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二度目のVRMMO生活は植物使いから  作者: たまねこ
R×F1ー1
4/17

いざ空想世界へ【後編】

 ☆




 慧が通されたのは応接間━━ではなく幼馴染みの部屋だった。

 女の子女の子をした広い部屋である。

 貴族の娘、あるいは某王国のお姫様が住んでいそうな、ピンクを貴重とした部屋。

 部屋に入った途端、いいかおりがした。

 何度も訪ねているが緊張感が抜けることはない。

 なにせ相手は世界でも有数のお金持ちの櫻井グループのお嬢様。


 今話題のオンラインRPG━━ロスト・オブ・フロンティア・・・・通称R×Fを運営していて、いくつもの企業を抱えているのが櫻井グループ。

 そのお嬢様である少女の印象は清楚で可憐、女神様や妖精、それとも天使か、とたとえてもあながち嘘とは思えない。

 長い黒髪、白い肌。

 顔のつくりは美しいが、体のつくりは・・・・



「ふふ。慧君。そのため息はなにかな?」



 椅子がわりにベットに座っていた少女━━櫻井結愛さくらい・ゆうあは立ち上がり、慧に近寄った。



「はは、何でもありませんよ。結愛様」



 中学生で成長がとまったような体型の結愛に笑って見せる。

 感情が凍結したような笑みを返した結愛は慧の額をぺちこん、とした。



「敬語禁止。もなし。私と慧君は幼馴染みなんだから」



 幼馴染みといってもギャルゲーみたいなのとは違う。

 二人の両親は親友同士で家族ぐるみのつき合い。

 誕生日は1日違いで生まれた病院も一緒。

 しかし保育園も通っていた小中学、高校も違うから王道の幼馴染み、というわけではない。

 会えるのもたまに━━しかもほとんど一方的に会うことになっている。

 今日のような拉致然といったのもその1つだ。

 そういったことは日常茶飯事なので慧は文句を言わない。



「結愛。用件は?お医者さんごっこをしたいからという理由はなしで。もういい年だし」

「慧君はエッチ」

「いやいや、いつもお医者さん役は結愛だったし」

「慧君慧君。ついに手にいれたの。慧君のぶんを」



 結愛は興奮したように慧を見上げた。

 目がキラキラしている。



「手に入れたって何を?」


 聞いた慧のお腹に軽い衝撃が襲った。

 慧が視線を下に向けると1人の少女の姿。


 年齢は12、3のはずなのだが実年齢より幼い感じの少女。

 栗色の髪を両耳上あたりで軽く縛り、大きな目がじっと慧を見上げていた。

 結愛を子犬にたとえるならこの少女はウサギだ。


 慧が頭を撫でると少女は気持ち良さそうに目を閉じた。



「こんにちは。心愛ちゃん」



 名前は櫻井心愛さくらい・ここあ

 結愛の妹である。



「いらっしゃい、ご主人様」

「・・・・・・」



 幼い少女にそう呼ばれて軽い衝撃を受ける。

 慧の脳裏に1人のメイドさんの姿が浮かんだ。



「心愛ちゃん。そう充希に言えみたいなことを言われた?」

「そうすればお兄ちゃんが喜ぶって充希さんが」



 ━━いたいけな少女に何を教えているんだ。



「心愛ちゃん。充希さんの言うことは真に受けなくてもいいからさ」

「慧君。本音は?」

「まんざらでもない」

「・・・・・・・」



 気のせいだろうか、結愛に牙のようなものが見えたような?



「それで手に入れたものって?」

「それは」



 姉の言葉を遮って心愛は口を開いた。



「ギアだよ、ギア。R×Fのギア。これでお兄ちゃんもプレイできるね」



 やや興奮した感じで。

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