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最後の聖女  作者: 樋口 真生
第一章 その聖女、力技で巡礼を終える者なり
5/11

まだ上がる

大聖堂に戻ってくると神官長がいきなり頭を下げてきた。


「すまない。今の教会側の勢力は弱まっており、聖女の重要性を王家の方に上手く伝えられていないのだ。貴女の神聖力とその手にある印は間違いなく聖女のもの。教会側の人間は誰一人疑う者はいません。それに王都内であったとしてももっと騎士をつけなければならない立場なのに、護衛はそんなに必要ないと言われ先程も2人しかつける許可を貰えなかった。王城に来るならば安全だから尚更必要ないと。王政側の人間は何も分かっていない!」


わかったわかった。落ち着いて。なんか私の代わりに怒ってくれてありがとう。


「確か先代の聖女がいたのは200年前なんですよね?そこから現在まで平和な時代が続いたんですから、危機感などは薄れてしまうんではないでしょうか。」


「それでも王家は書物で聖女がいかに重要か学ぶはずなのです。」


「そのことなのですが、前に神官長は聖女は魔物が活発になったり作物が不作になると現れ、その解決を願いながら各地を巡礼すると言いましたよね?」


「………はい。」


「でも、それだけじゃないんじゃないですか?

正直そこまで必死になるのはおかしいと思ってしまって。この国はまだ辛うじて平和と言っていい国です。


もっと重要な何かがあるのですか?何か危機が迫っているとか。」


神父様が王都に来る前に教えてくれた。もしかしたら戦地へ行くかもしれないと。魔物の弱体化や傷も癒すことができるから行くこともあるのかなーっとぼんやり考えていたが。その戦地はどこなのか、そもそもその争いの原因は何なのか。きっと神官長は知っているだろう。


「…そのことはこれから巡礼に出発するまでの2週間の内にはお伝えするつもりでした。


聖女様は勇者の物語を聞いたことはありますか?」


「はい、勇者とその仲間達が魔王を討ち取る話ですよね。あと、この国は聖女様が危機から救って下さった。という伝説も知っています。」


確か勇者の仲間の中には聖女もいたはずだ…。


…まさかと思うが


「魔王が生まれる。もしくは復活するかもしれないのです。」


そのまさかだった。ただの物語かと思っていた。勇者がメインの話になっているが、仲間の聖女様って200年前にいたっていうお方なのだろうか。


「でも、必ずしもそうなる訳ではないんですよね?」


「断言はできません。しかし先々代や先代の聖女様が現れて程なく魔王も現れたと言います。その前兆は色々な国に散らばって聖女様のように能力が高い、…特に魔物などに対して特化した力をもつ者達が現れ、魔物が凶暴化しだし、作物なども不作になったと聞いております。」


「ではもし魔王が現れた場合は倒しに行くと?」


「そうです。」


なるほど、だから神父様はあんなに心配していたのか。聖女やその他にも能力の高い…例えば勇者みたいな人達が魔王に立ち向かわなければならないらしい。でも魔王が現れるかもわからないし、とりあえず前向きに考えよう。


「わかりました。できる限り頑張ります。」


「突然の事で戸惑うことばかりだと思います。それに、いつかは命の危険に晒される事もあるかもしれません。ですが、何があってもいいように私達もサポートさせていただきます。」


「はい。よろしくお願いします。」


心強いね神官長。私を信じてサポートしてくれる彼等のためにもっと力を磨かなきゃね。


「では、明日からの予定について説明させていただきます。」


明日は私の持っている聖女の力の査定と神聖力の多さ。魔力の多さを測るらしい。基本神聖力が多いと魔力は少ないと言われている。反対もしかりだ。一応両方使えるけど、とりあえず余計なことは言わずにいよう。


そしてその次の日に本当は国王への謁見だったらしい。

前日にきちんと聖女であるか確認し、どんな力があるかも調べてから会いに行く予定だったが、早く連れてこいと言われたのだ。今日聖女か証明しろって言われた時は流石に抗議しようとしたがあっさり力を使い、あっさり聖女と認められたので拍子抜けしたそうだ。


そうね…。今思うと謁見が無事終わってよかったよね。


そういうことなんで明後日こそ私にゆっくり休んで貰おうと思ったらしいが、歴代聖女について学んだり、護身術の授業や魔力があった場合の魔法の授業、マナー講座などを前倒しして、巡礼に出発するのを早めろと王命がくだったらしい。


神官長はまたしても抗議してくれたみたいだけど、却下された。なんだか急いでるね。というか追い出したいのか?私はこんなに無害な人間なのに。

まぁ、いきなりどこの誰かもわからない人間が聖女として現れたら警戒するし、私が現れたことによって教会側の勢力拡大とかも恐れているのかな?政治のことはよく分からないけど、真面目に役目を果たしたいと思ってるだけなんだけどなぁ。


「歴代聖女について学ぶというのは聖女様のご意志で好きな時に本を読む程度でかまいません。ここの図書室に聖女に関する本があります。鍵を渡しておくので何時でも利用してください。


ちなみに他の授業で疲れてしまった時は本は読まずに休憩してもらっていいですよ。昔の聖女がどのようなことをしたのか書いてある本ばかりなのでそれほど重要なことではありません。


こちらの落ち度で過密なスケジュールになってしまったので休める時に休んでください。」


申し訳なさそうに鍵を渡してくる神官長。

歴代聖女の本は読んだ方がいい気がするけど。参考になることとかありそうだし。なんだか苦労人っぽい神官長が可哀想になってきた。


「じゃあ休憩しながら図書館で本を読もうと思うので大丈夫ですよ、そんな心配していただかなくても。」


「いえ、貴女が何でもすんなり受け入れてしまうので私だけでも心配させてください。


では最後に何か質問はありますか?」


何でもすんなり受け入れるよそりゃあ。現状特に不満は無いし。お偉いさんの言うことに今のところ逆らうつもりなんて無いよ。それに心の中ではこんなにガヤガヤ言ってるしね。


質問受け付けてくれるみたいだから何か聞いとこうかな。


「なるべく早く巡礼に行けとのことだけど、具体的にどのくらい準備期間を短縮しろとか言われてないんですか?そもそも当初2週間で予定されていたものがどのくらい縮まるものなのかなと。」


「全ての事を切り詰めますと、1週間と2日になります…。でも王家側が考えたこのスケジュールでいきますと聖女様の休日が1日しか取れないのです。ですので抗議したのですが、手配した講師も王家側の人間なのでこの日取りじゃなければ出来ないと言っているのです。」


何だって…。

もし休日があったらゆっくり王都を散策したいと思ってたけど1日しかないの?


…まぁ、世界の危機が迫ってるかもしれないししょうがないか。


「授業は1日中やる訳ではないんですよね?」


「はい、午前中だけの予定です。」


「なら休める時間もあるので大丈夫ですよ。」


午後空いてるなら割と何だって出来るじゃん。ちょこちょこ散策に行けるし、図書室にも行けそうだ。


「煮え切らないこともあると思いますがひとまずこのスケジュールになりそうです。


何かありましたらすぐに言ってください。」


「わかりました。」


「では今日はもうゆっくりとお過ごしください。夕飯ができたら部屋に運ぶように手配しておきます。」


ふぅー。やっと休める。


とりあえず明日の神聖力とかの測定、気合いをいれて乗り切ろう。



次の日、ばっちり早起きしばっちり朝ご飯を食べた私は神聖力を測る水晶玉の前に立っている。


これに神聖力を流すとおおよその多さがわかるらしいので神官長達が見守る中早速やっていく。


手をかざし、神聖力を流した。


すると、水晶にだんだんと光が満ちていく。光の粒が砂時計のように水晶の中へ降り積もっていくのだ。


半分以上積もったところで神官の1人が声をあげる


「…まだ上がるとは…!?」


え?これどこまでやればいいんですか?

そんな驚く?


もう水晶が光で埋め尽くされたところで一旦手を離した。

周りを見ると神官達は口をぽかんと開けている。


「…聖女様!体調に変化はございませんか?」


神官長が慌てて尋ねてくる。


「はい。大丈夫ですよ。」


「なんと…。」


もしかして多いのか?

聖女補正というやつか?女神様に聖女の印を授かってから自分の中の神聖力が大幅に増えたのは感じていたけど。


「数値的にはかなり多いですよこれは。神聖力は信仰心も大切ですが神からどれほど愛されているか、また本人のポテンシャルも大きく関わっていると聞きます。


王都に浄化の風を吹かせたと聞いた時は驚きましたが、これだけの神聖力があるのなら納得です。」


それだけの神聖力扱えるってことは力の使い方をもっと学び操れるようにならないと怖いな。鍛錬しなければ。


続いて神官長はまだ私の神聖力で光っている水晶に同じくらいの大きさの青い水晶を近ずけた。


すると、青い水晶に何種類かの紋様が現れた。


「この紋様は現時点で聖女様がどのような力を使えるか見ることが出来ます。

聖女様に浄化と治癒が使えるとお聞きしていた通り、その2つの紋様もありますね。ぐるぐるとした紋様が浄化、葉の形をしているのが治癒です。」


なるほど、他にも後2つあるぞ。


「このダイヤの形をしているのが光属性の魔法などが使えるという紋様です。光の魔法は魔とついていますが神聖力が多いと使えるようになると言われています。他にも光の精霊が神聖力を好むからだとも。

聖女様も心得があったのですね。」


「はい。神父様に教えてもらいました。」


「あぁ、ダン様か。納得ですね。」


なんだ。何が納得なんだ。

確かに神父様はめちゃくちゃ魔法使えたけど。

ちなみに私は光属性の魔法も使えるけど、それから派生して雷も使えるよ。


「この盾の紋様が結界や身体強化が出来るというものです。

いやはや、これも習得しているとは…。

神聖力に関しては教えることは無いと言ってもいいですね。」


そうなの?なんかもっと色々教えてくれてもいいんだよ?


「代々聖女様に1番必要とされている力は浄化なのです。

それを使える時点で教えることはほぼないですが、何か知りたければ遠慮なくお尋ねください。

ただ他の授業もありますので、聖女様の負担にならない程度とさせていただきます。」


「わかりました。」


巡礼の目的が魔物の沈静化とか不作になった土地を蘇らせるとかなら確かに浄化の力メインか。

聖女についての本を読んで疑問に思ったことは聞いてみよ。


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