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ポーション屋の日常  作者: 光晴さん


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第14話 ギルドの受付で



「魔術師ギルドへようこそ、ご用は何でしょうか?」


魔術師ギルド内の売店を後にして、ギルド受付に魔法書購入のために行くと、並んでいる人もいなくてすぐに応対してくれる。

朝早い時間帯ではあるが、冒険者ギルドのように混雑はないようだ。


「ギルド登録とこの子たちの属性確認、後は魔法書を購入したいんです」


「ご利用ありがとうございます。

ではまず、他のギルドで登録をしている場合はそのギルドのカードをお出しください。

追加登録してカードを1枚で使えるようにします」


受付嬢の言うとおりに俺たちは冒険者カードを提出する。

4枚のカードを受け取ると、そのまま脇にある冷蔵庫ぐらいの箱にカードを差し込み何かを操作している。

気になって俺がのぞき込もうとすると、その行為に気づいた受付嬢が話してくれた。


「気になりますか? これはギルド専用の登録ボックスというものですよ。

この箱は全ギルドと繋がっていて、ギルド登録の情報を共有できる魔道具なんです。

これができて以来、他のギルドとの情報確認が楽になりました」


「店長、情報の共有って大丈夫なの?」


早苗ちゃんが分からないという顔で俺を見てくる。


「う~ん、実は俺もよく分からないんだよね……」


教えてくださいという顔で、受付嬢を見るが彼女は苦笑いを浮かべて…。

「ゴメンなさい、それはギルドの機密に反するので教えることはできないんです。

でも、確かに登録者様たちにはあまり実感はできないでしょうが、私たちギルド職員にとっては大変便利になったんですよ」


そんな話をしていると、淹れたカードが箱から出てきて俺たちの前に並べられた。


「はい、魔術師ギルドへの登録が終わりました。

次は、お嬢様たち三人の属性確認ですね」



受付嬢はテキパキと仕事をこなしていき、足元から透明のB4サイズの板を取り出した。

ステータスボードみたいな感じだな。

その透明な板を、早苗ちゃんたちの前に置くと…。


「では、この板の上に手を置いてください。

それでご自身の属性が表示されますので」


透明な板をよく見ると、手のひらを置く場所の横にメモリのようなものがあった。

おそらくこのメモリに自分の属性が現れるのだろう。

俺のいた頃は水晶玉を使って図っていたが、今の時代はさらにわかりやすく図れるんだな。


「まずは、私から……」


早苗ちゃんはそういうと、自分の手のひらをそっと透明な板の上に置いた。

すると、板が一瞬光ると光が収まった時にはメモリに様々な色が光っていた。


「……これはすごいですね、全属性ですよ。

あなたは、すべての魔法が使えることになります。

しかも得意不得意なくすべての魔法が使える、羨ましいです」


「ありがとうございます。やりましたよ、店長!」


早苗ちゃんは、自分がすべての魔法が使えるということに喜んでいるのだろうな。

魔術師ギルドの受付嬢が羨ましがるとは、珍しいものが見れた。


「おめでとう、早苗ちゃん。

次は響子ちゃんとほのかちゃんだ、多分君たちも全属性だと思うぞ?」


「そうなの?」


ほのかちゃんはよくわからないという顔で俺を見てくるが、響子ちゃんは緊張しているのか目の前に置かれた透明の板に意識を集中している。


「では、次は緊張しているあなたで……」


受付嬢が響子ちゃんに属性確認を進めると、響子ちゃんは緊張しながら返事をしている。


「は、はい。お願いします……」


そして、ゆっくりと自分の手のひらを透明な板に置いていくと、一瞬光ったと同時に早苗ちゃんの時と同じようにメモリにすべての色が光っていた。


「……ほんとに、彼女と同じ全属性です」


受付嬢の少し驚いた顔を見て、響子ちゃんは早苗ちゃんと一緒に喜んでいる。


「次は私です」


響子ちゃんの属性確認をした透明な板を見ながら、複雑な顔をしている受付嬢に、ほのかちゃんが次は私とアピールしている。

受付嬢は、すぐに響子ちゃんが使った透明な板をリセットするとほのかちゃんの前に置いた。


「いきます……えいっ」


と、ほのかちゃんが手のひらを置くと、案の定一瞬光った後透明の板にはすべてのメモリが光っていた。

やはり、異世界人は全属性になるようだ。


ただ、得意不得意がないから器用貧乏になりやすい。

だから魔法を覚えるときは戦い方などを参考にして使わない属性は覚えないようにした方がいいようだ。

……魔法の覚え方に対しては、この世界の人の方がやはり理にかなっているようだ。




「う~ん、空間魔法とあとはどうしようかな……」


早苗ちゃんは最初の目的通り、空間魔法を覚えるようだ。

響子ちゃんやほのかちゃんも空間魔法の良さを早苗ちゃんから聞いたため、二人とも空間魔法を選んでいた。

あと一つを何にするか時間をかけて悩んでいる。


俺と受付嬢は真剣に悩んでいる早苗ちゃんたちを見て、お互いに苦笑いを浮かべていた。

するとそこへ、ギルドの正面入り口が騒がしくなる。



声のする方へ顔を向けると、そこには着ているものから違うと一目でわかる貴族の少年たち3人がニヤニヤしながらギルド内を見渡している。


「クリフ、魔術師ギルドは本当に穴場なのか?」


「勿論ですよケリー様、この間のダンジョンは楽しかったでしょ?」


「……まあ、確かにあの魔術師たちはよかったが…」


「そうだぞクリフ、あの後大変だったんだぞ?

俺の父上に間に入ってもらえなかったら、ケリー様のお父様の手を煩わせるところだったんだから」


クリフという少年は、ケリーという真ん中の少年に頭を下げて謝っている。


「申し訳ございません、ケリー様」


「今度は気をつけろよ。それで、明日の探索に使えそうな魔術師はいるか?」


「いなければ、ギルドに紹介を………お?」


あ、こっちを見たぞ、クリフという少年が。

……いやな予感しかしないな……。







第14話を読んでくれてありがとうございます。


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