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008.巨大モンスター討伐




 現在、僕の目の前にはスライムが広がっている。

 水色のぷにょぷにょした物体が目の前に数十匹もいる光景を想像してみてほしい。スライムが強敵ではないことを分かっていても謎の恐怖が襲ってくる。


「えっ、どうすればいいの?」


 倒す以外にやることはないのだが、あまりにも予想外の現象すぎてパニック状態である。


「とにかく倒すか!」


 今の僕のスピードであればスライム数十匹を一度に相手にするなど朝飯前。

 僕は人差し指をスライムに突き刺し、それを高速で行い数十匹を一瞬で全滅させる。

 スライムの正確な数は二十四匹だった。


「いやー、ビックリしたー」


 さすが異世界といったところだろうか。

 きっとこれから先もこんな感じのイベントが盛りだくさんなんだろう。

 まあ、どんなイベントでもかかってこいやって感じである。


「キャァァァァァぁぁああああ!?」


 森に響き渡る少女の悲鳴。

 おっ、早速イベント発生か?

 待て待て、いくら何でもイベントの周期が早すぎるだろうよ。

 もしかしてスライムパニック(と命名)も次に起こるイベントの内なのだろうか?


「行くしかないよな」


 男だったら悩むところだが、女性ならば行く以外の選択肢は思い浮かばない。

 そして悲鳴がした方向へ全力で走り出す。

 結構悲鳴は大きく聞こえたからそう遠くはないはず。


「誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 声の発生源はかなり近い。

 おそらくあの広い空間のところだろう。


「どうした……んですか?」


 少女の姿を見る前に僕はその悲鳴の原因が判明する。

 僕の視線の先には、大きい虎なのだろうか?

 色は白くて神秘的。大きさは大型トラック三個分に相当するであろう。


「マジかよ」


 それよりも少女の姿を確認しなければ。

 明らかに強いですよオーラを醸し出しているモンスターだ。少女の容姿次第では逃げることにしよう。

 こんなところでくたばりたくはないしさ。


「早く逃げて下さい! このモンスターは危険です!」


 まさか七歳児が助けに来るとは思わなかったのだろう。

 無駄にモンスターに食われるだけだと判断したのか、僕に逃げるよう促す。


 少女も僕と同い年くらい。

 お姫様のような高級感あるドレスを着ていて。髪はティアラのようなもので留められている。

 顔もめちゃくちゃ整っている。

 村にいる女の子はブサイクばかりだったから、やっと異世界の美少女に会うことができた。感動的である。

 そして全てを総合的に判断した結果――


「大丈夫です! 必ず助けて見せます!」


 死んでも生き返って助けてやりますよ。

 そうだ。美少女を助けて死ねるなんて男としては最高の終わりではないか。

 もしかしたらこの美少女を助けるために異世界転生して、身体強化スキルを極めるために努力してきたのかもしれない。


「何を言っているんですか! 倒せるわけないでしょ!!」

 いやいや、七歳児でも普通よりは強いんですぜ?

 それに異世界だからこんな強そうなやつでも意外と弱いということもあるだろう。

 しかし少女の近くにはこのモンスターに破壊されたと思われる馬車と馬の死骸。そして護衛の兵士とおもわれる死体も転がっている。


「たまたまだよ」


 何がたまたまなのだろうか。

 僕は自分が納得できそうなことを考える。

 うん。もしかしたら運悪く護衛の武器が壊れていた可能性もあるな。

 実際は僕でも倒せるくらい弱いのかもしれない。


「そうだ。きっとそうだよ」


 謎に自分を納得させようとする。

 だって普通の思考だったらこんな巨大モンスターを倒そうなんて思わないだろ?


「ガルぅぅ!」


 虎のモンスターが今にも襲い掛かりそうな感じで僕を見ている。

 逃げるなら最後のチャンスかもしれない。

 でも、よくよく考えるとこの少女は地位の高い家柄なのだろう。

 そして、そんな少女を護衛する兵士が雑魚のわけがない。そして、そんな護衛が持つ武器が運悪く破損するわけがないんだ。現に新品同様の剣が転がってるし。

 よってこのモンスターは強い。

 僕が倒せる確率は極めて低いだろう。


「逃げるか?」


 精神は安定しているが、わざわざリスクを冒すほど理性がないわけでもない。

 だがしかし、僕が逃げたらこの美少女は確実に食われる。

 足を怪我しているようだし逃げられないだろう。


「助かったとしてこの先の人生、楽しいか?」


 いやいや、一生引きずるな。


「どのみち、ここに来た時点で詰んでるのか

 このモンスターを倒す以外に道はない。

 おそらく少女を抱えて逃げても、巨大な虎に追いかけられたら追いつかれる可能性の方が高い。

 ならば――


「よしっ、来い!」

「逃げてぇぇぇぇぇぇぇ!」


 少女が叫んだと同時にモンスターは僕に向かって突進してくる。

 しかし意外とスピードはない。僕が子供と思って手を抜いているのか? もしかしたら逃げることもできたかもしれない。


「でも一発殴ってからでいいよな」


 僕は自分の実力を確かめたい。

 これでも攻撃力はかなり鍛えてきたんだ。少しくらい反応があってもいいだろう。

 僕はモンスターの突進をジャンプでかわし、モンスターの頭上に。


「せやっ!」


 そして僕はモンスターの頭めがけて、本気のパンチをぶつける。


 ドカンッ!


 僕のパンチの衝撃でモンスターは地面に叩きつけられ、地面に大きなクレーターが出来上がる。

 僕は空中で一回転し、モンスターとの距離を開けて、地面に着地した。


「凄い……」


 少女はとても驚いているらしい。

 まあ七歳児でこの威力は普通に強いのだろう。


「思ったよりも威力あったな」


 もっと力が出ないと思ったが、美少女の前だから力が出たのだろうか。

 でも護衛の兵士が全滅したくらいの強敵だ。こんな簡単にやられるはずがない。

 今のうちに逃げるか?

 でも結構ダメージがあったのか中々起き上がらない。


「死んだふりでもしているのか?」


 十数秒が経過したが何の気配もない。


「確かめるしかないな」


 僕はモンスターとの距離を開けながら、モンスターの状態を確認する。

 次にモンスターの顔面の方まで移動した。

 そしてモンスターの表情を確認するが――


「えっ、死んでる?」


 泡を吹いて白目をむいている。

 いやいや、でも護衛の兵士を全滅させたんだ。こんなのありえないだろ。


「そうとう死んだふりが上手いんだな」


 モン〇ンにも死んだふりをするモンスターがいたから油断できない。

 僕は後方に飛べる体勢で試しに近づいてみるが、顔面の近くに寄っても何もない。

 やはり死んだのか?


「そうだ。スキルゲージを確認すればいいのか」


 そしてオレはスキルゲージ確認する。

 スキルゲージが上がっていればモンスターを倒せたってこと。

 だが僕はそのスキルゲージを見て過去最高に驚く。


「めちゃくちゃ上がっとるやん!?」


 さきほどスライムを倒しまくったが、全く上がらなかったのは確かだ。

 しかしスキルゲージは異常なくらい上がっていた。


「ということは……」


 そう、そういうことなのだろう。


「このモンスター倒せちゃったのかよ……」




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