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ポーション屋の日常  作者: 光晴さん


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第11話 本屋到着



冒険者ギルドで身分証を作った俺たちは、まずは情報収集を始めることにした。

早苗ちゃんは空間魔法を覚えたいと言っていたので、受付嬢に聞いてみることに。


「すみません、魔法を覚えたいんですがどこに行けばいいですか?」


質問された受付嬢は、少し驚いていたがすぐに笑顔で返答してくれた。

「それなら、魔術師ギルドで聞いてみると教えてくれると思います。

後は本で習得という手もありますね。


100年以上前に召喚された勇者様のおかげで、紙と印刷技術が広まって以来、本が安くなりましたから本で学ぶというのもいいと思います」


俺がいた頃は本は高額だったから、追放されてから本の値段が安くなったみたいだな。

「なるほど、では、本屋と魔術師ギルドがどこにあるか教えてもらえますか?」


「わかりました、今地図を描いてお渡ししますね」


そういうと、受付嬢は白紙の紙を取り出しサラサラと地図と店の名前を書いてくれた。


「では、こちらを」


「ありがとうございます」

俺はその紙を受け取ると、早苗ちゃんたちと冒険者ギルドを出ていく。



▽    ▽    ▽    ▽



1人の男性と3人の女性がギルドを出ると、隣のブレンダがさっきの人たちに興味があるのか話しかけてきた。


「ね、ね、ニーナ。 さっきの4人って一緒に行動するのかな?」


私は残っていた書類整理をしながら、適当にブレンダの相手をする。

「ん~、どうしたのブレンダ、さっきの人たちに興味津々ね」


「だって、久しぶりの登録者たちでしょ?

こんな辺境の町で登録するなんて珍しいじゃない。

……何かわけでもあるのかな~」


これだ、ブレンダの琴線に触れるとは、さっきの人たちも運が悪い。

でも、確かにここ2年、この町で冒険者登録する人はいなかったよね。

確か、最後に登録したのは遺跡の宝探しに同行していた夫婦の子供だったかしら。


遺跡に宝物は無くて1週間もしないうちに帰っていったけど、登録したあの子、無事育っているかしら?


「ねぇ、ね~え、聞いてる?」


「うん、聞いてるよブレンダ」

「ウソ、適当に聞き流してたでしょ!」


バレてる。

「ゴメンって、ちゃんと聞くから」

「じゃあ、あの人たちパーティー登録だったの?」


私はさっきの4人の登録情報を水晶に呼び出し確認する。

「…パーティー登録してあるわね」


「あの4人の中で、誰が一番レベルが高いの?」


「…それって普通開示できない情報よ? 絶対秘密にしてね?」


「もちろん!」


「まったく、えっと……あの男性で、レベルは……」


「レベルは?」


……この水晶は登録者の魔力からステータスの一部を記録し、本人確認の時に利用される。

ステータスの一部は、本人の名前・レベル・加護の有無だ。

特に加護を持っているかどうかで成長速度が変わるので、特に重要視されるのだがこの男性のレベルに私は言葉が出なかった。


現在確認されている高レベル者は、勇者か英雄と呼ばれる人たちで最高でも400代のはず。

ということは、このレベルは勇者や英雄すら勝てないということになる……。


「ねぇ、レベルは?」

固まっていた私に、ブレンダが肩をゆすって戻してくれる。

多分、ただ知りたいだけなんだろうけど……。


「レベルは、2410……」


「………へ?」

今度は、ブレンダが固まった……。



▽    ▽    ▽    ▽



書いてもらった地図を見ながら町を歩いているんだが、早苗ちゃんたちはいろいろと町を見てどこにどんなお店がとか確認しているようだ。

明日にでも、行ってみるつもりなのかな?


とりあえず、今は本屋を目指す。

俺の目的は俺が追放になってからの歴史を調べたいことだからな。

本屋でこの辺りの歴史を記した本が売っているといいのだが……。


「店長さん、明日、町を見学する時間、もらえませんか?」


ほのかちゃんが我慢できずに、俺に許可を求めてきた。


「ん~、魔術師ギルドへ行った後なら構わないよ」


「あの、魔術師ギルドって時間かかります?」


「行って魔法のこととか聞くだけだから、そんなに時間は取られないよ。

そのあと解散で見学や買い物に行くといいよ」


「「「ありがとうございます!」」」

三人そろってお礼を言うということは、みんな楽しみにしていたんだろう。

異世界のお店だしな、何があるのか気になるんだろう。

……俺もポーションが今、どう扱われているか確かめておいた方がいいな。


こっちの世界でも、ポーション屋を開けるかもしれないし。



「おっと、ここが本屋だ」


これからのことを考えていたら、すぐに本屋の目の前に着いた。

こっちの本屋は店先に本が並べられていることはなく、すべて店の中にあるようだ。

俺たちは店のドアを開けて中へ入ろうとすると、ドアに小さなベルが取り付けてあったのだろう俺たちの来訪を知らせてくれた。


「いらっしゃい……」


中に入ると、受付に座っていたおばあさんが声をかけてくれる。

周りを見るが、俺たち以外の客はいなかった。

時間帯によるものか、それとも識字率が低いのかだな……。


「早苗ちゃんたちは、魔法のことが書かれた本を探してみて」


「わかりました」

そう返事をすると、店内の本を順番に調べていく三人。

でも店内を見渡せば、目的の本ごとに別れているようだ。

この辺りは日本の本屋と同じみたいだな。


俺は、歴史の書かれた本を探し始める。

歴史の書かれた本は分厚ものが多い割に、出版数が少ない。

そのためすぐに見つけることができた……。


『グレービア王国史』


かつて俺が住んでいた王国の名前だ。

魔法の研究に明け暮れて人に騙され人を信用しなくなり、身に覚えのない罪を着せられ日本に追放された場所。

再びこの世界に帰ってきたら、王国の王都と城は遺跡になっていた。


これを読めば、王国は滅んだのか今もどこかで存在しているのかが分かる。


俺は恐る恐る本を開こうとするが、開くことはできなかった。

よく見れば、本には開示封じの魔法がかけられていた。

なるほど、立ち読みお断りなのか……。


それなら、他にも何冊か読みたいものを探して購入するか。








第11話を読んでくれてありがとう。

投降時間が安定せず申し訳ないが、とりあえず1日1話を目標にしているので。


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