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黒髪黒目の忌み子は神の修行で精霊王となる  作者: スープ愛好家
第一章 神の修行
3/8

2 お風呂とお食事

一週間程遅れましたすいません

 「さてタロス、お前には教えたいことがたくさんあるんだが…」


 彼は意味ありげに一息つき、法衣とタオルを僕に渡してきた。


 「とりあえず近くの水辺でで水浴びしてきてもらっていいか?服がぼろぼろで体中汚れだらけなのは見てて気の毒だ」


 ああ、そうか。最近体洗ってなかったかもしれないや。


 「じゃあついてきてくれ」


 そしてメルさんに手を繋がれていつの間にか現れていた門をくぐった。


 その後僕が見た景色は想像を絶するものだった。


 「うわあ~」


 無限に広がる森と草原だった。


 初めて見る景色だった。


 野鳥や小動物もいっぱいいるのが分かった。

 

 森の中、道のりに進んでいくと開けた場所に出た。


 きれいな泉があって、魚も泳いでいる。


 「さて、そのぼろぼろの布切れを脱ぐんだ」


 いきなり言われて僕は面食らってしまった。


 「あの、てっきり僕は自分で洗うのかと…」


 「何言ってる。勿論俺も手伝うぞ」


 右手に石鹸、左手にシルクの布を持って不敵に笑っている。


 「え、あ、ちょっと…」


 「まあまあ、綺麗にしなくては、な?」


 この後、メルさんに文字通り丸洗いにされてちょっと恥ずかしかったのは秘密だ。


 

 さっぱりした後、体に力が入りづらくなっていた僕はメルさんに抱えられてもとの場所に戻ってきていた。


 「すみません、手間をかけました」


 「気にするな。それより腹減ってるだろ。さっき捨て肉食うところだったよな。とりあえず飯にするか」


 「ご飯まで作って頂けるのですか!?」


 「まあな。大体は俺が自分で作る。しばらく経ったらお前にも手伝ってもらおうか」


 「その時は喜んでお手伝いします」


 「おう。とりあえず今は座っててくれ」


 そう言ってメルさんはいつの間にか現れていた台所に向かった。


 さっき見たときはなかったはずなのに。


 とりあえず座っていよう。


 メルさんの方から軽やかな包丁の音が聞こえてくる。


 それから少し待つと、メルさんが料理のたくさん載ったトレイを持ってきた。


 「さあ召し上がってくれ」


 肉のソース炒めと葉物野菜のサラダ、山菜のスープそして白いパンだった。


 「ひとまずこのくらいの量でいいだろ」


 その料理からは路地裏の匂いはしなかった。たまに大通りで催される祭のいい匂いがした。


 「では、いただきます」


 とりあえず目の前のおおぶりなお肉にかじりついた。


 「も、物凄く美味しいです!」


 反射的に言ってしまった。今まで食べたことがない味だけど、これが『美味しい』ということなのはわかった。


 「おう、それは嬉しいな。あまり料理の腕に自信はないんだが」


 「そんなことないですよ!今まで食べた中で一番美味しいです!!」


 「それはお前…今まで食ってきたの生肉とかゴミだろ?」


 「そうですね。よく生きてこれたと自分でも思います」


 それから僕達は気楽に話しながら、サラダやスープ、後で持ってきてくれたデザートに舌鼓をうった(メルさんいわく残りの食材でこしらえた簡易料理らしいけど、僕にとってはどれも一流の品にしか感じられなかった)。

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