加奈の気持ち
とんとん
「…どうぞ!」
「何回もあやまってるじゃないか…そろそろ許してくれよ」
「…ふんっ」
弘樹は昨日からずっと謝っていたが加奈は中々許してはくれなかった。
「うぅ…どうすれば許してくれるんだ」
「…そうね。今回の遊びで私に勝てたら、で」
「ほほう…いったな?今日のおもちゃはこれだぁっ!」
そういって弘樹が出したのは
「お手玉?」
「ああ、これを相手に投げてもらって多く回せた方が勝ちってことでどうだ?」
「…わかったわ。受けてたとうじゃない!」
意気揚々とする彼女に、弘樹の黒い笑みは気づかれることはなかった…
先手は加奈だった。加奈は持ち前の腕で初めてにも関わらず7個を回すという快進撃を繰り出した。
そして、弘樹の番。
「くふふ、加奈よ、この勝負はもらったぁ!俺は以前からお手玉教室に通い9個まではまわせる!さあこい!」
「はいはい、回してから言ってね。いーち、にーい」
加奈はペースを速めにお手玉を投げるが弘樹は揺るがない。
「ははははは!!この勝負貰ったあああああ!!」
「…さーん」
「はははは…は?」
弘樹は動揺した。確かに加奈は投げてきた。そこまでは良かった。
だが、なぜ”お手玉”ではなく”うに”が飛んできているのだろうか。
「えええええ!!?何でそんなもの持ってるのぉぉぉぉぉっ!?うわあああああ」
無念、さすがに弘樹程の腕の持前でもうには回せなかった。
「あっはははは!私の勝ちー♪」
「ずるい!卑怯だ!卑怯使ったから僕の勝ちだー!!」
「…わかったよ、弘樹の勝ちね」
「え?」
なぜか加奈はあまりにも素直に勝ちを譲った。
弘樹には全く意味が分からなかった。
加奈のこの行動は早く弘樹を許したかったがための行動だったと、彼が気づくのはいつになるだろうか…。
余命 残り3日