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ポーション屋の日常  作者: 光晴さん


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第40話 帰って来た友達



ニルベルン王国の国境が突破されて20日が過ぎた。


今日は、一週間ぶりのポーションの納品日のため薬師ギルドに入ると、同盟国のニルベルン王国の状況が書かれているのか掲示板の前は人だかりが出てきた。

俺も、国境突破されるの知らせからどうなったのか気になり人だかりの後ろから貼り出されていたニュースを見た。


『ニルベルン王国軍、敗北続く!』


悪い知らせが続くな……。

戦争前は同盟を結んだから、もう安心というような雰囲気だったのに、戦争がはじまるとどんどんニルベルン王国の領土が侵食されている。


掲示板の張り紙には、ニルベルン王国の二割がオーベス皇国軍に侵略されたみたいなことが書いてあったが、実際今はどうなっているのだろう。


そんな疑問を考えながら、俺はギルドに納品を済ませ自分の店に帰っていく。



ディリタニア王国の王都であるここは、戦争とは無関係な平和な時間が流れているが、昨日、王国軍の部隊が王都を旅立っている。

援軍なんだろうが、勝てるのだろうか?




自分の店に帰ってくると、店先に懐かしい顔が俺のことを待っていた。


「フィル、久しぶり!」


ニルベルン王国へ商隊の護衛として旅立っていた冒険者のフィルがいた。

フィルは俺の顔を見ると、笑顔で挨拶してくる。


「おう、久しぶりだなレオン! 今帰って来たぜ!」



俺は店を開けて、フィルを中へ招き入れ飲み物としてフィルの好きなコーヒーを出してやる。


「これだよ、このコーヒーってやつがニルベルンにはなくてな……」


フィルはおいしそうにコーヒーを飲むと、ようやく一息ついた。

俺は向かいのカウンターに座り、フィルからニルベルンの情勢を聞くことにした。


「で、どうだった? ニルベルン王国は」


「……王都は問題なかったんだよな。

俺たちが護衛した商隊は、無事ニルベルンの王都に到着したんだけど、その王都で緊急依頼が発生したんだよ」


「緊急依頼?」

「ああ『バージの町』へ物資と食料を届けるってやつなんだけど、誰もやりたがらなくって俺たちのパーティーが強制的に届けることになったんだ。

そしたら、出発して2日目には『バージの町』から『エルケケの町』に変わったという早馬が知らせに来てな……」


『バージの町』から『エルケケの町』への変更……。


「……オーベス皇国がバージの町まで侵攻したってことか?」

「ああ、俺たちが運んでいた物資が届かなかったんで、町を1つ後退したそうだ。

『エルケケの町』に着いた時、騎士団長って女性から少し怒られたよ……」


「それは、災難だったな……」

「災難は、それだけじゃないぜ。

俺たちが『エルケケの町』から王都に戻るときも、町の住民の避難を手伝えって無理やり手伝わされたんだからな……」


フィルは、その話をするとうんざりって顔になった。


「しかも住民だけじゃなくて、ニルベルン王国軍の新人兵士もいっしょに避難するらしくてさらに大所帯になったんだよ」

「……でも、住民の護衛は何とかなったんじゃないのか?」

「まあ護衛はな、でも問題は食料だったんだよ」


「食料か……」

「住民の中には、食料を持ってきている人もいたんだけど大半は持っていなくてな、新人兵士の人たちの食料を分けたり、俺たちが持っていた食料を分けたりして王都に着くまで何とかなったよ……」


……あれ? ちょっと気になることがあるんだが。


「なあフィル、王都に避難している時に別の町とか村はなかったのか?」

「……ああ、そうか。 レオンはニルベルン王国へは行ったことがないのか。

『エルケケの町』からニルベルンの王都へ行く道の途中に別れ道があるんだよ。

真っすぐ行けば『王都』で、右に曲がれば『ハブール町』に別れていてな」


「じゃあ、ダンジョンがある町っていうのは?」

「その右に曲がって3番目に迷宮都市『ガルブール』がある」

「オーベス皇国の狙いはダンジョンだったから、王都へ避難させるのか……」


人々を何のために王都へ避難させているのか分からなかったけど、なるほど、道が分かれていたのか……。


「でも、王都の守りは大丈夫なのか?」

「ああ、俺たちが通過した後砦の建設が始まっていたから大丈夫だろう?

魔法使いが、かなりの数集められていたようだし……」


「でもそうなると、『ハブールの町』の住民とかはどこに避難するかだけど……」

「それなら大丈夫だ。

『ハブールの町』の住民の避難は、迷宮都市へ向かうはずだよ。

確か、王都と迷宮都市の間に街道ができていたはずだし……」


避難経路が確保できているなら、後はニルベルン王国側の反撃がどこになるかだな……。

ディリタニア王国からも軍を派遣しているようだけど、反撃なんてそもそもできるのか?


ニルベルン王国国境での戦い、後方支援がうまくいっていないこと、いろいろ問題が出てきているし、避難してきた人たちの食料や住む場所も問題だしな……。



「なあフィル……」

「ん?」

「フィルの目から見て、今回のニルベルン王国とオーベス皇国との戦争、どう見る?

ニルベルン王国は勝てそうか?」


「………無理だろうな」

「そうか……」


このまま戦争が続けば、近いうちにニルベルン王国が地図から消えるかもしれないな……。








第40話を読んでくれてありがとう。


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