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どうせ明日もやってくる。  作者: 水戸ノ納豆
7/8

二人の気持ち

とんとん


「ど、どうぞっ」


「…なんでそんなに緊張してるのかなぁ」


弘樹は苦笑いしながらいつもの様子とは真逆の様子に困惑していた。


「いつもだったら「帰れ」みたいな感じで来ると思ったのに」


「そ、そんなにひどい事言ってたっけ私…。」


加奈は弘樹の楽しげな言葉に少しだけ申し訳なさを感じていた。


「で、なんでそんなに緊張してるの?」


弘樹はいつも直球で聞いてくる。

そういう所が加奈は少し苦手だった。


「だって…昨日…私を好きって…」


「うん、いった。あれは本当だよ」


「…うぅ」


加奈は弘樹のあまりにも速い返事に動揺していた。


「ね、ねぇ」


「ん?」


「どうして私を好きになったの…?」


加奈は思い切って一番気になった思いを彼に伝えた。


「そうだなぁ、向日葵みたいな人だと思ったからかなぁ。」


「そんな…私は真逆だと思う…」


「そうかな。僕は真面目な手だろうが、卑怯な手だろうが、僕に絶対勝って勝ち誇った顔をする。そんないつもの加奈が好きだよ。」


彼はどうしてあんなに堂々と言えるのだろう。

加奈は顔が熱くなり、また、雫が頬を伝った。

それに気づいた彼女は


「かえって」


また…その言葉を言ってしまった。

照れ隠しをしたいだけなのに何故そんなことを軽々しく言ってしまうのか。

加奈は自分を恨んでいた。

きっと彼はまた黙って帰ってしまう。そう思うと加奈の瞳の雫はますます大きくなった。

加奈は重い首を持ち上げ帰り支度をしているであろう彼の方を向き…驚愕した。

なぜなら彼は帰らずむしろ彼女のほうに近寄り


加奈の体を抱いたのだから。


加奈は突然の彼の行動に火が出るほどに赤くなっていた。

なんとか冷静を保つため強気な姿勢を見せようとした彼女だが言葉は一向に出せなかった。

彼女はいままで恋愛などしたことなどない。だから当然といえば当然なのだろう。

むしろこんな事態で強く振舞おうとする方が無茶なのだ。

いつもの自分を彼に見せられない。もう…一緒の時間は少ないのに。

そう思うと無性に悲しくなって


「やめてよ…私はもう少しで死んじゃうんだよ…?」


絶対に…言ってはいけない言葉をつぶやいてしまった。


「わかってる。」


彼は間を持たずに即答してきた。

だが加奈にはそれが命の重さをわかってない気がして…それを自分に重ねると、とても悔しくて、寂しくて。


「わかってない!もう少しで死ぬのに死にたくないなんて思わせて…っ!どれだけ私の心を弄ぶの…っ」


そんな本音まで吐き出してしまった。

行き場のない本音や感情を抑えられないほどまでに彼女は弱っていた。


「弄んでないんかいない!僕は本気だ!加奈が好きだ!」


「…っ」


弘樹も加奈と同じ、感情のコントロールなど出来てはいなかった。

本気の気持ちを弄びなどと言われては仕方のない事なのだろう。


「加奈はどうなんだ!加奈はっ!…加奈は本当はどう思ってるんだ」


加奈と弘樹はもう、すべてが限界だった。


「私だって…弘樹が好きだよ。だから…死にたくない。死にたく…ないよぉ。生きて弘樹と、ひっく、一緒に生きたいよぉ…。なんでこんな人生なの、最後くらい幸せになりたかったよぉ…うあああぁぁぁ…ああぁぁぁぁぁ!!」


「…」


もう、加奈の心のブレーキはすり減って壊れていた。

弘樹はそんな加奈を抱く力を無言で強めた。

離したら壊れてしまいそうな、そんな気がしていたから。


そこからの二人は互いに本音をぶつけて話した。

普通ならば、そんな行動をすれば、関係はすぐに崩れてしまうだろう。

しかし、二人はそれをやめようとはしなかった。

なぜなら彼は、彼女は絶対に自分の事を受け入れ、支えてくれる、と


そう感じていたから…


余命 残り1日

次がラストストーリーになります。

俺この作品が終わったら夏休みの課題やるんだ…('_')

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