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ポーション屋の日常  作者: 光晴さん


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第43話 戦いが始まった



今日は、日本のポーション屋レオンの事務所に来ている。

最近、異世界側で戦争なんていう話題でポーションの売れ行きが良かったから、日中そっちにいることが多かった。


だからと言って日本でのポーション屋をさぼっていたわけではない。


ネット注文された品物を梱包して、配達業者に託すということは続けていたしその時バイトできていた早苗ちゃんには本当に助かっている。

今日もポーションの梱包を手伝ってもらっているしね。


「そういえば、最近は異世界へ来ないね早苗ちゃん。

こっちの日本のことが忙しいのかな?」


「はぁ~」

と深いため息を早苗ちゃんは吐くと…。


「忘れたんですか? そっちの異世界ではいま戦争が起きそうで危ないから、しばらく様子を見ようって言ってたでしょ?」


「……そ、そうだったね。

自分で言ってて、忘れていたよ……」


「しっかりしてくださいよ、店長~。

ボケるにはまだ早すぎますよ?」


そう言えばフィルと話した後、日本で仕事をしている時に早苗ちゃんに注意してたっけ。確か、新しい仲間が決まったから紹介するとか言われたけど、異世界側の情勢が危なくなりそうなんでしばらく延期って言ったんだよな……。


すっかり忘れてたよ………。


でも、早く戦争が解決してくれるといいね~。

確か、昨日の掲示板には近々全面対決があるかもとか書いてあったな……。




▽    ▽    ▽    ▽




キルニーと私は急いで小隊のみんなのところへ戻ろうとするんだけど、戻れずに別の隊に組み込まれてしまった。

これも、簡易トイレにあの長蛇の列がいけないんだ……。


とりあえず、隊のみんなに挨拶を済ませると私たちの部隊は町の西側からの侵攻の支援部隊ということだ。


「ねえジェリー、これって前線部隊への支援でいいのよね?」


「そうよ、支援魔法で強化や守護して攻撃魔法でも支援できるわよ」


「いや、そうじゃなくて、私たち後方に下がって戦えってことなんでしょ?」


「……そうね、本来の部隊は東からの遊撃隊って隊長から聞いていたから、安全は増すでしょうね」


「生き残れるかもしれないわね……」


キルニーは、死にたくなかったのね。

確かに私もこんな戦争で死にたくはないけど、周りの目立つ戦いをしている人たちを見ているといつ死んでもおかしくない戦場だなって、再確認してしまうのよね。


……とりあえず、私たちの前にいる兵士たちに支援魔法をかけていく……。



休憩をはさみながら支援魔法をかけ終わるころ、私たちの右側がいきなり騒がしくなった。

どうやら戦いが始まったようだ。

剣戟や人の叫び声が聞こえる、何度聞いてもなれない戦争の音。


ちょうど、町の外壁の影となっていて私たちからはどんな戦いがおこなわれているのかは分からないが、決して楽勝という音は聞こえてこない。


時々聞こえる爆発音に、ドキドキしてしまう。

正面から攻め込んだ部隊から遅れること30分、先頭で騎士の1人が大声をあげた。



『時間だっ! 我らの力を見せてやれ! 突撃っ!!』



その声と同時に、前線部隊の兵士たちが町の東門へと突撃していく。

そして、そのすぐ後に私の隣で呪文の詠唱をしていたキルニーの魔法が東門前で私たちの部隊を迎え撃つはずだったニルベルン軍の兵士たちに、直撃した。


他にも、部隊の何人かが唱えた攻撃魔法が直撃している。

それを確認した部隊長が、私たちに向かって叫ぶ。


「事前の打ち合わせ通り、5人ずつで散開!

ジェリーとキルニーは2人で行動することになるけど、必ず生き残ること。

いいわねっ!!」


「「「「「はいっ!!!」」」」」


「では、散開!」



隊長の命令で、私とキルニーは2人で行動することになった。

なるべく戦場から少し距離を置いたところで、支援魔法と攻撃魔法を繰り出していく。


「キルニー、炎系より雷系の方が戦場ではいいみたいよ!」


「わかった!」


私は土魔法で壁を造ると、その影にキルニーと隠れながら移動していく。

ニルベルン軍の兵士たちは、対人戦用の『魔導銃』で攻撃してくるから、こうして物陰に隠れながら移動して戦う方がいいみたい。


前線の兵士たちも盾装備は必須みたいだし、私たちのような支援部隊にも土系統の魔法が使える人がほとんどだしね……。



「キャッ!」


戦場を移動していたその時、外壁の上から私たちを狙った『魔導銃』からの攻撃が私の腕をかすめた。

すぐに、土壁からドーム型に切り替え対処したが、いまだに打ち込んでくる。


「ジェリー、大丈夫?!

腕を見せて! 早く見せて! ………うん、服をかすめただけみたいだ。

良かった~…」


ドームの中に入ってすぐにキルニーがすごい表情で、私の腕をつかんで傷を調べた。

何とも無かったことを確認すると、安心したのか座り込んで私に抱き着いてる……。


本当は泣きたいんだろうけど、我慢しているのがキルニーから伝わってくる。

……まだ戦いは始まったばかりだ、ドームの外では戦闘の音が聞こえてくる。


キルニーが落ち着いたら、またあの音の飛び交う中に戻らないと……。








第43話を読んでくれてありがとう。


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