サッカー部
「ただいま~」
陸翔がそういいながら部室に入ると、耳が割れそうなほどの黄色い声が返ってきた。
だが陸翔も負けず劣らず大声で
「新しい希望者来たよー」
と叫ぶ。
「おまっ・・・またお荷物増やしやがって・・・・」
陸翔の声に反応したのは、背の低い少年だった。
「わっちゃん。自己紹介。」
愁平が小さい声で背の低い少年を促す。
「ああ。サッカー部部長、河合航だ。能力は触れたものの嘘を見抜ける。」
そう言って結奈を軽く睨むと
「サッカー好き?」
そう質問した。
「ええ。」
結奈が物怖じせずに答えたので周囲はざわついた。
結奈自身サッカーは好きであるがサッカーアニメを見た結果である。
航は躊躇なく結奈の肩に触れるとこういった。
「そうか。合格。」
航は少しふてくされたようであったが、すぐに陸翔に
「その紙もういらないよ。俺の力でミーハー女はつまみ出すから。」
そう強い口調で言う。
「はぁぁ!?いらない!?結奈に手伝ってもらってまで持ってきたんだぞ!」
愁平に怒鳴られて航は、「わりぃって・・」と言った。
陸翔は愁平を抑えつつ結奈に
「ごめんねぇ・・・・こいつ結奈ちゃんに気があるのかも。」
と小声で話しかけた。微笑付きで。
結奈は「あはは・・」と答えただけであったが胸中は、
-愁平の事抱いといてその余裕・・・・萌えるぅ~
と証拠のない妄想を繰り広げていた。