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最後の聖女  作者: 樋口 真生
第一章 その聖女、力技で巡礼を終える者なり
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決着

先生と私は所定の位置につく。


いつものようにリラックスしてメイスを構える。


先生は上段に剣を構え、私を強く睨みつけていた。


騎士団長様が手を振り上げ、下げるのと同時に「始め!」という声が響いた。


ついに決闘が始まったのだ。





---------------------------



「やぁ、ジェイ始まったね。」


「あぁ隊長、嬢ちゃんならやってくれるさ。」


「だよね。僕一目で分かっちゃったもん。


彼女が物凄く強いって。」


あーぁ、隊長は何をそんな面白そうに決闘を眺めているんだか。

嬢ちゃん決闘終わった後に今度は隊長の相手させられんじゃないか心配だぜ。


やれやれと思いながら嬢ちゃんに視線を戻すと、丁度坊っちゃんが斬りかかっているところだった。


「ねぇ、ジェイ。メイスって鈍器だから甘く見られがちだけどさ。




硬いモノには滅法強いんだよね。」


隊長がクスクスと笑いながらそう言った瞬間。





大きな金属音と共に坊っちゃんの剣が折れ…いや、弾けるように砕け、その勢いのままに嬢ちゃんのメイスは坊っちゃんの腹を直撃。


そして坊っちゃんの鎧もメキメキとヒビが入り


最終的に腹のあたりの鎧にがっぽりと穴が空いた。

それはもう見事に弾け飛んだ。


坊っちゃんは強い衝撃を受けたもんだから、体がくの字に曲がったまま数メートル後ろまで吹っ飛んでいった。



……


………殺してないよな?




---------------------------




思ったよりもあっさりと決着ついてしまい驚いてしまう。

私の勝ちでいいのだろうか?


辺りはシーンとしている。

早く先生のお腹を治療しに行きたいのだが。


「ゴッ……ゴフッ!」


先生が血を吐き出しながら咳き込んだ声で我に返ったのか、騎士団長様が慌ててジャッチを下す。


「勝者、アンリ!」


結果を聞くのと同時に先生へ駆け寄り治癒を施す。

かなりの数の骨が折れている。内蔵も傷付いているだろう。

全力を出す前に先生が弾け飛んでいき正直驚きで、しかも武器を破壊してしまったのでもしかしたら私の負けになるんじゃないかと思ったけど、勝ててよかった。

先生ってメイスと戦うの初めてだったのかな?

あっさり勝てたけど。


丁寧に治癒していると。



「このっ化け物が!!!」


ミカエルとかいう王子様が叫びだした。


何やら私を指差して喚いている。


「こんなのはイカサマだ!」


イカサマが無いようめちゃくちゃ用意周到に契約書から何から準備したのはそちらでは?


まぁ強いと言われてる人が私に負けて驚くのは無理もないかもね。

まだガヤガヤとほざいているけど、王族に言い返すなど恐れ多いので黙っておく。


先生の治療が終わったので何やら考え込んでいた団長様に伝える。

というか息子がダウンしているのだからもう少し心配してあげてほしい。


「まだ気絶していますが時期目を覚ますでしょう。体の方は綺麗に完治していると思いますが、不安でしたら他の医者にも見せてあげて下さい。」


「あ、あぁ。ありがとう。


これだけ厳重に対魔法を施してやった決闘だ。イカサマも何もないことは認めよう。俺は自分の息子をもう一度叩き直さなければならないようだ。


ところで1つ聞きたいのだが、その人間離れした力はもしや人族以外の血が混じっているのか?もし立ち入られたくない話題だったり、不快になるようなら答えなくていい。」


「いえ、大丈夫ですよ。

私にはドワーフの血も流れています。なので人より力持ちですね。

メイスを教わった師匠にはアダマンタイトを砕けるようになってからが1人前だと言われながら育ちました。

先生の剣はアダマンタイトでしょう?貴重な物を壊してしまって申し訳ないです。

弁償しろというならしますし、鍛冶屋なども紹介できます。」


別にやましい事などないので答える。あんまり記憶にないが父親はドワーフだ。

小さい父とは反対に母親がデカかったため丁度よく人間サイズの私が生まれたらしい。


「いや、弁償などしなくていいよ。剣が砕けたのは息子の弱さが招いたことだからな。


それにしてもドワーフの血が流れているとは…。

その剛腕も頷ける。巡礼が終わったらぜひうちの騎士団に来て欲しいくらいだ。」


じぃーっと凄い眼力でスカウトされる。


「あーえっと……考えておきますね。」


巡礼が終わり何事もなければ私は元いた教会に戻るつもりなのだが、とりあえず当たり障りの無いことを言っておく。



「混血が聖女とは世も末だな!

そんなのは認められないので抗議させてもらう。」


いきなり空気だった王子が絡んできた。

何だかとっても忙しい方だね。


「ミカエル様やめてくださいませ恥ずかしい。

いい加減認めてさしあげたらどうですか。


わたくしはその強さにとっても痺れました!ぜひ仲良くしてくださいな?」


なんて言おうか迷っていると、忌々しそうに睨んできた王子を押し退け、今度はナタリア様が私の手を握ってきた。


「はい。ぜひよろしくお願いします。」


勢いに負けてついそう答える。



「なっ!ナタリア!そいつから手を離すんだ!!危険だぞー!!」


そして王子の絶叫と共に決闘は幕を閉じた。








ちなみに神官長にはめちゃくちゃ怒られた。





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