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ポーション屋の日常  作者: 光晴さん


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第16話 路地裏へ



「……それでケリー様、あの女たちにどのような罰をお与えに?」


クリフの奴、よほど自分の思い通りにならなかったことが腹に据えかねているのか、それともあの女にムカついたのか……。


「平民の魔術師だ、痛い目を見れば身の程を知る。

そして、その後奴隷に落としてお前の好きにすればよかろう」


「は、はい! ありがとうございます。

これであの女を………グフフ」


……大丈夫か、クリフ。

トリスタンを見るが、我関せずを貫いているな。



我らは、魔術師ギルドの正面入り口がのぞける建物の陰に潜むと、あの女たちが出てくるのを待った。

そして、待ってから10分ほどでギルドから出てくるがあの女たちにおまけがいた。


「……あの男は誰だ? 私が声をかけた時にはいなかったような……」


「いやいやクリフ、受付にいたあの女たちの側にいたぞ?」


何と、あの場所に受付嬢以外にもう一人あの男がいたのか?

我も気づかなかったが、男がいるなら物事は変わってくるな……。


「クリフ、男がいたのなら話は別だ」


「ケリー様、どういうことでございますか?」


「あの女たちは、あの男の連れなのだろうな。

だから、あの女たちの躾ができていないあの男にまず責任をとってもらおう。

その後で、じっくり女たちに我らが躾をすれば……」


クリフとトリスタンに我の考えを聞かせると、二人ともいい笑みを浮かべてる。

これならつまらない遺跡探査など、もうどうでもいい。


「トリスタン、すぐにその辺の力自慢のゴロツキを雇ってこい。

クリフ、奴らを追いかけて宿の場所を突き止めるぞ?」


「はい! グフフフ、楽しくなってきましたね」


「では、行ってきます」


トリスタンが路地裏を進んでいくところを見た後で、我らはあの4人を背後から尾行していく。

宿を突き止めたら、あの4人を呼び出して躾をしなければな……。

ふん、魔術師などしょせん動けない大砲よ、ゴロツキに魔法を使っている間に我らで魔法を封じてくれる。


クックック、魔法が使えなくなった魔術師など子供を相手にするようなものだ……。




▽    ▽    ▽    ▽




魔術師ギルドを出てから、まっすぐどこにもよらずに宿に向かっているんだけど、どうも視線を感じるんだよね。

しかも、最初早苗ちゃんたちに向いていたのが、今は俺に。

それに、何か怖い視線に変わっているような……。


「店長、この後行く予定だった買い物はキャンセルしますね」


早苗ちゃんが、明るい声で俺に言ってくる。

どうやら、響子ちゃんもほのかちゃんも同じ考えのようだ。


「宿で、魔法書を読んで練習するのかい?」


「はい! でもうまくいかないときは、アドバイスお願いします」


いい返事だよほのかちゃん、そしてさりげないお願いも。

「ああ、わかったよ」


そんなことを話しながら宿の前に着くと、後ろから野太い声で呼び止められた。


「女連れのおっさん、ちょっといいか?」


俺は立ち止まり、振り返るとそこには、いかにもなガタイのいいゴロツキってこんなやつのことを言うのだろうという男たちが3人立っていた。


「えっと、どちら様で?」


俺が下手に出て、しかもビビっていると感じたのかゴロツキの3人は頬を緩ませて笑みを浮かべる。

しかも、後ろの2人の視線は俺の後ろにいる早苗ちゃんたちを見ていた。


「ちょっと顔、貸してくれるか?

そこの裏路地で、あんたらに用事がある方たちが待っているんだよ。

何も取って食おうってわけじゃないんだ。

すぐに済むからよ………ちょっと付き合え」


おいおい、最後は命令だったぞ?

……これはたぶん、さっきのギルドでの一件だな。

しかし、今も昔も貴族という人種はしつこいね~




俺の後ろにいる早苗ちゃんたちは少し不安げだが、俺はこういうことはよく知っていたので、彼女たちを守るために『防御支援』の魔法を内緒でかけておく。

これで、早苗ちゃんたちに危害を加えることも、俺に危害を加えることもできなくなった。


そして、ゴロツキに案内されながら路地裏へと移動すると、そこにはあの貴族の少年三人が待っていた。しかも、さらにゴロツキを二人ほど従えて……。


「待っていたよ、我らに何か言うことがあるかね?」


ケリーという少年が、俺たちの前に出てきて上から目線で何か言っている。

あれかな、この状況だから俺が土下座でもして謝るとでも思っているのかな?

……それはないな、俺は早苗ちゃんの上司であって、恋人でもないし。


でもまあ、こういう時に見捨てるほどクズでもないけどね……。


「あの、何を言えばよろしいので?」


「貴様! ここまで来てまだ分からないのかっ!」


クリフ少年が、すごい勢いで怒っている。

顔が真っ赤だ。

隣のトリスタン少年は、クリフ少年がからかわれているのが面白いのか半笑いだ。

ん~、この三人の構図がよくわかる。


「貴族様、ここは俺たちにお任せください」


ケリー少年の後ろに控えていた二人のゴロツキが、手の骨を鳴らしながら前に出てきた。

でも、早苗ちゃんたちの後ろのゴロツキたちは動かない……いや、逃がさないために動かないのか。


「後ろの女たちには手を出すなよ。

……それと、これを使え!」


ケリー少年が、ゴロツキ2人に命じた後何かを投げ渡した。何だ?

ゴロツキたちはそれを受け取って正体を確認すると、ますます笑みが深くなる。

……何か嫌な予感がするぞ?


「さすが貴族様、こんなものを用意できるなんてな……」


「グシシ、魔術師相手にはいい道具だぜ」


魔術師相手? いい道具? そう聞いて俺はあるアイテムが頭をよぎる。

それは俺が追放されるときに付けられた『魔封じの腕輪』だが、

まさかな……









第16話を読んでくれてありがとうございます。


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