風邪
彼女を想う 這い上がって彼女を想う
眠りを撥ね付けて彼女のことだけを想う
胸のすき間を彼女で埋めつくした痛みから
息を吸えない胸は彼女を炙り出そうとする
幻影をひとつだけ吐いた
もう彼女を想えないと
知る
君を想わない日はない 必ずあしたも思慕する
想わずにいられない僕は頭痛に溺れる
僕の魂を君はあたためまわし引きずって喫う
君の灯りがいっそう純血に燃え上がるから 吹き消せというね
僕は無能なのに 消せというんだ いくども
笑いながら なんども
泣いている
あなたを想わない 罪を重ねるの 美しき大罪を
震えが止まらない 姦人でいますから 島流ししますか
千切れた喉を一枚ひろう 愕然の足は あなたを想えない あなたも想わない
云って 行って いけないから 変わらないね 変えないからね
言葉の変わりに咳をする 寒い夜