千と一つの夜 万に一つの朝
流れ落ちる砂の音
降り積もっていく砂の音
時が積み重ねられてく
さらさら消え入りそうな音色で
月の光に誘われて
妖しく 美しく踊る音色たち
飲み込んでいく黒玉の音
何者でもない白玉の音
灯り冷えて
共に消えて
静寂に沈んだ深閑の煌めき
億の光の小さな一に
自らを摸して歓び消える
それもまた形なんだと思えたのなら幸せで
手の届かない朝の光
遠のいていく明日の光
時は零れ落ちていく
はらはらと舞い踊りそうな音色で
揺れる明かりに灯されて
悲しく 儚く踊る音色たち
ただ一瞬の黄玉の音
泣き出しそうな蒼玉の音
輝きたくて
掻き抱きたくて
縁に縋った彼者誰の空
京の彼方に沈んだ一に
自らを移せず哀しみ消える
それも物語なんだと思えたのなら幸せで
逃れられない思考の闇
沈み込んでいく紫紺の闇
想い積み重ねられてく
けれど零れ落ちていく
理想と絶望に挟まれて
巡り惑わし踊る小人たち
滴り落ちてく紅玉の音
寄せて引いてく藍玉の音
咲いたくて
ただ逢いたくて
結を願った払暁の下
虚空の時すら彼方の一で
自らは俯いて伏して消える
これもまた生命なんだと思えないから不幸せで
人を望んだ東雲の刻
涅槃は遥か彼方の先で
自らを映さず託すと言える
なぜだろう
それもまた生命なんだと思えるから幸せで
わたしの誰そ彼は
あなたの彼そ誰
想いは結ぶ
縁は繋がる
静寂は覚る
花は咲くと
追記。補足説明
黒玉 ジェット
白玉 パール
黄玉 トパーズ
蒼玉 サファイア
紅玉 ルビー
藍玉 アクアマリン