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ポーション屋の日常  作者: 光晴さん


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第13話 魔術師ギルドの売店



次の日、俺たちは魔術師ギルドへ向かって歩いている。


昨日の本屋で、早苗ちゃんが覚えたい魔法書が売っていないか店主に聞いたところ、魔法書の類は魔術師ギルドがすべて管理しているためうちでは取り扱っていないとのこと。


そのため、昨日はこの世界で流通している面白そうな物語を購入してみたんだが、早苗ちゃんたちの感想はイマイチらしい。


「購入した物語のほとんどが、勇者とか英雄が主役なんですよね」


「話も魔王を倒したとか、魔族を倒したとか、ドラゴンを倒したとか、何かを倒して終わりみたいな……」


「お姫様が主役なら、勇者と結婚して終わりでしたわね」


「勇者と英雄の名前が違うだけで、話の中身が一緒なんだもん」


……早苗ちゃんたちの感想を聞いて、それはつまらないわなと俺も思ってしまう。

どうやらこちらの世界は、どんなに年月が経っていようが発売される本の内容は変わらないようだ。

でも、勇者や英雄っていろんな物語に出ているけど、その物語が本人かは分からないんだよね。


昔、俺がこの世界で生活してた頃にある英雄の物語が本になって発売されてたけど、明らかに脚色が多かったな。

主役の英雄をある程度知っているだけに、あの本を読んで笑ったのを覚えている。


……文才に恵まれた勇者でも出てこないものかな。




昨日の本について話し合ったり考えたりしていると、魔術師ギルドにいつの間にか到着していた。


「ここが魔術師ギルドだ。中に入って魔法書を購入するから」


「はい! これで私も魔法が使えるかも~」


「さな、読み終わったら私にも貸してくれ」「あ、私も!」


「あのね君たち、魔法書の貸し出しはできないはずだよ?」


「それって……」


「魔法書というのはね、特殊な本なんだよ」

魔法書は普通の本と違い、特殊なインクを使っている。

そのため、最初に本を開けた人物の魔力を記憶しその人以外の人が見ると、暗号化したように読めなくなる。


魔法書の中には魔法の呪文や、中には魔法陣が書かれていることもあるから秘匿されるように本ができているのだ。

だが、魔法書の中には特殊なインクを使っていない魔法書もある。


それは、禁呪などの危険な魔法を記した本や伝説などに出てくるような扱う人を選ぶ魔法が記された本だ。

読んだだけで使えるようにはならないが、理解し開発されては困るものは普通のインクで記し呪文の一部を変えたりして本にしているらしい。


「ほしい魔法書があるなら購入してあげるから、1人二冊までね」


「二冊ですか?」


「覚えたい魔法と役に立つ魔法で二冊だよ」


「「「は~い」」」



魔術師ギルドの中は、冒険者ギルドと大して変わらなかった。

ただ、正面にある掲示板は通達掲示板だけが存在していて依頼書が貼っている掲示板はなかったな。

違いはそこだけで、後はほとんど一緒だ。


俺は早苗ちゃんたちに、左側の売店を指さして誘導する。

「店長、魔法書は売店に売っているんですか?」


「いや、魔法書は受付で販売しているはずだよ。

種類や購入者の適性なんかを調べてもらえるからね」


「じゃあ、何で売店へ?」


「ポーションの種類と価格調査だよ」


「店長、この世界でもポーション販売をするんですか?」


響子ちゃんとほのかちゃんは何のことが分かっていないような顔をしているが、バイトをしている早苗ちゃんは呆れているようだ。


「この世界でしなければいけないことなんてないからね、好きなように生きていくよ」


「……そうですね、そこは店長の好きにしていいと思います」


早苗ちゃんの賛同を得たところで、俺たちは魔術師ギルド内の売店にたどり着いた。

そこは店というよりも購買のようだった。

コの字型に店内ができていて、商品が並べられている。


入り口から杖やローブなどの装備品、何に使うのか分からない魔道具の数々、魔石や工具類、初級の錬金器具や消耗品のインクや紙など、ところせましと売られている中で一番奥にポーション類が売られていた。


傷を治す軟膏、体力や怪我の回復のためのポーション、毒やしびれなどの状態異常回復のポーション、魔力回復のポーション、特定の病気を治すためのポーションなど、広く一般に知られているポーションが並べられていた。


「ギルドで販売するものだから、専門的なポーションは扱わないよな」


「お客さん、専門のポーションを探しているか?」


店の入り口のにある、レジにいた丸いメガネをかけたおじさんが話しかけてきた。


「ええ、今度ポーションの店を出そうかと思いまして市場調査を……」


すると、レジカウンターをおじさんが乗り越えてきた。

このおじさんレジで隠れていたけど、腰のベルトに魔法の杖を挟んでいる。ということは魔法使いか魔術師か。

しかし、体は細いけど筋肉はあるみたいだ。


「この町でポーションの店を出すのか?」


「いや、それはまだ決めてないが……」


俺のその言葉で、おじさんの雰囲気が柔らかくなり何やらホッとしたみたいだな。


「それを聞いて安心したぜ。

いや、すまないな。この町にはポーションを扱っている店が6軒あってな、町の大きさに対しての店の数がいっぱいなんだよ。

これ以上増えてしまうと、どこかの店がつぶれてしまいそうでな……」


なるほど、共存共栄というやつか?

この町は店同士の横のつながりを大事にしているのかもしれないな……。


「でも、そういうのは商人ギルドが管理しているんじゃないのか?」


「商人ギルドは、競争を推奨しているからな。

ポーションを扱う店ってのはすぐのすぐできるわけじゃあない。

まず、ポーションを作れる奴がいないと始まらないからな」


「店がつぶれて、他の場所でとはいかないか……」


もう少し調べてから、どこで店を出すか考えますか。







第13話を読んでくれてありがとう。


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