森での遭遇、戦闘
かなり感覚が空きました。申し訳ありません。
「小規模の森って聞いたんだが…これはかなりの大深林じゃねーか?」
俺は森の入り口付近に立ち、そんなことを呟いた。ギルドの職員からは小規模の森で危険はあまりない。と聞いていたのだが目の前のそれは明らかに規模がデカイ。具体的な広さはよくわからないが少なくとも視認できる範囲は木で埋め尽くされていた。幸い道はあるので迷う事はないだろうが…
と、こんなことを考えていても仕方がない。俺は一歩森の中に足を踏み入れた。かと言って何かあるわけでもないのだが。
「……ゴブリンどころか動物一匹見かけないな。流石におかしくないか?」
1時間ほど歩いてみたがゴブリンはおろか、森であれば一匹は見かけるであろう小動物の姿すら見ることが出来ない。いや、俺は山育ちというわけでもないので森で1時間ほど歩いたところでそれらを一切見かけないのは割とあり得る事かもしれないのだが…。警戒するに越した事はないだろう。なにせこう言った場合高確率でこの森に動物達が逃げ出すようなレベルのモノがいるからだ…
などと考えながら歩いているとガサガサという音が横から聞こえてくる。何が出るかはわからないが音の発生源らしき方向を向き、様子を伺う。しばらくすると一体の魔物が姿を露わす。それは人間の子供ほどの背丈の醜悪な顔をした魔物であった。
しかしそれは通常の個体とはおそらく違う部分があった。通常の個体は緑であるはずの皮膚が…黒であったのだ。
「所謂変異種って奴か……?しかしこんなのと早々出くわすとか運悪過ぎないか…っと。んなこと言ってないでことに当たらないとヤバイだろうな…ッ!?」
ブツブツと呟いていたら当然。ソイツは殴りかかってきた。その速度は当然の如く通常の個体より遥かに早い。俺のおそらく恵まれたステータスをしてもギリギリでの回避が精一杯であった。これはマズい。だが何故か冷静な判断が出来ている。これならギリギリとはいえアレを倒す事は可能だろう。よし。反撃開始だ。
「ッォラッ!!」
と、微妙な掛け声とともに回避されたせいで体制の崩れた黒いゴブリンに蹴りを浴びせる。身体の方は思ったよりも柔らかいらしくグキャ、という音が聞こえた。おそらく右腕が潰れたであろう。思ったよりも楽にカタがつくかもしれない。しかし、その直後にその考えが間違いであったのに気付かされる。先程右腕を潰された黒ゴブリンはその顔をさらに醜悪に歪ませ、その初撃よりも速い一撃を繰り出してきたのである。油断した上こともありその拳をマトモに食らってしまった。
「ガブッ……!?」
その威力はそれなりであったようで体が宙に舞う、なんつー馬鹿力だアイツ…!!
しかしその拳の威力は流石に俺の内臓系統を傷付けるには至らず、俺の腹に鈍い痛みを残すだけに至った。
地面に着地した俺は反撃とばかりに姿勢を低くし、自らの拳が黒ゴブリンの顔面に当たるように調整。黒ゴブリンの方に駆け出した。
「……ォォッ!!」
そう掛け声を出しながら拳を振りかぶり、突き出せば黒ゴブリンの顔面が驚きに歪む。まさか自分の決死の一撃が相手を殺すに至らないとは考えもつかなかったのだろう。その身体は動かず、俺の拳があっさりとソイツの顔面にめり込む。そして拳を振り抜けば黒ゴブリンは先程の俺のように吹き飛んで行き、俺とは違い、木に激突して絶命した。
「まさかあんなのと出くわすとはな…運がない。しかしこれ、放置しとくのはマズいだろう。血の匂いにつられて獣でも出てこられると困るしな。
これは早めに持って帰ってしまうべきだろう。というわけで今回の依頼は失敗となるだろうが此奴を持って街へと帰ることにした…