ、変態君じゃねぇか!!」


 コイツが憎き太郎。

 太った角刈りは、ドラ〇もんに出てくるジャイ〇ンを連想させる。性格も、映画以外のジャイ〇ンそのままだ。


 そんな太郎がニヤニヤしながら近付いて来る。


「そ・う・い・え・ばぁ〜、この前奢った250円、返して貰ってねぇなぁ!!」


 コイツ、馬鹿なの?

 もう1回「奢る」の意味調べた方が良いって。確か、「自分の金で人にご馳走する」とかいう意味で、後から請求する事がおかしい意味だった筈。


 イラッとしたので、太郎と論議してやろうじゃないか。


「は?『奢る』っていう言葉の意味調べた方がいいんじゃない?奢るっていうのは──」


 しかし、太郎の顔が真っ赤になったのに気づいた時にはもう遅かった。


「──黙れぇえ──ッ!!」


 太郎の拳が、僕の顔面にのめり込む。比喩じゃなくて、そのまま文字通り。

 太郎は空手とボクシングを習っている。そんな男のパンチが弱い訳がない。


 実際、この後正に連れられて保健室に行って診てもらったら、鼻の骨が折れていた。


─────


 保健室のベッドで寝転びながら、太郎をどうしてやろうか考える。


 太郎にはいつも、取り巻きの男子たちがいる。その全員が空手やボクシングを習っている、太郎の格闘仲間なのだ。そのグループのリーダーである太郎に歯向かうのは愚の骨頂としか言いようがない。


 しかし、僕の中学校生活を滅茶苦茶にしたアイツには苦しみを与えてやらないと気が済まない。


 ……よし、決めた。

 実はこの僕は、この学校の「リア充撲滅委員会」の委員長を務めていた。

 翔吾は知っていた。太郎()に彼女がいる事を。


 …


 ……


 ………


 太郎は、よく取り巻きの男子たちとする、定型とまで言えるくらい定着しているやり取りがある。


「いやぁ太郎さん、今日も格好良いッス!!いやぁ、あの詩織さんから格好良いって言われるのが羨ましいッスわ!!」

「いやぁ、そうだろう?ちょっとねぇ、昨日もデートしちゃったんだよ、ガハハッ!!」

「「「ヒューヒュー、格好良いッス!!」」」


 ここまで息を揃えられる手下たちは凄い──じゃなくて、もう確定と言っていい台詞を幾つか発しているのだ。

 これは太郎に彼女がいる決定的な証拠で、この事は同じ"リア充撲滅委員会"である正も知っている。


 そして今日、これを"リア充撲滅委員会"で委員長による声明として公表する。

 これで太郎は死んだも同然!!

 何故なら、"リア充撲滅委員会"の総数は、全校の男子3分の2なのだから!!


 ◇


 僕は放課後、"リア充撲滅委員会"の「幹部会議」を行った。そして、集まった幹部たちに、太郎についての報告を行う。


「諸君。今日集まって貰ったのは、『花本太郎リア充疑惑』について話し合う為だ」


 僕が偉そうに発言すると、幹部勢が騒ぎ出した。


「ボキュのような美しい男が、あのようなゴリラの様な男に遅れを取るなど、あってはならない!!」


 "リア充撲滅委員会"幹部、菅野正樹(かんのまさき)

 日本を代表する様な「ヲタク」という雰囲気を醸し出す細身のおかっぱ男だ。


「あぁ、この天より賜りし僕の美しさに気づかない、あの悪魔たちを統率せし男の、高貴なる麗しき彼女なるお方は、青春の、いや人生の大半を損しているゾ──ッ!!」


 こいつは同じく幹部の立野桃希(たてのももき)

 「厨二病もどき」というあだ名を付けられている、右目を髪で隠した厨二病もどきだ。


「デュフフッ、その太郎の彼女、僕ちんにくれないかな?デュフッ、デュフフッ!!」


 こいつはモリモリこと、盛本多部増(もりもとたべぞう)

 体重120kgの巨体を持つ、丸刈りの巨漢だ。


 翔吾は今1度実感する。

 あぁ、ここには変なヤツにかいないんだったと。

「静粛に!!...…では諸君、あの太郎(ゴミ)を懲らしめる計画を話し合おうではないか!!」


翔吾の一声は鶴の一声となり、次なる脅威を呼ぶ。

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