弘樹の気持ち
とんとん
「どう、えぇ…」
いつも通り加奈の部屋に来訪した弘樹だが今日はいつもと様子が違っていた。
違うところは、顔にあるマスクと赤い顔。今にも倒れてしまいそうな姿勢だ。
誰がどう見てもその症状は風邪だった。
「何やってんのあんた。帰って寝てなさいよ…」
「いや、だっていつも来てるし…」
加奈の言っていることはもっともだったが彼は歯切れの悪い言葉で断った。
しかし彼女は隊長が悪くなると思い何回も帰るように言ったのだが彼はなぜか頑なに帰ろうとしなかった。
しびれを切らした彼女は
「もう!そんな状況になってまで私に会いにくる必要なんか無いでしょ!帰りなさい!」
と、少し自嘲ぎみに言った。
彼女は自分で言ったことなのに、この先の彼の返答を考えるとすこし切なく、泣きそうになった。
「加奈に会いたいから…ゲホッ」
「え?」
しかし彼が言ったのは加奈が思っていた返答とは180度逆の答えだった。
「加奈に会いたいから…加奈が好きだから毎日来てるんだよ…」
弱よわしく、空気に溶けてしまいそうな彼の声は加奈にはとても大きく、力強く感じられた。
同時に彼女は自分の頬に伝わる雫の正体が知られる前に
「…帰って」
そう、つぶやいた。
知られたくなかったのだ。泣いていたこと。そして…死にたくないと、願ってしまった事を。
「…」
もう、彼は言い返しては来なかった。
弘樹は帰り支度をし、ドアノブに手をかけ
「…まって」
加奈に呼び止められた。
「明日も…来てくれますか」
振り向いた弘樹はそんなしおらしい彼女をみて
「ふぷぅふふっ!」
「なぁっ!」
含み笑いしていた。
「あっはははははっ!来てくれますか?って、いつもの加奈からじゃ考えられないよ、あっはははははゲッホゲホ!
「…っ!にゃああああ!もう帰れええええっ!」
加奈は耐え切れず弘樹を追い出してしまった。
まだ彼の笑い声は廊下に響いていた。
けれど加奈は明日彼が来てくれるのか。そんな事を思うと彼女は胸の中のもやもやがとても苦痛に思えた。
ふいに
「加奈」
廊下の外で彼女を呼ぶ声が聞こえた。
「明日もくるよ。またね」
その言葉だけで加奈は心のもやもやが晴れた気がした。
余命 残り2日
Q、うどんってなんであんなに美味しいんですか?
A、ソーメンの方がおいしい
Q、そっすね
…ごめんなさい。Q&Aだと思わせたかったんです。