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ポーション屋の日常  作者: 光晴さん


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第24話 店舗を入手する



王都の乗合馬車組合の本部にある、乗合馬車王都停留所。

この場所こそ、各辺境地にある町へ乗合馬車を出している本部だ。

ここから乗合馬車は出発していき、各地の乗合馬車が帰ってくる場所でもある。


そして俺たちを乗せてきた乗合馬車の終点で、清算を済ませるとここを後にして目的の場所へ移動していく。


「レオン、道中楽しかったぜ。

乗合馬車でこんな出会いがあるとは思わなかったが、また出会うことがあったら飲もうぜ!」


冒険者のグリムさんは、そう言って別れていった。

親子連れのレミナさんたちも、挨拶もそれなりに別れていった。

子供の姉弟と手を振って別れたが、またどこかで出会えるかもな。



俺も目的の場所、薬師ギルドへ向かう。


乗合馬車組合の本部から、冒険者ギルドの前を通り抜けて少し歩いたところに薬師ギルドの本部の建物があった。

建物の大きさは、さっき通った冒険者ギルドほど大きくもないが地方の役所並みに大きくはある。


三階建ての建物で、入り口は横に人が四人ほど並んで入れるほどある。

その薬師ギルドは人の出入りが少ないみたいなので、堂々と中へ入っていく。



ギルド内は、正面に掲示板。

左に受付カウンターがあり、受付嬢が四人並んで座っている。

右は納品カウンターになっていて、こちらも対応をする受付嬢が四人座っていた。


昼をちょっと過ぎたばかりだし、人が少ないと思っていたけどギルドの職員以外いないとは思わなかったな……。

とりあえず、左側の受付の一番右の受付嬢に声をかける。


「すみません、これをお願いします」


俺は支店の薬師ギルドからの紹介状を受付嬢に提出すると、それを読んだ受付嬢がすぐに席を立ち後ろの広い事務所で仕事をしている上司らしき人のもとへ持っていった。

多分、判断を仰いだのだろう。


それから何回か話し合いをして、受付嬢がカウンターへ戻ってきた。


「少々お待ちください。

今、担当の者が来ますのでその者から話をお聞きください。

それまでは、後ろのソファにお掛けになってお待ちください」


そう言って、俺の後方に用意されてあったソファを促した。


「わかりました」


俺は受付嬢の言うことを聞いて、ソファに掛けて待つことに。



10分ほどソファで待っていると、ギルド職員の制服を着た男性が近づいてくる。


「レオンさん、お待たせしました。

パルセール支部の紹介により、ポーションなどの薬を扱うお店ができて住むことができる物件を紹介させていただく、薬師ギルド王都本部の不動産部門のファルビオといいます。


少しの間、よろしくお願いします」


すごい丁寧なあいさつだ。

流石王都、教育が行き届いているよな……。


「こちらこそ、よろしくお願いします」


互いのあいさつを終えると、俺たちは薬師ギルドを出てさっそく物件を見に行くことに。

ファルビオの話では、現在、俺の提示した条件に合う物件は2つしかないそうでどちらかを選んでほしいとのことだった。



「すみませんね、レオンさん。

今の時期は王都への引っ越しが多くて、薬師ギルドが確保できた物件も数が少ないんですよ」


今の時期、それは転勤や転職、また高ランク者が土地を買い求めているとか。

転勤や転職はわかるが、高ランク者の買い漁りはよくわからないな。

そのことをファルビオに言うと…。


「それは弟子育成が主なんですよ。

薬師ギルドにも高ランク薬師がいるんですが、その人たちも弟子を何人も育てていますから、その弟子の生活する場所は必要というわけです。


勿論、もう教えることがない弟子を薬師のいない地方へ送ることもあるんですが、出ていく人数以上に入ってくる人が多いのが現状でして……」


薬師ギルドとしても、他のギルドとしても王都は人が多すぎるというわけか。

なんだか、東京を思い出すな~。




薬師ギルドでの愚痴を少し聞きながら、1件目の物件にたどり着いた。


「こちらが1件目の物件になります。

日当たりや隣の建物などトラブルになるものはありません。

中もどうぞ……」


そう言って建物の外観から、中へ案内してくれる。


「こちらが建物の中です。

ここは店舗兼玄関になります。

家の中へは左端にある扉から中へ、店舗のドアとこのドアには鍵がかけられますから侵入者対策は大丈夫かと。


不安なら、どちらかの鍵を変えることをお勧めします。

後は、ドアの奥に生活する場所であるキッチンとリビング。


それから階段で2階に上がり、空き部屋が3つありますのでレオンさんの好きなようにお使いになればよろしいかと。


後、1階の店舗の奥にポーション作りなどができる空き部屋を用意してあります。

どうです? なかなかの物件でしょ?」


説明に力が入っているようだ。

ということは、ファルビオさんのお勧めの物件ということか。

……でも一応、二件目も見ておくか。



次に連れていってくれたのは、一件目からさらに十分ほど歩いた場所にある物件だ。


「この物件の利点は、薬草などを扱う商店に近いことです。

素材を手に入れやすい場所にあるんですが、納品するギルドには少し遠くなります。


また、この店舗の周りも同じように薬を売っている店舗が二店ほど存在していて、大きな商会と契約をしていないければ普通はお勧めしません。


でも、レオンさんは最高品質のポーションを作れるとのことなので、この店舗を紹介させてもらっています。


後、店舗の中は一件目とそう変わりません。

薬屋は、どこも同じような作りになっているので何度も紹介するほどではありませんね。


どうでしょう、レオンさんはどちらの店舗にしますか?」



う~ん、一件目の印象は、近所が賑やかそうなところだな。

あの近くには薬屋がなかったようだから、店として始めるなら一件目だ。


だが、俺は店の経営とかはのんびりできればいいから二の次だし、周りを見渡してもこの店が目立つこともなさそうだ。


「決めました、この二件目の物件でお願いします」


「あの、本当にここでよろしいので?」


「はい、お願いします!」


ファルビオさんは少し驚いているようだが、どちらの物件を選んだとしてもギルドにポーションは毎週納品される契約なのだから、納得してくださいね。


「では、こちらがこの店舗兼家の鍵になります。

後、ここの場所はギルドに登録しておきますのでご了承ください。


では、これで失礼します」


ファルビオさんは、丁寧にあいさつをすると帰っていった。

そして俺は、ついに家を手に入れたのだ……。








第24話を読んでくれてありがとう。


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